「肩甲骨を使って泳ぎなさい」と言われても、どうやって使うかわからない、感覚が分からない、そもそも肩甲骨周りに感覚が無い(感じれない)という人も多いはずです。そこで今回は肩甲骨を使って泳ぐための感覚をつかむ方法をいくつか紹介したいと思います。読んだからといってすぐに肩甲骨が動きまくったり、泳ぎの中で肩甲骨を使えるようになったりするわけではありませんが、何かのヒントになれば良いなと思います。
より肩甲骨が使えるようになる記事はこちらから
泳ぎの中で肩甲骨を使う場面:肩甲骨の役割
泳ぎの中でいつ肩甲骨を使うかというと、ほぼすべての場面で使っています。
ストリームラインを組む時、水をかくとき、リカバリーしてくるときなど、本来ならあらゆる場面で肩甲骨を使います。
ところが、肩甲骨を効果的に使えていない泳ぎだと肩を起点に動作が始まってしまい、なんとなく小さな泳ぎに見えたり、窮屈そうな泳ぎに見えたりします。
他にも遠くに手をエントリーさせにくかったり、力強く水をかくということがしにくかったりします。
人間が本来持っている肩甲骨の機能は2つです。
・腕の動きの起点(下半身で言う骨盤みたいなイメージ)
・胸郭(ざっくり言うと肋骨で囲われてるとこ、もっと言うなら胴体)から独立して腕を動かす
泳ぐときにもこの機能がきちんと働いているかどうかは重要になります。
肩甲骨の動き6つ
肩甲骨には6つの動きがあります。
この6つを組み合わせたり、適切なタイミングで適切な動作ができることで複雑な運動が可能になります。
動画を見ながら確認してみてください。
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・挙上:肩をすくめる動き
・下制:挙上の逆で、引き下げる動き
・内転:内側へ肩甲骨を寄せうる動き
・外転:肋骨にそって外側へ開く
・上方回旋:肩甲骨が肋骨に沿って上に回旋するように動く
・下方回旋:肩甲骨が肋骨に沿って下に回旋するように動く
泳ぎで重要になる肩甲骨の動き
水泳をするうえで、肩甲骨の動きは全て重要です。
その中でも特に意識ができていない、わかりにくいのが上方回旋と下方回旋、内転+下制です。
というのも、挙上や内転・外転は多くの人がすぐにできます。
逆に肩甲骨を効果的に使った泳ぎができない人は上方回旋と下方回旋、内転+下制の感覚がつかめず、代わりに挙上や内転ばかりを使っているように見えます。
上方回旋はリカバリーやストリームラインで遠くに安全に腕を伸ばすために重要になります。
上方回旋中は補助的に内転を使います。
下方回旋、内転+下制は水をかくときに広背筋や大胸筋などを中心に全身で力強くプルをするためにとても重要になります。
肩甲骨が使えていない人、硬い人の特徴
肩甲骨の機能が悪くなる主な原因は大きく2つです。
①日常生活での不適切な運動パターン(手先だけで楽をしているとか、姿勢が悪いとか)
②肩甲骨周りや全身の筋肉が硬い、筋膜やその他結合組織の癒着が酷い
普段から肩甲骨を使わないような動作をしている人が、泳ぐときだけ都合よく肩甲骨を上手く使えるわけではありません。
不適切な呼吸や姿勢が原因で肩甲骨を使って体幹部から腕を独立させて動かせていないことなどがよくあります。
また、普段の姿勢の悪さや肩甲骨を使わない運動パターンを繰り返しているため肩甲骨周りの筋肉が硬くなっていて思い通りに動かないこともあります。
肩甲骨の機能が悪くなる原因はたくさんありますが、効果的に使えていない人・硬い人の特徴は例えば、、、、
・両手を真っ直ぐ前や横から頭上に挙げた時に首すくめてしまうこと、体が反ってしまう
・全身を使って物を引き寄せようとした時、首をすくめてしまう
当てはまる人は肩甲骨を効果的に使えていないかもしれません。
肩甲骨を使えないのは、肩甲骨と周辺に原因があるか、それ以外の場所や機能(コアが不安定など)に原因がありますが、今回の記事では「それ以外の原因」を深く掘り下げることはできませんのでご了承下さい。
肩甲骨の動きの感覚をつかむ
クロール、背泳ぎ、バタフライのリカバリー動作において肩甲骨を使えるかどうかは大きな差になります。
肩甲骨を効果的に使えると、手を遠くにエントリーさせることができ、エントリーしてからもしっかり遠くへ手を伸ばすことができます。
また、無茶なフォームで泳いで肩をケガすることも減ると思います。
リカバリーで重要な肩甲骨の使い方を覚えるための動きの練習とプルで使える練習を動画で紹介します。
肩甲骨の上方回旋ができないと、挙上だけONになって首をすくめてしまいます。
お手本の動画を見ながら挑戦してみてください。
動画前半が上方回旋と下方回旋、後半がストロークの動きです。
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後半の種目では「ポール」などの転がるものが必要になります。
動画で使用しているのはストレッチポールです。
通常サイズは大きくて使いにくいので、僕はMXサイズを使っています。
肩甲骨を使って水をかくのは4泳法すべての泳ぎに共通しています。
水泳では水をかくと言っていますが、そのためにはまず人間の基本動作の1つである「プル」ができるようになる必要があります。
「プル」の基本は3つです。
①何か物を自分の方へ引き寄せるというイメージだけでなく、自分の体をものの方へ引き寄せる感覚も持つ
例:バーベルを地面から引き上げるのは物を自分に引き寄せているが、懸垂をする時は自分が鉄棒へ向かっていく。自分の体を全身を使って鉄棒へ引き上げる。
②常に安定した姿勢を保って全身で引く
③肩甲骨の動き:下制+内転、下方回旋
まとめ:肩甲骨を使うために必要なこと
いかがだったでしょうか?「肩甲骨をもっと大きく使って泳ぎなさい」よく聞く指摘ですが、使い方がそもそもわからないのに使えるはずがないですよね。使えるようになるには2つのことが必要です。①そもそもどんな動きができるかを知る(内転とか下制とか)→体の取り扱い説明書を読む感じ。②それを踏まえて実際に動かす。
今回の動きだけが水泳で必要な肩甲骨の動きではありません。でも、基礎の基礎ですのでまずはここからだと思います。