今回は実際にレッスン＆トレーニングに通ってくださった選手の復活話とその裏側を包み隠さず話します。もちろん選手のプライバシーは包み隠します。高３ラストの夏の大会、水泳はもうそれで引退！ベストは遥か昔から出ていない。そんなハードな状況から始まった半年間に迫ります。
だよね。
「４年間ベスト出ていません」な出会い
2022年末
始まりはインスタに来た一通のメッセージでした。たしかストーリー投稿に反応していただいたんだと思う。
「来年が高校ラストイヤーなので困ってます」みたいな感じ。
「何かお力になれることがあればー」ってメッセージでお話をしているうちに、
「このまま何もやらないと変わらない！」
って本人さんが決断したらしく、内容が内容なだけにzoomで事前カウンセリングをすることに。
そして判明する衝撃の事実
「４年間ベスト出ていません」
いや、ジュニア選手でそんなことある？！
確かに半年とか１年とかはいらっしゃった。
最高でも４年くら、、、、
あ、いたわ。
もう夏で水泳引退する宣言してるから余計とです（笑）
年末に連絡が来たのでタイムリミットは
約半年
カウンセリングをしていると、どうやら過去にもいろいろ手段を尽くしたけどタイムは停滞するどころか下降する一方だそう。
事前にカウンセリングした時のzoom越しのどんよりした顔はいまだに覚えてる。
タイムが長期間出ていないと、水泳そのものを嫌になることもある。頑張って頑張って毎日ハードな練習をしているのにその跳ね返りがなかなか来ないのは本当にしんどいと思う。サボってるわけじゃないのに。
もうやることは全てやるとのことで、スイムレッスン（林）とオンラインでのトレーニング（尾崎）の両方をすることに。
どうしてそんなに長期間タイムが出なくなったのか？
毎日のようにしっかり泳いでいるし、頑張ってるのにタイムが出ない。
日本選手権や国際大会に出るようなトップ選手や年代別のトップ選手でもないのであれば、明らかに努力の方向性がどこかおかしいはずです。
この場合、レッスンでの技術指導、トレーニングでの身体能力の強化に加え、普段の練習や日常生活での取り組み方への改善も必要となります。
要するに、努力の方向性を見定めることと、「変化」が必要です。
自分たちが高校生の時を振り返ってみても、確かにチームに長期間なかなかベストが出ていない仲間がいた。頑張ってる姿を見てるし、何がダメなのか全く見当もつかなかった。
でも今、何年も経って指導者になって、その理由がだんだんわかるようになってきた。
昔に戻れるなら理由だけでも教えてあげたい、けどそれはできないから今来てくださる皆んなに全力を尽くすのが大人の仕事。
今回の高３選手の原因が何だったかというと、
✅体の成長に泳ぎがついてきていない
✅体の弱点が泳ぎの邪魔になっている
✅スピードを出せるフォームと、スピードを出す練習ができていなかった
という主に３つの理由からでした。
年齢と泳ぎの変化の関係性
以前に別の記事でも紹介したのですが、水泳は体が柔らかければ速く泳げるというわけではありません。
【完全版】実は違うかも？！「柔軟性が高い＝水泳が速い」って本当？試合前のストレッチについても！
ある程度の関節の強さがないと、水に負けてしまったり、上手く体の力を伝えることができません。
金魚のヒレはヒラヒラしていますが、大した速度で泳げません。
サメやシャチは柔らかいけども硬さと弾力のあるヒレをしているから力強く速く泳げる。
そんなイメージです。
ただし、小学校から中学校の中頃までであれば、関節が大きく動いて（緩いぐらい）いれば強度がなくてもそこそこ速く泳げてしまいます。
なぜかというと、体がまだ小さくて軽いから。
技術的なところより大きく動く利点だけでなんとかなってしまうんですね。
選手自身もそうだし、周りの選手もまだまだ小中学生の頃は技術もパワーもないので、大きく動けると勝ててしまう。
