今回は平泳ぎの息継ぎをする時、もしくは息継ぎ後に体が沈んでしまう方のパターンと沈まないようにするために気を付けるポイントをご紹介したいと思います。
平泳ぎはもともと4泳法の中で最も水の抵抗が大きい種目です。
ほどほどに抵抗があることは初心者さんやのんびりスイムを楽しみたい方の平泳ぎにとってはメリットで、体を浮かせ安くなります。
しかし抵抗がかかってしまうよくない時に大きな抵抗がかかってしまうと体は沈みやすくなります。
また、泳ぐ姿勢が悪いと抵抗がかかる状態になってしまい、沈みます。
平泳ぎの息継ぎで下半身が沈んでしまう場合と解決策
本来人間は比重が1より若干高いため(体脂肪率が高い人は別)、水に入って何もしないと沈みます。
浮くためには、2つのことが必要です。
・肺にたくさん空気をためて比重を低くすること(息継ぎでしっかり吸おう)
・浮心(肺付近)と重心(へそ付近)が近づくようにする(水泳で基本になるけのび姿勢を取ろう)
詳しくはこちらからどうぞ
つまり、泳いでいる時に人が最も浮かびやすい姿勢はけのび姿勢(ストリームライン)です。
ところが、平泳ぎで息継ぎをする時にはけのび姿勢が崩れます。
(平泳ぎの息継ぎ後の伸びている姿勢では、写真のように手を重ねませんが)
・頭を上げる
・手がストローク動作で動く
どちらの動作も体の重心の位置が変わり、浮心とのベストな関係性が崩れます。
すると身体の重心は下半身側へ行きますし、パーツとしても足の方が重いので下半身が沈みやすくなります。
でも、「息継ぎをしない」「手を動かさない」というわけにはいかないので、無駄な動作を省いてあげます。
1つは、呼吸時に上半身が過度に反っているか沿っていないかの差です。
上半身が過度に反る原因は3つです。
・上半身を持ち上げる方向が真上だから体が反ってしまう
・胸を張る意識が強すぎるため体が反っている
・息継ぎで真上に頭を上げている
平泳ぎが上手な人を見ていると上半身が水面からとても出ていますが、それをマネしようとして頭や上半身を高く上に持ち上げることだけに意識が行くと体が反ってしまい、下半身が沈みます。
また、胸を張る意識が強すぎることでも同じように体が反って沈みます。
背すじをまっすぐにしておく意識は大切ですが、背すじをまっすぐ=胸を張るではありません。
反りもしていないし曲がりもしていない状態がまっすぐです。
体が反るとは = 腰が反ること だと言えます。
泳ぎの中で腰は反ったり曲がったりしてはいけません。
これはほぼすべての運動やスポーツに当てはまり、人間の構造上からも言えることです。
上手な人は上半身が水面から大きく出ますが、腰は安定させたままです。
彼らは腰より上の背骨を反らせたり曲げたりすることで頭と上半身を持ち上げています。
これをするにはかなりのテクニックと体の可動性・コントロールが必要ですから無理にマネしなくてもいいです。
そして、平泳ぎで頭と上半身を持ち上げるのは真上ではありません。
真上に持ち上げると腰が反りますし、体の重心も進行方向とは逆に移動します。
頭と上半身を持ち上げるのは斜め前です。
この時に腰より上の背骨を動かせないのであれば無理に動かす必要はありません。
頭から腰を曲げも反らせもせず、ただまっすぐにした状態を保って斜め前に向かって飛び出していくように息継ぎをしてください。
息継ぎをしたら素早く手を前に戻して、その手に向かって顔を突っ込んでいくように水に入れます。
そうすることで前傾した姿勢を保つことができ、基本のけのび姿勢から極力逸脱しないでいることができます、
ここまでをまとめると
平泳ぎの息継ぎ時に下半身が沈む場合の解決策は…
「腰を反らさず、真上ではなく斜め前に飛び出す意識を持つこと」です。
平泳ぎの息継ぎ後に沈む場合と解決策
息継ぎは上手くできるけど、息継ぎをしてキックをした直後の「けのびで伸びている姿勢」を取っている時に体が沈んでしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
息継ぎの直後に沈んでしまうのは主に2パターンです。
1.お腹が落ちてしまって、下半身~腹部から沈む
2.頭の方からプールの底へ向かって潜っていってしまう(お尻がポコッと出てくる)→次章で解説
1.お腹が落ちてしまって、下半身~腹部から沈む
お腹が落ちてしまって下半身~腹部から沈むという場合は、息継ぎをして頭を水中に戻した後のけのび姿勢の問題が大きな原因の1つではないかと思います。
平泳ぎの息継ぎ後のけのび姿勢で進まない・沈むという方によく見かけるパターンはアゴが上がっていることです。
アゴが上がると顔がプールの底ではなく、進行方向に向いています。
アゴが上がっていると伸ばした腕から顔が完全に出てしまい、けのび姿勢(ストリームライン)が崩れています。
頭部は背骨とつながっているため、アゴが上がってしまうと背中~腰まで反ってしまいます。
すると体の重心が下半身側に近づいてしまい、沈みます。
なので、息継ぎをして頭を水中に戻すときは正面ではなくプールの底~斜め前を見るつもりでしっかり頭を戻してください。
伸ばした両腕より高い位置に目や耳がこないようにして下さい。
もっと言うなら、息継ぎをしている時も、常にアゴを引いておいたまま固定しておく方が簡単かもしれません。
息継ぎをした後に顔全体を水にぶつけていくように戻し、伸びている時は頭のてっぺんを進行方向に向けてあげる意識を持つとアゴが上がりにくくなります。
息継ぎ後頭の方からプールの底へ向かって潜ってしまう場合の解決策
けのび姿勢も、キックや手のかき方に問題が無くても頭の方から潜ってしまう場合もあります。
どうして潜ってしまうのでしょうか。
ポイントは「向き」にあります。
息継ぎをして手を前にのばして、伸びる姿勢になりますが、この時に手を伸ばす向きがプールの底へ向かっていると潜ってしまいます。
しかも、アゴも上がらず、体もまっすぐで綺麗な直線になっていればいるほど潜ってしまいます。
この時だけに限り、アゴが上がっている人は力の向きが分散するため頭の方へ潜っていきません。
でもアゴが上がるのは前章で紹介した通り、沈むのでNGです。
ではどうするかと言うと、伸びる方向をまっすぐ前に向けて上げることが大切です。
水面に対して平行に手を伸ばしてください。
プールの底へ向かって泳ぎたいわけではないと思いうので、ゴール地点のプールサイドめがけて手を伸ばしてみてください。
キックを真後ろに蹴ろうとしすぎると、足の裏を真後ろに向けようとしすぎ、骨盤が過度に前傾してお尻だけがポコッと水面に出ます。
真後ろに蹴れているならならまだいいですが、意識が強すぎて上に向かってけってしまうともっと良くないです。
深い海で垂直に潜る時は上半身を沈めて下半身を持ち上げ、逆立ちをするような体勢を作って垂直に潜っていくと思いますが、それに近い姿勢を平泳ぎでやってしまっていることになります。
イメージ図(極端ですが)
平泳ぎのキックを蹴る方向は真後ろというより、斜め下くらいが良いです。
そうすることで頭の方から潜ってしまうことを防げますし、下半身が沈む場合の姿勢維持にも役立ちます。
キックの方法についてはまた今度詳しく書こうと思います。
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