これからお子様が競泳を始めるというとき、もしくは将来的に競泳をしたいというときに最も大切になってくることの1つがチーム選びです。これは本当に重要です。今回は競泳クラスのチーム選びのポイントについてご紹介します。競泳以外の通常クラスを選ぶ場合にも、競泳クラスを見るというのは参考になるので是非。
*今回紹介する内容は個人的見解ですし、特定のチームを批判したりするものではありません。指導者様それぞれの努力があることは当然ですし、そのおかげで競泳の世界が成り立っています。ですが、消費者という立場になった時に「選び方」を知らないのはフェアではないなと思うので書きます。
大まかな内容は以下の通りです。
1.消費者としての心得
2.人間は環境に左右される
3.「スイムレコードどっとこむ」で競技結果をチェック
4.1人の天才より平均点
5.幅広い年代、特に思春期以降の選手の平均点を見る
6.見学や体験に行く
「吟味して選ぶ」という消費者として当たり前のこと
いくつか選択肢がある中で、それぞれを比べて自分に合ったものを選ぶというのは資本主義経済に生きている私たちにとっては普通のことです。
選ばれるために各企業は努力をするし、個性を出します。
例えば、多くの人はスマホをauかドコモかソフトバンクかで悩みます。
最近は楽天モバイルなど格安スマホもたくさん出てきて、そちらに乗り換えようかも悩んでいる方は多いかと思います。
水泳のチーム選びも同じです。
選択肢がたくさんある中で、どれを選ぶかを本来であれば考えるべきです。
4泳法を習得するだけであれば、家からの近さや価格だけで選んでも大差ないかもしれません。
ですが、「競泳」となると話は変わります。
「4泳法を習得する」という場合は過去の自分からの成長だけで評価ができます。
しかし、競泳は「他人と競う」要素が入ってきます。
勝つためにはよりレベルの高いスキルを要求されるのが競技です。
人間は環境に左右される
人間は環境に左右されます。
環境に応じて変化します。
良い環境に身を置けば、良い成果がついてきやすくなります。
意識の高い集団にいれば、自分まで意識が高くなります。
というか、それが当たり前の状態になって、自覚がないまま第三者から見ると「あいつすげー」って状態になります。
一方、質の低い集団にいれば自分まで気が付けばそちら側になります。
例えば、すぐ人の悪口を言うような人の輪に入っていると、気が付けば自分も人の悪口話に花を咲かせます。
バイオリンで才能教育を実践し、たくさんの「天才」と呼ばれるバイオリニストを育てた故鈴木鎮一氏はその著書「愛に生きる」において”才能は生まれつきではない””人間は環境の子である”ということを述べています。
つまり、人間は生まれつきの才能ではなく環境によってその能力を開花させるということです。
だからと言って全員が超一流になることはありませんが、どうせやるならできるだけ良い環境に身を置きたいとは思いませんか?
*参考文献:鈴木鎮一「愛に生きる」講談社現代新書 1966年第一刷 2018年第96刷発行
また「競泳」をするのだから「競泳」についてしっかり取り組める環境にあって初めて人間形成としても役に立ちます。
「人間形成」を前面に押し出しているところでは逆に人間形成がイマイチな気がします。
競技について深く考え、打ち込むという行為が最終的に人間形成に繋がります。
それは物事に打ち込む力を身に付けるということもそうでしょうし。
自分がその競技についての苦労を味わったからこそ他者を尊敬する気持ちや礼儀が理解できるということにも繋がります。
「人間形成」などの曖昧さを初めから強調するチームではなく、「目指せ全国大会」や「確かな指導力」など、ちゃんと競泳についても言及しているところの方がスタッフ側も常に自己研鑽をしているように思います。
もちろん結果だけに目を向け、「速ければ何をしてもいい」という思考のチームはよくないと思います。
ある程度は実際に所属してみないと分からないことも多いので、違うなと思ったら遠慮なく移籍しましょう。
それも消費者として当たり前の権利です。
指導者を選ぶのは選手の権利です。
移籍しようとすると証拠もないのに「引き抜いた」と言ってくる大人もいるそうですが、そんなところは本当に早く移籍すべきです。
所属チームに関係なく、子どもたちを育成していこうという気概がないのでしょうか。
プロスポーツではないのに、、、。
ここまでをまとめます。
選び方のポイント①:資本主義に生きる消費者として「選ぶ」を忘れてしまってはいけない。
