以前紹介した上達の3段階の話と関連して、今回は水泳でフォーム練習をする時の休憩時間についてのお話をしたいと思います。練習時にはインターバル、セット間、サークルなどの「休憩時間」を設定すると思いますが、フォーム練習をする際には思っているよりも長く休んだ方が良いんじゃないかなって常々思うわけですよ。
わずか10~20秒で振り返りは可能か?
フォーム練習と言えば、何かしら修正したり習得したい動作があってそれができるようになるためにチャレンジをします。
そのためにドリルを取り入れたり、フォームを意識できる強度で泳いだりします。
ペースがゆっくりのことが多いので、体はそこまでしんどくないのであまり休まなくても次の1本、また次の1本というようにどんどん泳げちゃいます。
練習サークルを決めるにしても休憩時間は10~20秒くらいが一般的な印象です。
長くて30秒ちょっとくらいでしょうか。
でも、必ずしもこれで良いのでしょうか。
まだ自分では上手くいかない動作を練習するのですから、1本泳ぐ中には4つの要素があります。
①理想の動きを決める
②実行する
③思った通り動けたか、理想の感覚だったか、何が良くて何がダメだったかを振り返る
④次の1本はどうすればもっと上手にできるのか考える
泳ぎ終わって次の1本に行く前に③と④を考えるわけですが、わずか10~20秒でそれができるでしょうか。
個人差あれど、結構時間を必要とするのではないかと思います。
30秒~1分くらいは必要かと。
もしコーチがプールサイドから見てくれているのなら、改善点と修正方法をすぐに指示してくれるかもしれません。
泳ぎながら自分で気づいた場合も大丈夫だと思います。
でも毎回毎回そうはいかないのではないでしょうか。
もう具体的に解決策がイメージができていて、後は体のちょっとした感覚をつかむだけであればどんどん泳ぎこめば良いですが、そうでもない限り次々泳ぐのは漫然と泳ぐことにつながりかねないのではないかと思います。
やはりフォーム練習をするには時間的余裕が必要だと思います。
きっちり練習サークルや本数を決めるのではなく、いつでも柔軟に変更できる時間的余裕を持ち、思考を巡らせる環境を整えるのも1つの手段ではないかと思います。
体の負荷と頭の負荷
激しいトレーニングや練習では手足が重たく怠くなったり、心拍数が上がったりして体へ負荷がかかります。
一方、フォーム練習などの頭を使う練習では体への負荷は少ないですが頭への負荷は大きいです。
頭への負荷のもっと身近な例を挙げると
「勉強しすぎて疲れた」
です。
人間は考えたら疲れます。
フォーム練習でも頭を使うので疲れます。
本来ならフォーム練習は試行錯誤と頭・感覚の整理をしながら行います。
体への負荷が少ないからと、休憩時間を少なくしてじゃんじゃん泳ぐのってどうなのでしょうか。
休みなく泳いで途中でぼんやりしてくるようでは「漫然と泳ぐ」になると思います。
もちろん25mにつき5分も10分も休めとは言ってません。
最低限、「頭の整理ができる時間」と「頭の負荷でパンクしないための休み時間」の2つを確保しながら余裕を持って泳げたら良いのではないかと思います。
今回の内容は以前紹介した考えすぎの記事とも少し関係しています。
そしてあくまでも1つの考え方に過ぎないのでご自身やチームに合った方法を模索してみてください。
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