筋肉が収縮するメカニズムを簡単に解説

筋トレやスポーツをしていくうえで欠かせない知識の1つが筋収縮のメカニズムです。筋肉はどのように動いているのでしょうか。筋収縮と一口に言ってもただ筋が短縮するだけではなく、数種類の収縮様式があります。

 

Yusan
 今回は筋収縮のメカニズムについてできるだけ簡単に解説するので、ぜひ目を通していってください。大学院まで行った生理学ガチ勢だけど、できるだけ嚙み砕いて書きました!笑

筋肉が活性化して力を発揮することを筋収縮という

詳しいメカニズムは後回しにして、まずは筋収縮の意味から。

字面だけ見ると筋収縮は筋が力を発揮して短縮することだと思われがちですが、実は筋が短縮する以外にも筋収縮と定義される状態があります。

 

 

筋収縮とは、筋の両端が中心に向かって短縮しようとして力を発揮している状態を言います。つまり、頑張って中心に向かって短縮しようとしているのに、短縮できない状態も筋収縮と言います。

Yusan
力が発揮されたら筋収縮

 

筋収縮は全部で3種類

Yusan
 筋収縮の種類は大きく分けて3種類。等張性収縮、等尺性収縮、等速性収縮です。

 

等張性収縮

等張性収縮とは、外部からかかる負荷に対して筋の張力がつり合うように、筋線維の長さを変えながら起こる収縮です。筋トレでは基本的にこの等張性収縮がメインになります。また、等張性収縮には短縮性と伸張性の2種類の収縮があります。

 

 

例えば、ダンベルを持って肘を曲げたり伸ばしたりしているとします。軽いダンベルであれば肘を伸ばしたところから、曲げた位置まで持ち上げることができます。この場合、上腕二頭筋が短縮しており、力こぶができます。

このように、筋の力発揮が逆方向にかかる外部負荷(ダンベル)を上回って、筋が短縮している状態を短縮性筋収縮と言います。

 

 

逆に、持っているダンベルが重すぎて、上腕二頭筋が発揮できる力以上の負荷がかかると、筋は短縮しようとしながら伸長されてしまいます。重すぎるダンベルだといくら踏ん張っても、肘を曲げたところでキープできずに肘が伸びてしまいます。このような状態を伸張性収縮と言います。

 

 

筋トレの場合、降ろすときの方が楽に感じて、上げる時の方がつらく感じるのはこういった収縮様式があるからです。上げる時、つまり短縮性収縮をするときは筋の発揮する力が重りを上回る必要があるからなんですね。

 

 

等尺性収縮

等張性収縮の例にあったダンベルの上げ下ろしで考えた時、筋が発揮する力とダンベルの重さが釣り合う場合があります。

例えば、肘を90°に曲げた位置で筋の発揮する力とダンベルの重さが釣り合ったとします。この時筋はその状態から短縮も伸長もせずに力を発揮します。筋の長さの変化がないのでダンベルも腕も静止したままです。このように、筋の長さ変化なしで力を発揮することを等尺性収縮と言います。

 

 

 

等速性収縮

最後は等速性収縮と言って、一定の速度で起こる筋収縮です。しかし、基本的に等速性収縮は一般的なトレーニングで使われることはほとんどありません。筋収縮をコントロールしてくれるBIODEXなどの特殊な機器が必要で、リハビリーテンションやアスリートの体力測定に使われています。

 

 

僕たち一般人が関わることはめったにないので予備知識にどうぞ!

 

筋収縮のメカニズムを簡単に解説

【筋収縮・前編】筋収縮の指令は脳から神経を通って筋肉に伝わる

次に、こういった筋収縮のメカニズムについて解説していきます。ややこしいところは、省いたり、かみ砕いたりして説明するので、筋収縮の概要を分かっていただければと思います。

 

 

筋収縮は脳からの指令で始まります。まず、脳の一次運動野という領域から運動の指令が出ます。運動の指令は運動神経という神経細胞を伝って筋線維に伝わります。運動神経では活動電位(電気的なインパルス)という神経の発火が起こって筋線維に運動の指令が伝達されます。

ヒューマンアナトミーアトラス2019を参考、一部編集:アプリはこちらから

 

一本の運動神経は複数(数十~数千)の筋線維につながっています。この一本の運動神経が何本の筋線維につながっているかを運動単位と呼んだりします。

 

 

