今回はバタフライの息継ぎをする時の頭の位置と目線のコツについて解説します。バタフライが苦手な人や上手く進まない人の中には呼吸の時に体が立ってしまうことで減速したり、体が沈んだりする場合がしばしば見られます。それは呼吸の時の頭の位置や目線に問題があるからかもしれません。
目次
バタフライの息継ぎ時にアゴが上がりすぎると沈みやすい
バタフライのキックとストローク、息継ぎのタイミングに大きな問題が無いのに、息継ぎをすると脚が沈んで減速する場合はアゴや頭の位置に問題があるかもしれません。
脚が沈むということは息継ぎをしたときの姿勢が悪いということです。
アゴや頭の位置と言うのは泳いでいる時の姿勢のコントロールに大きく関係します。
まずはアゴから説明します。
頭は次章で説明します。
頭(頭蓋骨)は背骨に繋がり、背骨は骨盤まで続いています。
そしてその周囲に付着する筋肉によって背骨の1つ1つが動きます。
また、1つ1つの筋肉だけでなく筋肉と筋肉をつなぐ筋膜の連携によっても背骨の動きは制御されます。
首や腰は別々の部位で、別々の筋肉によって動きをコントロールすることができるのは事実ですし、一見関係なさそうではあります。
しかし、実際のところ両者は繋がっていて互いの動きに影響を与え合います。
片方の動きが不適切であればもう片方が代償的な動作をしてバランスを取ろうとしたり、片方に釣られて動いたりします。
特に首と腰は影響し合いやすい関係にあります。
例えば腰が丸まった状態で立っている人は、頭が前に出て首が詰まったような姿勢をしています。
逆に、場合によってはアゴが上がって首が伸びると腰も反りやすくなる時もあります。
(アゴを引くより伸ばした方が体を反らせやすい)
バタフライを泳いでいる時も同じです。
息継ぎをする時に、アゴが上がりすぎていると腰も反りやすくなります。
腰が反った姿勢は沈みやすい姿勢です。
もちろん、重くて浮心から遠い足から沈んでいきます。
バタフライの息継ぎで脚が沈む場合はアゴを今より少し引いてみると良いです。
バタフライの息継ぎ時に頭が上がりすぎると沈みやすい
息継ぎをする時、頭を高く上げすぎていませんか?
言い方を変えると、息継ぎの時、真上~上に向かって飛び出していませんか?
バタフライってしんどいですよね。
酸素欲しいですよね。
それもあってか息継ぎの時はついつい真上に向かって頭を出しがちです。
真上とは言わないまでも、飛び出す角度が大きすぎませんか?
たとえ頭から足先までがまっすぐでも、飛び出す角度が大きすぎると体は立ってしまって沈みます。(下図を参照)
頭を高く上げても、低く上げても酸素の濃度は同じです。
残念ながら同じだけしか酸素は吸えません。
バタフライの息継ぎをする時は、頭が飛び出す角度を低くしてみてください。
そうすることで頭の位置が高くなりすぎず、体は沈みにくくなります。
意識としては上ではなく、前に低く飛び出していくイメージで息継ぎをします。
斜め前に飛び出す感覚が難しい人は、水面にアゴがスレスレになるイメージを持つといいかもしれません。
アゴが水面スレスレを擦って前に移動していくようにします。
息継ぎで頭の位置が高すぎると大きな上下動を生む
バタフライの息継ぎでアゴが上がったり飛び出す角度が大きすぎたりすると、体が沈みやすくなるだけでなく、上下動が大きい泳ぎにもなります。
上下動が大きい泳ぎになると、無駄にエネルギーを使うことにもなりますし、減速の原因にもなります。
バタフライでは、上に出た分と同じだけその後に下へ沈むと思っておいてください。
息継ぎで頭の位置が水面から高く出すぎてしまうと、顔を水に戻した時に同じだけ潜ってしまいます。
逆に、小さく低く飛び出すことができれば、その後沈みすぎることもなく上下動の少ない泳ぎに繋がります。
これは位置エネルギーが関係しています。
低いところよりも、高いところから落としたボールの方が地面への衝撃は大きいですよね。
水面は地面と違って貫通するので、威力は上下動となって現れます。
さらに、人間の頭は体重の約8%ですから、5Kgちょいあります。
5kgってそこそこ重たいですよね。
ボーリングの玉くらいあります。
そりゃ体が振り回されてしまうのも無理ないですよね。
息継ぎの時は低く前に飛び出していきましょう。
目線で頭の位置をコントロールする
目線による姿勢の影響は以外と大きいです。
「歩きスマホ」って最近よく聞きますが、歩きスマホをしている人の目線はスマホの画面ですよね。
その人の姿勢は自然と首から背中の丸まった姿勢になっていると思います。
意識的に背中を丸めているわけではなく、目線に釣られて知らぬ間に丸い姿勢になっています。
バタフライも同じで、目線を前に向けるとアゴや頭が上がりやすくなります。
一方、目線を水面に向けていればアゴや頭が上がりにくくなります。
目線を前に向けても良いですが、頭の位置をコントロールできることが条件になります。
理想は上下動が少なく水面を這うようなバタフライ
バタフライの息継ぎで沈む理由は頭以外にもあるのですが、今回は頭にフォーカスして話してみました。
結局、理想的なバタフライとは何ぞやと問われれば上下動の少ない水面を這うようなバタフライだと思います。
バタフライで最も上下動が出やすいのは息継ぎの前後だと思います。
低く前に飛び出す息継ぎの意識を持って、無駄のないバタフライを泳げるようにがんばっていきましょう。
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