以前、スポーツパフォーマンスとカフェインの関係性について紹介させてもらいましたが、効果に関する論文紹介をしたまでで、実際に摂取する場合の注意点については詳しく書いていませんでした。そこで今回は前の記事の補足と言うことでカフェインを摂取する際の注意点について書いておきます。
以前の記事はこちらです
目次
カフェイン摂取の注意点①:カフェインは身体が慣れる
カフェインの摂取は短期的な目で見るとパフォーマンス向上に効果的です。しかし、長期的な多量摂取では体が慣れるということも言われています。体に慣れてくるとカフェインによる良い効果が出にくなり、効果を出すためには前より多量のカフェインが必要になってきます。
多量摂取で無ければ健康被害を心配しすぎる必要はありません。しかし、ここぞという時に効果が出なければいけないので普段から慣れさせないようにする必要があります。カフェインを摂取するのはトレーニングの前だけにするとか、朝だけにするとか、摂取するタイミングをある程度限定して、余計なところで摂取しないように気を付けてください。
下記リンクに食品安全委員会が各国のカフェイン摂取基準をまとめたものがあります。
http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
それによると、詳しく 何g/日 で体がカフェインに慣れるとは書いていませんが、健康な成人の推奨摂取量上限はおおよそ300~400mg/日です。この量であれば健康被害は出ないだろうと言われています(個人差あり)。ですが、パフォーマンスのことを考えると、体がカフェインに慣れてしまわないために、できればこの基準値より下回った量を1日の摂取量としたいですね、300~400mgはコーヒー2杯か3杯ほどです。ですが、実際には1日の中でカフェインを含む他の飲料も飲むのでコーヒーだけでは換算できません。(緑茶や紅茶、コーラにもカフェイン含みます)
後述しますが、カフェインは依存性のある物質ですので、効果を得るためにどんどん量が増えるのはあまり良いものではありません。
カフェイン摂取の注意点②:効果の持続時間が長い
カフェインは半減期が長い物質です。半減期とは血中での濃度が半分になるまでの時間のことです。半減期が長ければ効果が続く時間も長いと考えられています。カフェインの半減期はおおよそ5~6時間です。個人差があるのでもっと速い人、遅い人がいると思いますが、とりあえず長いです。ほとんどの人が5時間もトレーニングしない(笑)
効果の持続時間が長いと何が良くないかと言うと、睡眠に悪影響だからです。カフェインの作用は主に脳の覚醒レベルを向上させることです。脳の覚醒レベルが高い状態だと入眠が困難になります。夕方や夜にトレーニングをする場合は自分の就寝時間までに十分に時間があるか確認してから摂取してみてください。
夜12時に寝る人であればカフェインを含む飲料は遅くても夕方5時か6時くらいまでにしておきましょう。それだと仕事終わりのトレーニングでカフェインを使えないかもしれませんが、慣れを防ぐ意味でも毎度使わずに時間の余裕がある日だけで良いと思います。
せっかくトレーニングや食事を頑張っても寝くれなくて回復がおろそかになるともったいないので、摂取時間には気を付けてみてください。
カフェイン摂取の注意点③:依存性がある
カフェインは依存性があることも分かっています。先にも述べた通り、1日のカフェイン摂取推奨量の上限は300~400mg(コーヒー単独換算だと2~3杯)です。
朝ごはんやランチ後の1杯に必ず飲む人や、午後の仕事初めにはコーヒーが無いとスイッチが入らない人など、いろいろいると思います。ただ美味しいからという理由で摂取量と適切な時間の範囲で飲むだけならいいのですが、「脳のスイッチを入れる」ために毎日のように飲んでいる場合は要注意です。
・カフェインは脳の覚醒レベルを上げる
・多量摂取だと慣れによって効果を出すための量が日に日に増える
このことから考えるに、カフェインを基準値かそれ以上飲んでいる人が
「脳のスイッチ」を入れて「よっしゃ!これで仕事(トレーニング)頑張れる!」と効果を得るために必要な量は日に日に増えていきます。もっと効果が欲しい、カフェインが無いと活動できない、そうしてどんどん量と頻度が増えていきます。
カフェインはパフォーマンスを上げる効果があります。けど、大事なところで頼るものという認識を持ち、カフェインに依存してしまわないように1日の摂取量を守ってもらいたいと思います。
脳のスイッチが入らないのはカフェインが足りないからではなく、睡眠や食事など日々の生活リズムに問題がある可能性が高いです。
まとめ:パフォーマンスを上げるための効果的なカフェイン摂取方法
カフェインはスポーツだけでなく日常生活のパフォーマンスを上げてくれるものですが、付き合い方を間違えるとデメリットの方が大きくなってしまいます。本当に必要な時のスイッチになるように日々の摂取方法を上手くコントロールするべきです。
大事な時に効果が出るよう1日の総量を控えめにする
1日の推奨摂取上限の300~400mgを守ること。できるならそれよりもっと少ない量を毎日キープして、ここ一番の時に体の反応を良くする。コーヒー、お茶類、コーラやエナジードリンクなどカフェインは色んな所に入っているので要注意です。
睡眠の邪魔にならない時間帯に摂取するのがベスト
カフェインの効果持続時間は長いです。効果が長く続くことは良い場合もあるし、悪い場合もあります。睡眠の邪魔をしてしまう時間帯の摂取は控えましょう。効果は長続きするので、目的にしている仕事やトレーニングの直前ではなく早めの摂取で良いと思います。そして夜にはカフェインが体から抜けきって快適に眠れることが理想です。
最後に一言
スポーツで大会に出る人は、カフェインを含む飲料にカフェイン以外のドーピング違反物質が入っていないかよく注意してください。カフェインも現在はドーピング対象外ですが、監視中ではあるのでリストに入ったら摂取しないように気を付けてください。