肩甲骨を使って泳ぐ方法がわからない人へ【基本・方法・動作改善】

「肩甲骨を使って泳ぎなさい」と言われても、どうやって使うかわからない、感覚が分からない、そもそも肩甲骨周りに感覚が無い(感じれない)という人も多いはずです。そこで今回は肩甲骨を使って泳ぐための感覚をつかむ方法をいくつか紹介したいと思います。読んだからといってすぐに肩甲骨が動きまくったり、泳ぎの中で肩甲骨を使えるようになったりするわけではありませんが、何かのヒントになれば良いなと思います。

 

泳ぎの中で肩甲骨を使う場面:肩甲骨の役割

泳ぎの中でいつ肩甲骨を使うかというと、ほぼすべての場面で使っています。

ストリームラインを組む時、水をかくとき、リカバリーしてくるときなど、本来ならあらゆる場面で肩甲骨を使います。

ところが、肩甲骨を効果的に使えていない泳ぎだと肩を起点に動作が始まってしまい、なんとなく小さな泳ぎに見えたり、窮屈そうな泳ぎに見えたりします。

他にも遠くに手をエントリーさせにくかったり、力強く水をかくということがしにくかったりします。

 

人間が本来持っている肩甲骨の機能は2つです。

腕の動きの起点(下半身で言う骨盤みたいなイメージ)

・胸郭(ざっくり言うと肋骨で囲われてるとこ、もっと言うなら胴体)から独立して腕を動かす

 

泳ぐときにもこの機能がきちんと働いているかどうかは重要になります。

肩甲骨の動き6つ

肩甲骨には6つの動きがあります。

この6つを組み合わせたり、適切なタイミングで適切な動作ができることで複雑な運動が可能になります。

・挙上:肩をすくめる動き

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

・下制:挙上の逆で、引き下げる動き

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

・内転:内側へ肩甲骨を寄せうる動き

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

 

・外転:肋骨にそって外側へ開く

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

・上方回旋:肩甲骨が肋骨に沿って上に回旋するように動く

下の角が外向きに上がっていく

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

・下方回旋:肩甲骨が肋骨に沿って下に回旋するように動く

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

泳ぎで重要になる肩甲骨の動き

水泳をするうえで、肩甲骨の動きは全て重要ですが、特にできて欲しい動きは上方回旋、下方回旋と下制です。

というのも、挙上や内転・外転は多くの人がすぐにできます。

逆に肩甲骨を効果的に使った泳ぎができない人は上方回旋と下方回旋、内転+下制の感覚がつかめず、代わりに挙上や内転ばかりを使っているように見えます。

上方回旋はリカバリーやストリームラインで遠くに安全に腕を伸ばすために重要になります。

下方回旋、内転+下制は水をかくときに広背筋や大胸筋などを中心に全身で力強くプルをするためにとても重要になります。

 

肩甲骨が使えていない人、硬い人の特徴

肩甲骨の機能が悪くなる主な原因は大きく2つです。

①日常生活での不適切な運動パターン(手先だけで楽をしているとか、姿勢が悪いとか)

②肩甲骨周りや全身の筋肉が硬い、筋膜やその他結合組織の癒着が酷い

普段から肩甲骨を使わないような動作をしている人が、泳ぐときだけ都合よく肩甲骨を上手く使えるわけではありません。

不適切な呼吸や姿勢が原因で肩甲骨を使って体幹部から腕を独立させて動かせていないことなどがよくあります。

また、普段の姿勢の悪さや肩甲骨を使わない運動パターンを繰り返しているため肩甲骨周りの筋肉が硬くなっていて思い通りに動かないこともあります。

 

肩甲骨の機能が悪くなる原因はたくさんありますが、効果的に使えていない人・硬い人の大きな特徴はこの2つ。

・両手を真っ直ぐ前や横から頭上に挙げた時に首すくめてしまうこと、体が反ってしまう

・全身を使って物を引き寄せようとした時、首をすくめてしまう

当てはまる人は肩甲骨を効果的に使えていないかもしれません。

肩甲骨を使えないのは、肩甲骨と周辺に原因があるか、それ以外の場所や機能(コアが不安定など)に原因がありますが、今回の記事では「それ以外の原因」を深く掘り下げることはできませんのでご了承下さい。

