今回は泳ぐときの手のひらの形(指を全部開く?閉じる?)について、皆さんと一緒に考えていこうと思います。正解はありませんが、1下記の中で使い分けたり、いろいろ試して最も速く泳げる方法を探してみることがポイントです。
クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライを泳ぐとき、手のひらの形はどうしていますか?
指を開く(パー)?
指を閉じる?
親指だけ開く?
いろいろなタイプの方がいらっしゃると思います。
手のひらの形について、特に正解はなく、自分の泳ぎに合ったものを見つけていくことが一番です。
この記事でそのヒントになれば幸いです。
*この記事で紹介する内容が必ずしも結果やベストタイムを保証するものではありません。あくまでも参考までにどうぞ。
最も大切なことは、試行錯誤と何度も繰り返すことです。
指を開く(パー)にして泳ぐメリットとデメリット
指を開く、閉じるどちらを選ぶにせよまずは特徴をおさえておきましょう。
指を開く(パーにする)と手を広く使うことができます。
その一方で、指の隙間から水が逃げる隙間が大きくなってしまう可能性があります。
手を広く使えることのメリットの1つに、「揚力を大きく使えること」があります。
揚力とは、水や空気の流れの速さが物体の上側と下側で異なることで生まれる「浮き上がる力」です。
飛行機の翼も揚力を利用しており、空中へ浮かびやすくなっています。
指を開くことは、飛行機で言う翼を広げることになります。
指を開いて泳ぐことで翼が大きくなるので、ストローク動作で生まれる揚力が大きくなります。
泳ぐときの推進力は揚力と抗力を合わせたものです。
(*抗力:水を押すことで生まれる)
指を開くことで揚力を大きくして推進力を増す事ができると考えられます。
一方で、指の隙間から水を逃がしやすくなったり、手の力が入れにくくなって抗力が小さくなるかもしれません。
泳ぎの中で揚力を大きく使うのは、前方で水をキャッチして体の方へ集めてくる時です。
スカーリング動作で言う、内側に水を集めるインスイープの時です。
中長距離を泳ぐスイマーや、伝統的なスカーリング動作を重視して泳ぐスイマーであれば指を開いて手のひらをパーにすることは良い戦略かもしれません。
もちろん50mなどの短距離を泳ぐスプリンターであっても、泳法やフォームによっては適しているかもしれません。
指を閉じて泳ぐメリットとデメリット
指を閉じて泳ぐ場合のデメリットは、指を開く場合よりも揚力が小さくなるかもしれないことです(前章をご参考にしてください)。
デメリットのもう一点は、力みやすいことでしょうか。
指を閉じなきゃと思いすぎることで無駄な力みが生まれることがあります。
「閉じるけど力まない」という力加減を知るまでは難しいかもしれません。
指を閉じることのメリットは、抗力を生み出しやすいことです。
先にも述べた通り、泳ぎの中で生まれる推進力は揚力と抗力を足したものです。
指を閉じることで水を逃がさず押し切りやすいので、抗力が大きくなります。
また、「力む」ということは裏を返せば「力を入れやすい」とも取れますので、最後のフィニッシュなどで水を強く押せる可能性があります。
特に50mなどの短い距離を泳ぐスプリンターの場合や、手のひらが大きくて大柄なスイマーであれば合っているかもしれません。
ちなみに、親指だけ開くという方もいらっしゃいます。
力みを防止するためであったり、2つの方法の中間的な役割が考えられます。
使い分けと試行錯誤を
泳ぐときの手のひらの形について特に正解はありません。
自分の泳ぎに合っているかどうか、自分の感覚に合っているかどうか(力が入りやすいなど)を見極めながら試行錯誤していく必要があります。
ずっと指を開いてor閉じてストロークをするのか、難しいですが局面ごとに切り替えて使うのか。
方法は様々です。
例えば、スプリンターはストローク動作が速すぎて揚力を作るスカーリング局面をほとんど設けれないないかもしれません。
それならば割り切って、水を強く最後まで押し切ることにフォーカスし、指を閉じたまま泳ぐと良いかもしれません。
ゆったりと余裕をもって泳げる人や、中長距離の場合であれば局面ごとの切り替えや、揚力を大きくするために指を開くことも可能かもしれません。
他にも、体の小さな小柄なスイマーであれば?大柄なスイマーであれば?といったご自身の体格も影響して来るかもしれません。
手について言うなら、他にもストロークサイクルの各局面での手のひらの向き、力の入れ方も同様に試行錯誤が必要です。
世界水泳やオリンピックのトップスイマーの水中映像を見てもらうと、ストロークサイクルの中で指を閉じたり開いたり、絶妙に手のひらの向きを変化させたりしています。
見る機会があれば注意して見てください。
参考になるかもしれません。
高度過ぎて参考にならないことも多々ありますが、「良いものを見る」というのは大切です。
見る視点として簡単なところだと、、、
水をたくさんつかまえるには?
水を最後まで押し切るには?
力を入れてそうな局面と脱力している局面での違いは?
そんなところでしょうか。
手の使い方は比較的細かい所なので、優先順位的にはさほど高くないかもしれませんが、試行錯誤する中で良い発見が有るかもしれませんので、また泳ぎに行かれた際にお試しください。
レッスンでは一人一人に合った手のひらの使い方もお伝えすることができますので、機会があればぜひ受講ください。
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