クロールを泳いでいる時にどこを見ておけば良いのでしょうか?
今回はクロールを泳ぐときの目線の方向、目線を定める時に大事な考え方を紹介します。
クロールの目線は基本的に真下で良い:なぜ目線を気にするのか
クロールを泳ぐときの目線は基本的には真下で良いと思います。
理由を説明するには、まず「なぜ目線を気にするのか」という話をする必要があります(軽く)。
目線を決める理由は何でしょうか。
水泳はひたすら代わり映えの無い景色(基本はプールの底)を見ながら泳ぐ暇なスポーツです。
練習で5000とか10000mとか泳いでいると悟りの境地に行きそうになります。
誰かと目が合って気まずいこともありません(息継ぎでたまに目が合う程度)。
それでも目線を定めるのは泳ぐ姿勢に影響が出るからです。
目の動きが姿勢に与える影響は日常生活でも見られます。
背中の丸まった人に、遠くを見なさいと指示するのも、遠くを見た方が背すじが伸びやすいからです。
水泳では指先から足先までまっすぐフラットな姿勢(ストリームライン)を基本としています。
クロールはそのまっすぐな姿勢に手脚の動き、ローリングの動きが付いたものです。
ストリームラインでの真っ直ぐな姿勢をとる時の体のパーツの位置(頭・胴体・膝まで)は、陸でまっすぐに立っている時とほぼ同じです。
異なる点はお腹の使い方と足首などです(水中ではお腹を引き上げる、足首を伸ばす)。
真っ直ぐ立っている時の目線は真正面です。
水泳でも基本的にはこの時と同じ位置関係でOKです。
真っ直ぐ立った状態から体を倒してみずに浮かぶと、目線は勝手に真下が一番楽になります。
さっきの図を水へドボーンすると下のようになります。
目線を動かすと、それにつられて頭が動きがちです。
鶏が先か卵が先かの話になりますが。(目線が先か頭が先か)
前を見ようとすればアゴが上がって頭も高くなる方へ動きがちです。
後ろに目線を持っていこうとすると、アゴが引けていって頭も沈んでいきます。
最も自然にまっすぐの姿勢を保てるのは真下だと思います。
*泳ぐと前に進むので真下にある対象物(特定のタイルなど)をずっと見ていると頭が沈んでいくので注意が必要です。
ただただ真下を流れていくプールの底の風景をぼーっと見ること、頭の位置や角度を変えないことに注意を払うと良いと思います。
斜め前や前を向いてクロールを泳ぐのも間違いではない
斜め前を見ること、正面を見ることが悪いことでもありません。
結局は自分が一番進む方法で泳ぐのが一番です。
前を見たり、斜め前を見ることで無駄に体が反ったり丸まったり沈んだり、減速しないのであれば問題ありません。
速く泳げること、楽に泳げる動作が正解で合って、目線はその方法の1つであって、個人によって正解の導き方は異なります。
基本は真下で良いですが、そこからいろいろ試して自分なりの正解を見つけて欲しいです。
クロールでは目線と一緒に首も基準にすると良い
目線を定めて泳ぐのは良いことですが、注意点があります。
自分が真下を見ていると思ってもいつの間にか違う方向を向いて、頭がそれにつられて動くことがあります。
特に普段とは違うプールや、海、川などでは水深や風景が大きく変化します。
「いつものプールでいつもの目線」に慣れてしまうと、違うところで泳いだ時に基準がおかしくなってしまうことがあります。
そこで目線とセットで基準にしておくと良いのが首の後ろ側の意識です。
自分が理想とする姿勢・頭の位置・角度の時の首の後ろ側の感覚と状態を覚えておきます。
真下を向いて泳いでいる時(陸では正面を見る)、首の後ろは平坦に伸びています。
少し斜め前を見てアゴを上げて頭の位置を上げて泳ぐと、首の後ろにさっきより詰まった感覚があります。
人によってはしわが少し行くかもしれません。
完全に前を見て泳ぐと、さっきより首が詰まった感じが合って、首の後ろにしわがいきます。
このように、自分がこれと決めた頭の角度や位置の時の首の状態を目線とセットで覚えておくことをおすすめします。
自然と視線が変わるパターン
最後に自然とクロールの目線が変化するパターンについて紹介しておきます。
クロールを泳ぐとき、基本的には真下を見た図のような姿勢で目線は真下になります。
ところが、クロールを泳ぐときには体を頭の方へ引きのばす(引き上げる)、意識を持ちます。
さらに、軽く胸を持ち上げるような意識を持つ場合もあります。
すると軽く胸椎が伸展します。
首や頭の角度・位置や眼球の方向は変わらないまま、自然とやや斜め前に目線が行きます。
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