「水泳では肩甲骨が大事」。そんな言葉はもう聞き飽きたかもしれません。ですが、ここで改めてその大事さを考えたいと思います。肩甲骨が大事だというのは間違いありませんが、体は「繋がり」でできています。なので、肩甲骨も身体の他の部分との「繋がり」「関係性」が大事なんです。特に上腕との関係性が一番重要になってきます。
理想はストロークで肩甲骨と上腕骨が並ぶこと
では早速その上腕との関係性を見ていきます。
特に重要なのが、手を水のにエントリーさせたとき(前に入れて伸ばしたとき)です。
これは4泳法いずれの場合にも共通するシーンです(両手か片手かの違い)。
この時に、ただ腕が頭の上に伸びているだけでは近くの水を掴めないので、小さなストローク(水を押す距離が短い)になります。
それでも無理矢理腕を伸ばそうとすると、今度は姿勢が崩れてしまいます。
背泳ぎやクロールでは片方に身体が歪みすぎる。
バタフライや平泳ぎでは体が反り過ぎるなど。
ではどうするか。
それは肩甲骨ごと動かすことです。
これができるようになると、水をキャッチする位置が遠くになりますし、肩に負担なく強いストロークができます。
ここからはもう少し具体的に。
腕を伸ばした時に肩甲骨にある肩甲棘と上腕骨が一直線に並ぶようにします。
肩甲棘は下の図のように、肩甲骨の上部を通る出っ張りで、触ることもできます。
肩の一番出っ張っている場所から、肩甲骨の方へ骨を伝っていくと触れます。
上腕を頭上に伸ばした時に、それと同じ角度で一直線に肩甲棘が並ぶように、肩甲骨ごと上に動かす。
イメージとしては、肩甲骨の下角を開いてそこからスライドするように上げる感じ。
練習方法は後で。
肩甲骨と上腕骨が一直線に並ぶ状態の1つにゼロポジションというのがあります。
下記の動画を参照。
でも、これは水泳の一部のシーンでしか使いません。
(例えば背泳ぎのストローク序盤とか)
手をエントリーしたシーンでは、明らかにこれより高い位置に腕を伸ばしています。
ですが、その時にも肩甲棘と上腕骨は一直線になるのが理想です。
おおよそ、キャッチをして肘を立てるくらいまではこの肩甲骨と上腕が一直線に並ぶ状態が続くことになります。
それ以降は上腕が動くので、肩甲骨との関係性は変化していきますが。
まずはストリームラインから組んでみよう
肩甲骨を上手く使って泳ぐにも、まずはストリームラインが基本になります。
肩甲骨周りが硬い、もしくは上手く使えていないとストリームラインの組み方にも影響が出ます。
というわけで、肩甲骨の動きを確認しながらストリームラインの練習をしてみましょう。
①まずは肩甲骨を一旦寄せてから下げる
②大きな円を描くように腕を上げていく(肩甲骨の下の角が外回りに上がっていくように)
下の角が動いているのが分かりやすいかも↓
2人でやるなら、後ろから触ってあげると良いかも。
③組む
この時に、肩甲骨があまり動かないまま、腕だけ内側に入って絞り上げるようなストリームラインになっていないでしょうか。
要注意です。
また、肩と耳がくっつくほどに絞り上げなくても良いですが、スペースは潰しておきましょう。
動かす
次に肩甲骨をしっかり動かしてストローク動作に移っていく練習をします。
それでも基本はさっきのストリームラインになります。
①まずはストリームラインを組みます。
②次に手を離して、自分がストローク動作をするときの幅くらいに開きます。
③その状態で上に動かします。
まず分かりやすいように右手だけ
次は両手同時に
④また元の位置に戻ります。
以上①~④を繰り返していきます。
慣れてくるとリズミカルに動くようになってきます。
腕だけでなく肩甲骨ごと動かすこと。
2人いる場合は肩甲骨に触れてあげると良いです。
これを繰り返すことで、肩甲骨の動きが分かってきます。
はじめは硬かったり、感覚が無くて、動かなくてもかまわないと思います。
繰り返し動かしているうちにほぐれてきます。
注意点としては、お腹、お尻、首の後ろをしっかりと締め、体はブレないようにすることです。
また、腕が内側に入りすぎて首筋のスペースがなくならないように注意です。
以上です。