リカバリーで使う肩甲骨の動きの感覚をつかむ

クロール、背泳ぎ、バタフライのリカバリー動作において肩甲骨を使えるかどうかは大きな差になります。

肩甲骨を効果的に使えると、手を遠くにエントリーさせることができ、エントリーしてからもしっかり遠くへ手を伸ばすことができます。

また、無茶なフォームで泳いで肩をケガすることも減ると思います。

 

リカバリーで重要な肩甲骨の使い方を覚えるための動きの練習を紹介します。

まずは腕を横から挙げる練習です。

肩甲骨の上方回旋ができないと、挙上だけONになって首をすくめてしまいます。

 

まずはリラックスした状態で立ちます(膝立ちでもOK)。

片方の手で、もう片方の腕(動かす方)の上腕骨の頭を触ります。

体側に沿って腕を横から挙げていきます。

この時に上腕骨が下にズブズブ入っていくのを感じてください。

首をすくめて肩と頭のスペースが無くならないよう注意です。

姿勢を真っ直ぐしたまま腕を胴体から引きはがすようにすると肩甲骨の上方回旋を意識しやすいです。

そのまま肩甲骨の上方回旋を意識し、最後に肩甲骨を挙上し、もうひと伸びします。

この動作を左右で繰り返していきます。

 

この練習はバタフライ、クロールのリカバリー動作に効果的です。

一見簡単そうな動きですが、肩甲骨を使えていない人には難しいです。

後ろから肩甲骨の動きを撮影するとこんな感じになります。

ほどほどに体が絞れているので、肩甲骨が上方回旋して行くのが分かると思います(笑)

この動きを左右交互に行い、ローリングが入ればクロールのリカバリーの基本形になります。

両手同時におこなってうねり動作が入ればバタフライのリカバリーです。

陸でこの動作ができれば、水中で自分のフォームに落とし込んでいきます。

(→肘を曲げる角度やローリングの程度などを調整)

 

次は背泳ぎのリカバリー動作を想定した練習です。

この練習でも肩甲骨を使うために2点を常に意識してください。

・姿勢を維持したまま腕を胴体から引きはがす意識

・最初に首をすくめない

練習は寝た姿勢でもOKです。

イメージとしては手先より肘を起点として腕を上げていきます。

寝た姿勢で行う場合は、肩の上を肘が通過したくらいからは重力に任せて腕を降ろしていきます。

脱力はしつつもコントロールをしてください。

ただ脱力しているだけだと変な方向に腕が行っちゃいます。

水をかく時に重要な肩甲骨で引く感覚をつかむ練習①

肩甲骨を使って水をかくのは4泳法すべての泳ぎに共通しています。

水泳では水をかくと言っていますが、そのためにはまず人間の基本動作の1つである「プル」ができるようになる必要があります。

 

「プル」の基本は3つです。

①何か物を自分の方へ引き寄せるというイメージだけでなく、自分の体をものの方へ引き寄せる感覚も持つ

例:バーベルを地面から引き上げるのは物を自分に引き寄せているが、懸垂をする時は自分が鉄棒へ向かっていく。自分の体を全身を使って鉄棒へ引き上げる。

②常に安定した姿勢を保って全身で引く

③肩甲骨の動きは下制+内転、下方回旋

 

この「プル動作」を家で練習する方法を2つ紹介します。

いずれもストローク動作で水をかくときに必要になる肩甲骨の内転+下制、下方回旋を覚える練習です。

2つの練習はプル以外にも平泳ぎのリカバリー動作にも役立ちます。

 

まず両腕を前に伸ばします。最初は地面と平行よりやや下の方がやりやすいかもしれません。

腕には余計な力を入れず、指先を伸ばしたままリラックスします。

姿勢をある程度保ったまま、5cmくらい前をタッチするつもりで両腕を肩から丸ごと前にスライドさせます。

そうすると肩甲骨が外転して開いているのが分かると思います。

上手くできれば肩甲骨(背中)が左右に開いて張る感じがあります。

首をすくめたりしないように注意してください。

次にその状態から肩甲骨を使って腕を引いてきます。

3つのことを意識すれば肩甲骨を使いやすくなります。

①背中の左右に開いて張っているところを閉じていく(肩甲骨内転)

