今回はバタフライ平泳ぎの時に上下動を減らし、前に効率よく進んでいくための頭部の使い方について書いていきたいと思います。ポイントは体の中でうねるようなイメージ。頭の位置を変えすぎないことです。
結構前に紹介した息継ぎの方法と似た内容かもしれませんが、お付き合い頂ければと思います。
*今回の内容が必ずしも結果を保証するものではありません。
皆様の泳ぎを改善する1つの考え方、参考資料として扱っていただけると幸いです。
上下動・うねりを減らすとどうなる
バタフライと平泳ぎにおける体の上下動は大きく分けて2つあります。
1つはストロークやキックの度に沈んだり浮いたりしている上下動。
もう1つは大きなうねりを作って泳ぐことで生まれる上下動です。
前者はまだ技術的に未熟なところが多く、今回ご紹介する内容以外にもたくさん取り組むところがあります。
問題は後者の「うねり」です。
確かにうねりがある方が、特にバタフライではリカバリー(手を戻す)や息継ぎがしやすく、手足のタイミングも合わせやすいです。
しかし、大きくうねりを作ることで抵抗の少ない流線型の姿勢から逸脱したり、潜ったり上がったりの幅が大きいことで水の抵抗も受けやすくなったりします。
うねりを減らし、できるだけ真っ直ぐな姿勢を維持することで水の抵抗を減少させることができ、推進力を無駄なく前に伝えていくことができます。
進みたいのは前であって、上や下ではありません。
キックやストロークで生んだ推進力をいかに無駄なく前に進む力に変えられるかは泳ぎの大きなポイントです。
・大きなうねりによる上下動は推進力を上や下にも分散させる
・大きなうねりによる上下動は水の抵抗を増やす
体の中でうねるようなイメージ
うねりによる上下動を少なくすることで水の抵抗は減りますが、そのせいで難しくなる点もあります。
それが姿勢の維持です。
水の抵抗がある場合、前に進む邪魔にはなりますが、姿勢を保ちやすいです。
「姿勢」と言っても「抵抗の少ない姿勢」ではなく「沈まない程度の姿勢」ですが。
なので、上下動を減らす場合には自分でバランスを取る能力が求められます。
必要な場合は陸でのトレーニングも有効ですが、基本は何度も泳いで練習することが先です。
うねりを少なくするとは言っても、完全にゼロにするわけではありません。
不必要な分(上下に推進力を分散させてしまう分)を削るというイメージです。
次項で紹介する「沈めるべき部位」だけ沈め、後は体の芯にしなやかさをもたせるような感じで、体の中でうねるような感覚です。
感覚の世界でごめんなさい。
頭は常に水面付近で前に、沈めるのは肺
頭が上下に動くと、それに連動して体も上下に動きます。
頭は背骨を介して全身と繋がっているので、頭の軌道に身体がついていくと考えてください。
頭が潜って上がってのうねりの軌道になると全身もその軌道をたどって、うねりが大きくなります。
先に紹介したように、体の中でうねるには頭の位置をできるだけ動かさず、水面付近に保ちます。
バタフライで息継ぎをしないときであれば、ずっと同じ位置です。
息継ぎをする場合でも、息継ぎに必要なだけ上に動くのみです。
その後も大きく沈めません。
頭を動かせないとなると、うねりの先導をどこの部位にやらせるか。
それが肺です。
肺は唯一空気の溜まっている場所で、人間の浮心です。
普段頭を沈めていたタイミング(エントリー後、息継ぎ後など)で、浮心である肺を沈めようとすることで、浮心に乗りやすくなり体も浮きやすくなります。
沈めようとするだけで、うねろう、浮かせようとはしなくて良いです。
また、空気が入っているので、沈めようと思っても簡単には沈まず、結局うねりが減ります。
うねりは減るけれど重心の移動ができるので、体の中での小さなうねりに近づきます。
肺を沈める時の注意点があります。
それは、肺を沈めようとして全身が沈まないようにすることです。
ドローインという水泳では基本になるお腹を引っ込める動きができないと、腹部と胸部(肺がある)を分断できません。
胸郭を柔らかく大きく使えないと頭と胸部を分断できません。
頭は常に高い位置(水面付近)に
胸郭を柔らかく大きく使うには、腹式呼吸、胸式呼吸を使い分けるトレーニング、胸・肩・脇腹・背中を中心としたストレッチングで柔軟性を改善することが効果的です。
呼吸についてはまた今後書いていきたいと思います。
息継ぎで大切な頭部の意識
最後に息継ぎ時の頭部の使い方を紹介しておきます。
ここまでご紹介したように、泳ぎ全般での意識は水面付近でキープすることでした。
ですが、バタフライだろうと平泳ぎだろうと息継ぎの時は頭を上げねばいけません。
まず注意するのが、できるだけ低く上げることです。
息が吸える最低限しか上方向に力を伝えません。
バタフライであればアゴが水面から離れない程度にしか頭を上げません。
平泳ぎでは腕を畳むスペースが必要なので、バタフライのようにはいきませんができるだけ低く前を心がけます。
特に平泳ぎでは上に頭を持ち上げる意識が強すぎると体が過度にのけぞってしまい、上どころか後ろへ力が伝わります。
できるだけ低くの次は、前にです。
バタフライであれば首を伸ばしていく、頭を前方へ突き出していくかのようなイメージで低く前に飛び出していきます。
平泳ぎはバタフライよりは高い位置で呼吸をしますが、体をのけぞらせず、斜め前方に飛び出していくようなイメージを持ちます。
飛び出しが低くて前になると、頭を水中に戻した後も、頭部が下に沈みにくくなり上下動を抑えることができます。
流れとしては
低く前に飛び出す→肺を沈めて頭部は水面付近に保つ
言うのは簡単だけど難しい
いかがだったでしょうか。言うのは簡単だけど実際にやるのは難しいですね。何度も挑戦するしかありません。「言うは易く行うは難し」ですね。