今回はクロールのストレートアームについてです。ストレートアームはリカバリーで肘を曲げずに泳ぐクロールの方法です。ストレートアームで泳ぐにも方法があり、ただ闇雲に肘を伸ばして泳げばよいというわけではありません。そこでストレートアームで泳ぐ利点や注意点などについてお話します。
なぜストレートアームをするのか。利点は?方法は?
肘を伸ばして泳ぐストレートアームですが、なぜそんなことをするのでしょうか。
ストレートアームをすることの最大の利点は、リカバリー後に手を遠くにエントリーさせやすくなることです。
また、動作が単純になる事と、遠心力が大きくなること、グライドする時間を減らすことで肩甲骨を使いやすくなったり回転を上げやすくなる印象があります。これも利点ですね。
ストレートアームは長い距離の選手より、どちらかというと短距離選手に多い印象です。
というのも、短距離では手をエントリーしてから前にグライド(伸びている)している時間がとても短いからですかね。
どうせ水中でグライドしないなら最初からできるだけ遠くに手を入れてしまえということでしょうか。
ストレートアームはリカバリーでは肘が伸びていますが、水中では肘を曲げて体の下をかいている人もいれば、水に入れてもまっすぐのままの人もいます。
まぁ程度の差こそあれ、ほとんどの人が水中では肘を曲げています。
ストレートアームの注意点
ストレートアームで泳ぐときの注意点は2つあります。
①後ろではなく、前に大きく回す
②体が腕に釣られてフラフラしないこと
ストレートアームでクロールを泳ぐとなると、ついつい多くの人が図の青ラインのようにリカバリーの前半(体の後ろ側)で大きな円を描くようにしてしまいがちです。
これでは特に意味がありません。
先にも述べた通り、ストレートアームの利点は遠くにエントリーできること、肩甲骨が使いやすいことです。
肩甲骨を使うというのは、腕を上に伸ばすときの上方回旋の動きです。
ストレートアームでクロールを泳ぐときは、図の赤ラインのように、後ろではなく、前に大きく回します。
前に「大きく」というよりかは、正確には前へ遠くに回します。
肩甲骨が胴体から離れていくイメージをもって「前」を強調して泳ぎます。
もう1つの注意点は、前方の遠くに腕をエントリーさせながらも胴体や骨盤が腕に釣られてフラフラしないように注意します。
肩甲骨周りや背骨(特に回旋)が非常に硬い人や、体幹部が安定していない人はストレートアームの回転に胴体がつられてフラフラな泳ぎになってしまいます。
おへそから上をしっかり引き上げ、お尻の穴を軽く締め、骨盤の向きを変えない意識を持ち、体が必要以上に振られないように気を付けてください。
結果的にストレートアームになっちゃうという思考が大切
クロールをストレートアームで泳ぐにあたって、大切な思考法があります。
それは、「結果的にストレートアームになった」という思考です。
そもそも、なんとなくストレートアームで泳ぐのではなく、なぜストレートアームで泳ぐかを明らかにします。
それは手を遠くにエントリーさせたいとか、回転を上げたいといった理由です。
手を遠くにエントリーさせようと思うと人間の肘は勝手に伸ばさざるを得ません。
「ストレートアームでクロールを泳ごう」から入ると、先にも紹介したような、無駄に後ろに大きく回してしまうなどのエラーが出ます。
ストレートアームをする目的が分かっていれば、意識は自ずと前に遠くに手を伸ばす方へ向きます。
ストレートアームはクロールの手のエントリーを遠くにする、回転をしやすくするための手段に過ぎないという思考が大切だと思います。
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