選び方のポイント②:人間は環境に左右される。
選び方のポイント③:違うと思ったら遠慮なく移籍する。
1人の天才より平均点
ここからはもう少し具体的にチームを選ぶときに考えたいポイントを書いていきます。
まず前提として、どんなチームにも数年に1~2人は才能に恵まれた選手が入ってきます。
ですが、その子の競技成績だけを見てチームを選ぶのは危険です。
というのは、その子の成績は必ずしもそのチームの強さや指導力、環境の良さを表していないからです。
だって他にもたくさん選手がいる中で、たった1人ですもの。
ではどうやって見極めるか。
それは実際の試合結果を見てください。
「スイムレコードどっとこむ」で全国各地の試合結果がご覧になれます。
*スマホの場合はページ一番下の「PC版」をタップして切り替えます。
ポイントはチームの「平均点」を見極めることです。
所属しようか悩んでいるチームの成績を見ます。
1人だけ上位に入賞する選手がいて、他の選手は下位ばかりのチームなのか。
そのチームに所属している選手たちが比較的上位にいる確率が高いか。
おそらく指導力やチーム環境は後者の方が良い可能性が高いです。
1人だけすごい選手がいると、その選手がいる間は周囲も引っ張られて環境が良くなるかもしれませんが、その選手が引退したら終了です。
もしくはその選手は環境に恵まれていればさらなる高みに行けたかもしれません。
幅広い年代、特に思春期以降の選手の平均点を見る
もう一点「スイムレコードどっとこむ」を活用して見てもらいたいのは、「幅広い年代の競技結果を見る」ということです。
前章で紹介した通り、平均点の高いチームを選ぶのは良いことですが、特定の年代だけをチェックするのは危険です。
特に小学生の頃だけを見るのは一番危険です。
理由は3点ほどあります。
1.小学生の頃は発育発達段階の個人差も大きいので競技成績にも多大な影響
2.早くから選手クラスにいるというアドバンテージの差が大きい
3.技術的な上手さより、とにかく泳いだ量だけで結構左右される
そこでチェックしてもらいたいのが中高生クラスの競技結果です。
その年代の選手たちも平均点が高いかどうかみてください。
最もおすすめしないのは「小学生のクラスは平均点が高いのに中高生になると途端に弱くなる」「中高生になると人数がすごく減っている」という傾向にあるチームです。
一方、各年代に渡って平均点が高く、人数規模がそのチームなりに保たれている場合はおすすめです。
では、その差はどうして出てくるのでしょうか。
理由は4つほどあります
1.身長体重の個人差が減っても記録が伸びている=技術指導やトレーニングが理に適っている
2.成長段階や将来を見据えた長期的な視点で指導がされている
3.思春期に突然記録が停滞して抜け出せない確率が低い→移籍や引退の確率が低くなる
4.小学生の頃から体の負担がかからない泳ぎを教えている=ケガで潰れる可能性が低い
5.学童期で燃え尽きないよう考慮されている
6.楽しければ競泳を続ける可能性が高い
ただし、拾いきれないこととして「試合に出ていない、もしくは潰れた選手が何人いるか」というのがあります。
絶対数が多くて精鋭だけが試合に出ている場合もあるので。
それは実際に見学に行ったりするしかないかもしれません。
中高生の選手の状況は、自分のお子様の将来の姿をどことなく反映していると思ってください。
こういったことを考慮した上で、価格や通いやすさなどと相談して決めていただければなと思います。
見学や体験に行く
まあ、なんと言っても百聞は一見に如かず。
実際に脚を運んで見学や体験に行くことは重要です。
理屈ではないこと(例えばなんだか雰囲気が肌に合わないなど)もありますから。
この時も比べることを重視して、何件か行ってみてください。
ここまでをまとめます。
選び方のポイント④:1人の天才よりチームの平均点を見る
選び方のポイント⑤:幅広い年代、特に思春期以降の成績を見よう
選び方のポイント⑥:それを考慮した上で価格や立地と相談
選び方のポイント⑦:実際に見学や体験に行く
最後に
繰り返し言っておきますが、今回紹介した内容は個人的見解ですし、特定のチームを批判したりするものではありません。ですが、消費者という立場になった時に「選び方」を知らないのはフェアではないなと思うので書きした。
そうは言ってもこんな内容書いていては嫌われそうです。でも、万人受けを狙うと破綻するのも世の常です。必要な情報はシェアしてこそのネット社会かと思います。