②斜め下に閉じていくイメージで肩甲骨を下げる(肩甲骨下制)

③首はすくめず、胸を若干天井に向かって出していく

 

以上の動作を自分がやりやすいリズムで繰り返していきます。

慣れてきたら少しずつ腕を高くしていきます。

動き方の意識は同じです。

最終的にはこのあたりで腕を伸ばして行えればOKです。

水をかく時に重要な肩甲骨で引く感覚をつかむ練習②

プル動作2つめの練習はタオルを使います。

まず適当なタオルを準備してください。

長座になり、足にタオルをひっかけます。

さっきの①の練習と同じ要領で肩甲骨を開くようにして腕を前に出します。

背中を丸めてみると意識しやすいかもしれません。

そこからタオルを引いてきますが、イメージは自分の上半身が前に行くようにします。

引くときは腕や手の力を強く入れず、肩甲骨の動きを意識します。

手はタオルに引っかけているだけ、腕は手と肩甲骨をつないでいるだけという意識です。

肘は少し内側へ締めていくような感じがあるとわかりやすい人もいます。

首はすくめず、胸を少し上げていく感じを持ちます。

この動作を繰り返します。

場所がある人はタオルをどこかに引っかけて立位で行うとより実践的です。

広背筋がしっかり伸ばされた状態を作るので、下方回旋をしている感覚がつかみやすいです。

ストロークで必要なプルオーバー動作の感覚をつかむ練習

このエクササイズはストローク動作に極めて近い動きで肩甲骨を使う動きを学習できます。

さっきのプルよりも水泳に実践的な練習です。

この練習ではバランスボールやストレッチポールなどの「転がる物」が必要になります。

今回はストレッチポールで行います。

バランスボールで行う場合は膝立ちやってみてください。

諸事情あって背景を写せないので、ハワイの海にしてあります(笑)

背筋を伸ばした正座姿勢でポールに手をつき、ポールを前に転がすようにして体を倒していきます。

ポールには手を添えるだけです。

手首の下くらいにポールが来るまで前に倒れます。

姿勢は真っ直ぐを意識したまま肩を入れる感じです。

そこから脇を締めるように使う意識で元の姿勢に戻していきます。

首はできるだけすくめずに行います。

手で引かないように注意です。

この動きを繰り返していきます。

感覚として脇の少し下あたりが使えているとOKです。

 

ポールだと寝転んで行うことも可能です。

腰が反るほど引かなくて良いです。

今回使用しているストレッチポール

ストレッチポールはEXとMXがあります。

EXは一般的なサイズです。MXは身長が低い方や女性にも最適です。

またMXの方が柔らかくて小さいので背骨が痛くなりにくいです。

僕は人より尾てい骨が長くて痛いのでMXです (笑)

 

バランスボール

バランスボールは割れたとか明らかにヤバそうなレビューが無ければ正直どこのメーカーでも大差ないと思います。

そしてどこのメーカーでも届いた瞬間は多かれ少なかれゴム臭がします。

 

まとめ:肩甲骨を使うために必要なこと

いかがだったでしょうか?

「肩甲骨をもっと大きく使って泳ぎなさい」

よく聞く指摘ですが、使い方がそもそもわからないのに使えるはずがないですよね。

使えるようになるには2つのことが必要です。

①そもそもどんな動きができるかを知る(内転とか下制とか)→体の取り扱い説明書を読む感じ

②それを踏まえて実際に動かす

今回の動きだけが水泳で必要な肩甲骨の動きではありません。

でも、基礎の基礎ですのでまずはここからだと思います。

 

 

Yusan
記事に関して何かご質問がある場合はこちらまで。 

参考資料に使ったヒューマンアナトミーアトラス2019エディションはこちらから

https://www.visiblebody.com/ja/anatomy-and-physiology-apps/human-anatomy-atlas

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