ブログではノウハウもたくさん綴ってきましたが、指導者として何が大切かと考えたときに、技術的なところだけでなく、指導哲学的なところも同じくらい大切と思いました。なので、ブログではそれも語っていけたらなと思います。今回は特に初心者の方、お子様へ指導させていただくときの想いです。
人は結局のところ心が先
人の行動の原動力は結局のところ心です。
鬼滅の刃みたいなこと言ってるけど、冗談抜きでそうです。
「上手くなりたい」
「楽しい」
「嬉しい」
「もっとやりたい」
そういったなんらかの感情で心が動かないことには、どれだけ環境を与えられても人は頑張りません。
もちろん「やらなければいけない」という義務感も感情の1つではあります。
でも、「やらなければいけない」が最初にあって水泳をして欲しくはないし、
原動力が義務感では上達する上限もたかが知れています。
それに、我々としても最終的にはレッスンを通じて「自発的に頑張る力」とか「自分で考える力」をつけて欲しいと思っています。
そうなってもらうために「楽しい」などの感情を引き出すべくどんなことをしているのか。
正しいは後!まずは成功体験
正しい泳ぎが何かと聞かれると、甚だ疑問です。
スピード?綺麗さ?効率の良さ?
それって意外と脆弱な概念。
美しい泳ぎの基準だって長期的に見ればトレンドがあるし、
世界記録はすぐに更新される。
だからそこにこだわりすぎて、「べき」を押し付けるのは良くない。
(まあ、ある程度一般的な基準で「綺麗」になるように指導はしていますけれど)
とにかく、そんな「正しい」と言われることよりもまず優先していることがあります。
正しいも大事ですけどね!!
それが「成功体験」です。
泳げない状態の時=できないことがある状態の時って
漠然とした不安や、見通しの見えない不安を持っています。
一方で、自信がありません。
もちろんレッスンは楽しいかもしれないけれど、その状態では水泳そのものに対する本当の意味での「楽しさ」みたいなのは見出しにくいと思うんです。
じゃあ、そんな楽しさをどうやったら引き出せるかと考えた時、
「やっぱり成功体験だ!!!」
となったわけです。
小さくてもいい、ぎこちない泳ぎでもいい、他人から見たら溺れているように見えてもいい。
まずなんでもいいから本人なりに成功体験を積んで欲しいんです。
それがあれば「嬉しい」「もっと」と思える。
「嬉しい」「もっと」と思えるから、練習を頑張れる。
精力的に取り組める、アドバイスも入りやすい。
これ、通常の水泳指導とは逆をいっていると思います。
まずは目指そう25m
通常であれば順序がしっかりしています。
我々の指導もある程度の順序は大切にしています。
でも、どちらかというと本人さんの意思に任せるところも大きいですし、たとえぎこちなくてもいける時はどんどんいってもらいます。
その最たる例が、「まずは25m」です。
25mを泳ぐって初心者の時は1つ大きなハードルになります。
ですが、自分たちとしてはそこに大きなハードルを感じずにん取り組んでもらいたい。
まずはどんな形でも良いので泳ぎ切ってもらい、成功体験を積んでもらいます。
まだまだクロールが難しい段階で、ビート板キックの練習中、なかなか進まない段階であっても25m頑張ってもらう時があります。
息継ぎのクロールに取り組み始めて、まだまだぎこちなく、不安定な泳ぎの時であってもなんとか足をつかずにまずは25m泳いでもらいます。
そしてめっちゃ褒めます。
そうすることで成功体験も積めますし、25m泳ぐということの見通し、もっとうまく泳いでみたいというモチベーションにもつながります。
もちろんまだ上手ではない段階の25m、始めて泳ぐときは苦難だと思います。
ですが、そこを1度でもクリアしてしまえば見えてくる景色が変わります。
1度できて達成感を味わうと、何度も何度も自分から泳がれます。
そのモードになったら、細かく口出しすることは一旦ストップして、何度も何度も泳いでもらいます。
その自発的な気持ちを大切にしたい。
水を差したくない。
ある程度してきてから、細かく指導をします。
そうすると、やっぱり不思議と上達が加速します。
動機づけが外からのものだった状態から、内側(自分自身)に変わる瞬間なんだと思います。
なので、極端な話ですが
まだまだ泳げない小さいお子様が「クロールできた!」と言って、もがいてなんとなく進んでいるだけでも
「そうだね」と言っておきます。
自分から真似して泳ごうとしたその気持ちが素晴らしい。
水泳が楽しいということです。
しっかりしたクロールなんて後でいくらでも教えることができます。