ところが高校生くらいになるとこれが逆転します。
大きくなった体をもっと速く前に運ぶ。
まわりの技術も上がってくる。
それ相応の体の強さや、年齢に合った泳ぎ方を身につけて行かないといけません。
この生徒さんも、最後のベストが中学２年だそう。
実際、泳ぎを見てみると全然下手じゃない。
下手じゃないんだけど、今の年齢でしないといけない動きではないというところでした。
特徴としては、
✅上半身と体幹の筋力が追いついておらず、水を抑えてキャッチすることができていない
✅肩や手がよく動く反面、コントロールが効かない時がある
そんなこんなで、半年しかないのでトレーニングで強化する部位も体幹と上半身に絞り、
スイムレッスンでも水に負けずにストロークをすることに一点集中しました。
短期決戦は選択と集中が大事です。
前半からもうスピードが遅い
水泳の練習の多くが有酸素的な持久力が求められる運動であり、100mや200mを何本も泳ぐメニューの割合が高い傾向にあります。
もちろん大切な練習ですが、その割合が多すぎることや、それをやってからしか短距離のダッシュをしていないと、前半からエンジンのかかりにくい体になっていきます。
ベストタイムを出すためには、後半にバテないようにすることも大切です。
しかし、同じバテ幅でも速度が上がっていればベストは出ますし、ベストが出る時は前半もそこそこ速いです。ましてジュニア選手が前半を守りすぎる必要は無いと思います。
２本目のことは、１本目が終わってから考えよう。
今に集中だ。
笑ってるけどこれめっちゃきつい（効果は高い）。
スピードを出さないと停滞する
結局のところ、100mや200mの選手であっても50mや25mのタイムが上がらないとタイムは停滞します。
「後半バテない」にも限界があります。
世界水泳やオリンピックとか見てても
「〇〇選手は後半強いですからね！！こっからですよ！！」
って解説の人が言うけど、結局前半のリードを埋めきれないまま負けてくのをよく見る。
勝つこともあるけど。
やっぱりベストが出る時は前半も後半も速い。
というわけで、とにかく絶対的な最高泳速度を上げることにエネルギーを集中させた。
本人と保護者が徹底してくれた
何よりも結果を引き寄せたことは、本人の徹底ぶり。
よほど体調が悪い日を除いて、ほぼ毎日家でトレーニングを積んでくれた。
メニューはパーソナルトレーニングの際に提案したものをコツコツ淡々と続けてくれた。
保護者もとても協力的で、うちのサポートの一環である「いつでもメッセージしてね！！」をフル活用してくださ離ました！
他にも、試合前のアップや試合の週の過ごし方などいろいろと質問をしてくださったので、そこに関してもお伝え。それもちゃんと実践をしてくださいました。
試合の報告の度に脈がやばい
そうこうしている間にも試合は月１〜２回のペースでありまして、、、。
毎回報告が楽しみだけど、禿げそう。
もうこれに関しては、全生徒さんの報告でそうなる。。。。
６月は報告が多くてなかなかハードだった。
みんなの親御さんが録画してくださったレース動画を見ると、
よく「いけーー！うあーー！」って声が入ってるけど、同じ気持ちです。
声出ちゃう（笑）
高３だから、試合が１つ終わる度に引退が近づく。
数えられるほどにしかベストを出すチャンスが無いのは本人にとってもなかなかだろうけど、頼っていただいたこっちもハラハラする。
１試合、また１試合と終わるけどなかなかベストまではいかない。
だんだんとタイムは上がってきて、谷は抜けた感じがするけどもう一息足りないまま４月、５月となっていく。
スピードが出始めて確信した
どうしたもんかと思う反面、確信が出始めたのもちょうど５月頃。
高校生は６月の末に高校総体の都道府県予選がある。
まずそこが夏の初戦の大事なレースなので、５月の結果はかなり重要。
５月の試合結果は、100mや200mはもう少しベストに届かない。