運動神経と筋線維がつながっている場所を、神経筋接合部と呼びます。活動電位が神経の末端である軸索終末まで伝わると、神経伝達物質のアセチルコリンがシナプス小胞から放出されます。アセチルコリンが筋線維側のアセチルコリン受容体というアセチルコリン専用の受け皿につくと、指令が筋線維に伝わります。

 

 

まずここまでが、筋収縮が起こるまでの前半戦です。

 

【筋収縮・中編】電気の次は物質の受け渡し

神経筋接合部でアセチルコリンの受け渡しが終わると、活動電位が筋線維にある筋鞘(筋線維の膜)とT管(筋線維の内部に通じる管みたいなやつ)という組織を通じて伝達されます。

 

 

T管を通じて活動電位が筋線維の内部に入ると、筋小胞体という構造体からカルシウムイオンが放出されます。電気にビックリしてカルシウムイオンを出しちゃうイメージです。可愛くないですか?笑

 

 

放出されたカルシウムイオンは、筋線維を構成する筋原線維にあるトロポミオシンというタンパク質にくっつきます。

 

 

筋肉は筋線維の束ですが、じつは筋線維も筋原線維の束なんです。次章からは、この筋原線維が主役になります。

 

 

【筋収縮・後編】筋収縮はフィラメントの滑走説で説明されている

 

筋線維を構成する筋原線維は無数のアクチンとミオシンというフィラメントが交差するようにしてできています。簡単に言うと、「ミオシンは太いフィラメント」で「アクチンは細いフィラメント」です。また、アクチンにはトロポニン、トロポミオシンという2種類のタンパク質が絡みつくようにして付着しています。

 

 

細かいメカニズムはここでは省略しますが、筋小胞体から出たカルシウムイオンがトロポミオシンに結合すると、左右のアクチンフィラメントがミオシンフィラメントに引き込まれるように中央に向かってスライドします。筋原線維ではアクチンとミオシンの組合せが何セットも連なっているので、これらがスライドすることで筋肉全体が収縮することになります。

 

 

この、アクチンとミオシンがスライドして筋が収縮することをフィラメント滑走説と言います。

 

 

僕たちは普段何気なく筋肉を動かしていますが、実はこんなにたくさんの過程があるんですね。

体ってすごい。

 

 

筋収縮のエネルギー源になるATPという物質

先ほど紹介したアクチンとミオシンによるフィラメント滑走説ですが、滑走するにはエネルギーが必要になります。そのエネルギーの源になるのがATP(アデノシン三リン酸)という物質です。ATPは筋肉のエネルギー源であり、運動時の代謝特性によってさまざまな方法で合成されます。

 

エネルギー合成と代謝特性はまた別記事を参考にしてください。

 

 

筋収縮が起こっていない安静時、ATPはミオシン頭部と呼ばれる場所で蓄えられています。このミオシン頭部はアクチンを引き込むための手のような役割をする部位です。

 

 

アクチンについているトロポニンにカルシウムイオンが付着すると、トロポニンの構造が変化します。すると、トロポニンについているトロポミオシンが移動してアクチンがミオシン頭部にくっつくことのできる部位があらわになります。アクチン側の手が出るイメージです。

 

 

すると、ミオシン頭部は蓄えていたATPを分解してエネルギーを取りだし、そのエネルギーを使ってアクチン側の手と握手し、自分の方へ引きずり込みます。

 

 

ATP(アデノシン三リン酸)はその名前の通り、アデノシンと3つのリン酸が結合してできています。そして、もともとはバラバラだったアデノシンと3つのリン酸が合成されてATPになる際に、エネルギーが蓄えられます。

 

 

ATPは分解されるとリン酸基が1つ取れて、ADP(アデノシン二リン酸)になります。この時に蓄えられていたエネルギーが放出されるわけです。

 

ちなみにATPのAはAdenosine (アデノシン)、TはTriple (トリプル)、PはPhosphate(リン酸基)です。なので、リン酸基が1つ取れたADPのDはDoubleのDということになります。

 

 

ミオシンとアクチンがスライドする際にATPを分解しますが、この時はミオシンATPアーゼという酵素で、効率的にATPをADPと無機リン酸(Pi)に分解が行われています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

 

筋収縮の仕組みをざーーっくり紹介しました。実は何気なく毎日動いている間も筋肉はとっても複雑なメカニズムで収縮し、僕たちの運動が成立しています。

 

筋収縮には数種類の様式があること、複雑なメカニズムがあること

 

この2点を覚えておいてもらえればなと思います。

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