皆さんは「立つ」ということを意識したことはありますか?スポーツのみならず、正しく立つことは動きの基本です。しかし、残念ながら「正しい立ち姿勢」と「楽な立ち姿勢」には乖離があります。つまり楽に立てているからといって、それが必ずしも正しい立ち姿勢ではないということです。
楽に立っていると感じている場合、主に2つのタイプがあります。
①正しい立ち姿勢を楽にできる域まで達した人
②クセづいた「楽な姿勢」になっている人
皆さんはどうでしょうか?
今回は正しい立ち姿勢について、見た目だけでなく意識レベルまで掘り下げて考えていこうと思います。
1.正しい姿勢とは?
正しい立ち姿勢を一言で表現するのは難しいですが、「調和」がキーワードかと思います。
立ち姿勢を支えるのに必要な筋肉が偏らずバランスよく働き、負担のかからない配列で骨格が整列することが正しい姿勢であると考えられます。
言い換えると様々な筋肉を使うということです。
筋トレをする時ほどの大きな力を入れるわけではありませんが、少なからず力は入っているので(力みではない)、必ずしも楽ではありません。
楽だと感じる時は、正しい立ち姿勢をするのに十分な能力があるか、どこか力が抜けていて楽だと感じるかのいずれかです。
後者の場合は知らないうちにどこかへ負担が来ています。
負担は腰に来たり膝に来たりと様々です。
2.人間は楽をしたがる
そうは言っても、人間は楽をしたがる生き物だと思います。
楽になるからシステムや機械の発明を続けるし、それをどんどん取り入れる。
これは強みであり、弱みです。
生きていくということは、本来大変なことです。
でも、「楽すること」「楽できること」が至上であり、何においてもそれを目指すこと、志向することが前提になりがちではないでしょうか。
それは生き物本来として持つ機能を衰えさせ、立ち姿にも反映されてはいないでしょうか?
個人的な見解も交えましたが、若干当たってません?笑
3.解剖学的に見た正しい立ち姿勢
まずは解剖学的に正しい立ち姿勢を見ていきます。
これは見た目で判断できる体のパーツの配列ですので、鏡でチェックしたり、身近な人に見てもらったりして確認できます。
できるだけ専門用語や、難しいチェックは省いて家庭でも実践できるように書いていきますが、分かりにくかったらごめんなさい。
正面から見た正しい立ち姿勢チェック項目
正面から立ち姿を見る時は、体の真ん中の線(正中線)を意識しながら、下記の項目をチェックしてみてください。
・左右の耳の高さが同じか
・左右の肩の高さが同じか
・肋骨の一番下は左右それぞれ背骨から35~45°ほど開いているか
・骨盤は左右どちらかに傾かず平行か
・左右の膝の真ん中は正中線を通っているか
・つま先はやや外向きか
・左右の膝の間は指2本分くらいか→広すぎるとO脚かも
・左右の踵の間は指2本分くらいか→広すぎて、膝が狭すぎるとX脚かも
後ろから見た正しい立ち姿勢チェック項目
後ろから見る時は、まず前から見た項目と同じ項目を改めてチェックします。
それに加えて下記のようなことも見ます。
・肩甲骨の高さは左右で同じか
・左右の肩甲骨の内側が平行か
・肩甲骨は肋骨の上で平坦になっているか
・肩甲骨は背骨から男性7cm、女性5~6cmくらい離れた位置にあるか
・ふくらはぎは左右で同じぐらい膨らんでいるか
横から見た正しい立ち姿勢チェック項目
横から見た姿勢では、背骨の湾曲具合、骨盤の傾きなどを見ます。
・耳、肩、大転子(脚の付け根、大腿骨の一番上)、膝のやや前、くるぶしのやや前が一直線上にあるか
・首、胸、腰は自然な湾曲か
・壁の前に立った場合、壁と腰の隙間は手がギリギリ入る程度が
・壁の前に立った場合、後頭部、背中(胸の裏あたり)、お尻が壁につくか
・骨盤の前横側のコリコリした部分と、後ろ横側のコリコリした部分の位置関係を見る。
→前側が後ろ側より指2.5~3.5本分くらい低いと正常
→それ以上離れていると骨盤前傾かも
→指1本くらいの狭さだと骨盤後傾かも
以上のようなことをチェックしていただくと、おおよそ自分や相手の姿勢が良いか悪いかが分かります。
普段どこを意識すれば良いかも浮き彫りになります。
立つときの意識
立つということは奥が深く、見かけ上正しい配列で体が並んでいるだけでは不十分です。
特に日本人は古来から感覚を大切にしてきた民族です。
ここで紹介する意識の持ちようは一部ですが、上手くできると体の感覚が変わります。
自分はフワッとしながらもしっかり立っている感覚になります。
下に根付いて、上からも引かれる
足の裏から根っこを生やすかのような意識で、しっかり地面に根付いてください。
いきなりなんなんだと思われますが、騙されたと思ってやってみてください(笑)
足の裏で地面の質感を感じ、そこに吸着するように。
しかし、地面に根付くだけではいけません。
頭頂から空に引かれるような感覚も持ってください。
地面と空、両方から引かれるイメージが大切です。
どちらかに偏らず、上下から引かれてバランスを取る意識です。
居着かない
地面に根付いてばかりだと、「居着き」に繋がります。
「居着く」と自由で軽い動き出しのできない硬直した姿勢になります。
なので、力は入れない、その正しい位置にただ存在する、そんな感覚です。
緊張している時は上に引かれすぎ
逆に、緊張している場面では上引かれすぎています。
すると重心が上がってしまい、気分もあがってしまいます。
緊張する場面ではお腹に空気を送っていくような呼吸、体のパーツを下に沈めていくような呼吸を心がけ、下への意識を強めに持つと、少し楽になれます。
呼吸が安定すること
自分が立っている姿勢で落ち着いて安定した呼吸ができることも大切です。
最初に正しい姿勢と楽な姿勢は必ずしも同じではないと述べましたが、クセづいた楽な姿勢では正しい呼吸もできません。
まずは正しい姿勢に整えること、そのうえで呼吸を意識。
一定のリズムで酸素が入って、出ていってを繰り返せているか。
体中に空気が巡る感覚を持てるか。
下腹部より下に意識
下腹部より下の奥に最もエネルギーが集中するような意識を持ちます。
エネルギーが集中すると言ってもしっくりこないですよね、、、。
力を入れろと言っても入れ方がわからない。
まずは、自分の中心はここだという意識をもってみてはどうかと思います。
上下から引かれて釣り合う中心がそのあたりに来る感じ。
この位置は昔から丹田という言葉で表現されてきた位置です。
おへそからだと5cmくらい下で5cmくらい奥でしょうか。
何か1つでも
今日はただ立つことだけについて書きました。
ここに記したことをいきなり全て意識して立つなんて無理です。
何か1つでも頭に残ったこと、やってみようと思ったことがあれば試してみてください。
一歩踏み出すことが大切です。
何でも一歩目が一番大変。
二歩目からは加速がついてぐんぐん進める。
何の話だ。
ではでは。