ところが、50mのレースで久しぶりにベスト！！！
さらに100mも後半はバテたものの、今までで1番速い前半のラップタイム！
トレーニングの時も明らかに体幹や上半身が強くなってきたので、、、
そろそろ100mでも出るんじゃね？！
って確信し始めた。
だから「出るよ出るよ〜」って言いまくった気がする。
伝わってたかは不明（笑）
神からのギフト「強制オフ」
どうやら、６月の頭くらいに体調を崩したらしい。
「ヤバいですー！！」
ってご連絡いただいたけど、、、、
ナイス強制オフ！！！
って割と本気で思った（笑）
本人は体調悪くてしんどかったかもですがw
というのも、結構ハードに泳ぎ込んでいる場合は試合前の期間はやっぱり休養が必要ですし、
試合前１〜２週前で劇的に何かが強くなることはありません。
でも選手にとって、「休む」ってことは心理的ハードルが高い場合がある。
（もちろん、歓喜して休む子もいるw）
でも明らかに休養をとった方が良い状況だったので、今回は神からのギフト笑
まあ、体調崩していまう時点で体は疲れてるって証拠なんです。
そして迎えた夏の高校総体
そしてなんやかんや、タイムは出ず６月。
でも、なんやかんや本人さんもかなりの自信がついた感じで迎えた高校総体。
我々からのアドバイスは１つだけ。
100mのレース
前半の入りで50mのベスト出そう
まあ、それくらいの気概で前半から突っ込まないと４年越しのベストは出ないよということでしたので。
本人も気合十分で挑んだレース。
初日の種目は前半から攻めるも、後半に撃沈。
今年度初の長水路種目だったということで、ご愛嬌。
漫画の主人公だって一回負けるねん、許せ。
気を取り直して2日目の100m、、、、、！
なんと予選からベスト！
４年ぶりに！！！
しかも、それでノリノリになったようで、迎えた決勝では、、、、
またベスト！！
最後の最後の高校総体の決勝でベストは主人公すぎるやろ、、、、
「最高！めっちゃ楽しい！」
ってコメントが来てなかなか嬉しかった。
これ以上ない感想と思う。
はじめにカウンセリングした時の表情をふと思い出して、
あの時引き受けて良かったなと実感。
まだ終わらん夏を堪能してくれっ！
高校生は６月に都道府県総体、勝ち抜けた上位８人は７月に地区大会（近畿、関東、東海など）に進む。
地区大会でタイムを出せば８月にインターハイと続く。
今回、都道府県総体での順位が８位以内なので次は地区大会。
まだまだ最後の夏は終わってないので、撃沈した種目もリベンジしよう！
トンネルは抜けたから、あとは楽しむだけやー！
他人に引っ張られず、自分の時間を強く楽しく生きてくれ。
それぞれにそれぞれの
もちろん、他にも高校生の生徒さんはいらっしゃいました。
それぞれにそれぞれのストーリーがあって、結果が良かれ悪かれ考えさせられることは本当に多いです。
またこのブログで紹介できたらいいなあって思います！
７月は勝ち抜いた高校生の試合、中学生の夏シーズン！小学生も試合が多い！
初心者のお子様も夏の間に泳げるようになりたい！とご連絡多数！
それぞれにそれぞれのストーリーがあって、僕たちはそれをサポートする。
（できれば引退ギリギリじゃなく、高２の夏くらいには連絡してね 笑）
編集後記
ラストのパーソナルが終了した時に、
「水泳は好きなん？」
って聞いたら
「タイム出なくなってからは義務感みたいな感じで、しんどかったけど、
ベストが出だしてから楽しくなって、やっぱり水泳は好きって思う」
そう笑顔で言ってくれたのが印象的でした。
なんか、10年くらい前に高校総体の後、当時のコーチに同じようなこと聞かれた気がする。
「どうやった？水泳？」って。
なんて答えたか覚えてないけど、
気付いたら同じようなこと聞く側になってるのでだいぶ好きなんだと思う（笑）
レッスンなどは↓↓
最後まで読んでいただきありがとうございました！
