骨盤の傾きには前傾と後傾の2種類があります。日常生活やスポーツをするシーンに応じて骨盤の状態を使い分けながら私たちは日々生きています。しかし、過度に前傾または後傾した姿勢が続くことで、そのまま体が固まってしまい、様々な体のトラブルの原因となることがあります。腰痛やスポーツ時の故障はその代表例です。
今回はそういったトラブルを予防するために骨盤の傾きを改善するのに役立つエクササイズを何点かご紹介します。
いずれもインスタグラムに投稿したエクササイズか、今後投稿する予定のエクササイズです。
自重負荷でできるので、気になる方はお家でやってみてください。
骨盤の前傾・後傾とは?
骨盤前傾
骨盤の前傾とは、腰が反ったような状態で骨盤が前側に傾いている状態です。
このような感じです。
背骨は元々S字を描いているのですが、このS字の腰部分が極端に大きいのが骨盤前傾姿勢です。
この状態を作れること自体は悪いことではありません。
ずっとこの状態で生活してしまうことが良くないことなのです。
お尻とお腹の筋肉を上手く使えていないため、慢性的に腰への負担が大きくなり、腰痛やケガの原因になります。
お尻の筋肉を上手く使えないと、股関節の伸展(脚を後ろに振り上げる、後ろに引く動き)が上手くできません。
脚を後ろへ振り上げようとして腰が大きく反ってしまいます。
骨盤後傾
骨盤後傾は前傾の反対で、腰が丸まったような状態が特徴的です。
普段から骨盤が後傾したまま腰が丸まってくると、背中まで丸くなり、猫背のようになりがちです。
背中が全体的に丸くなると、胸のあたりの筋肉など、体の前側の筋肉が縮んだ状態が続き、柔軟性が低下します。
体の前側の筋肉の柔軟性が損なわれると呼吸も浅くなってしまうので、空気の入れ替えが上手くいかず、疲労感の原因にもなります。
ちなみに正常な骨盤の姿勢はこちら。
骨盤の状態が悪いと周囲の筋肉が硬くなる
このように普段の骨盤の状態は周囲の筋肉に影響を与えます。
縮んだ状態が続く部位は硬くなりますし、使いにくい状態が続く部位は弱くなります。
適切な姿勢、骨盤の角度で生活をすることは慣れるまでしんどいかもしれません。
良い姿勢=楽な姿勢ではありません。
良い姿勢=全身の筋肉に均等に負荷がかかり、骨格に負担が少ない姿勢です。
良い姿勢でいることはどこか一カ所を酷使することを防ぎます。
つまり、楽をしようとしすぎれば大きな苦労(腰痛やケガなど)がやってくるということです。
普段から骨盤が過度に前傾したままの人は、主に太ももの前側の筋肉や腸腰筋といった股関節を曲げる(屈曲)筋肉が硬くなりやすいです。
骨盤が前傾した状態だと、常に股関節が若干曲がったままです。
そのまま硬くなります。
また、お腹とお尻の力が使えていない状態が続いているので、殿筋群や腹直筋、腹横筋、内・外腹斜筋といった筋肉が弱くなりがちです。
骨盤が後傾している場合は逆の現象が起こります。
お腹は腹斜筋が弱りやすいのですが、それ以外の腹筋群はさほど弱くなりません。
しかし、常にお尻が後ろから地面に引かれたような状況なので、ハムストリングスが硬くなりやすく、太ももの前側の筋肉が弱くなりやすいです。
骨盤の動きを出すためのトレーニング
骨盤の前傾にしろ後傾にしろ、改善するためにはまず骨盤を「意のままに動かせること」が必要になります。
動かないまま固まっているという状況では改善のしようがありません。
そのためのトレーニングがペルビックティルトです。
解説は動画内の字幕をご覧ください。
体を追い込むとか、強化する種目ではなく、コントロールする種目ですので、「意のままに動くようになること」を目標に取り組んでみてください。
骨盤前傾の人のためのトレーニング
骨盤前傾の人は骨盤を後ろへ倒す方向への意識付けと、お腹で引き上げる意識付けが必要です。
まずは前章で紹介したペルビックティルトにしっかり取り組んでもらうこと、硬くなりがちな腸腰筋(脚を引き上げる筋肉)、大腿四頭筋(ふともも)などのストレッチをしっかり行なってください。
お尻を締めるという感覚とお腹を引き上げる感覚をつけるのにおすすめなのがプランクです。
今回はそのプランクとストレッチを組み合わせた種目をご紹介します。
プランクについて少しだけ詳しく書いておきます。
ストレッチを入れない、プランク単独もおすすめです。
肘をついても手だけついてもどちらでもOKです。
腰が絶対に反らないようにお尻を締めます。
お尻を締め、背中を少し丸める方向へ力を入れます。
でも、丸まってはいけないので、ウエストのサバを読む感覚でお腹を引き上込み、引き上げてバランスを取ります。
胸は張るというよりは開く。
首の後ろを真っ直ぐにして、アゴは二重アゴを作る感覚で引きます。
もっと詳しくプランクについて語った記事はこちら
骨盤後傾の人のためのトレーニング
骨盤後傾の人におすすめなのがヒップフレクションという種目です。
このトレーニングでは背中と地面に少し隙間ができる状態から脚を体にひきつけます。
骨盤後傾の人が弱くなりやすい、使えにくい腸腰筋を使う感覚が得られるトレーニングです。
別段ハードなエクササイズではないので、動きに意識をもって取り組んでみてください。
バランスボールがある方はこういった種目もおすすめです。
体の前側をしっかり伸ばす種目です。
継続と普段からの意識が改善への近道
姿勢の改善は一朝一夕では上手くいきません。
個人的には筋肉をつける方がまだ簡単だと思います。
姿勢は長年のクセです。
大人であれば何十年もその姿勢で生活してきた可能性があります。
そんなクセづいた姿勢を改善するのですから簡単ではありません。
しかし改善しないと、ふとした時にケガをします。
慢性的な腰痛に悩まされます。
腰が痛くなってはマッサージに行き、また痛くなってマッサージに行く。
その無限ループから抜け出すには、自分で自分の体をしっかり操作しなければいけません。どちらが良いですか?