レッスン生たちが決まって僕たちに言われるのが「スピードあげよう!」「ダッシュ練習するかあ」「前半から行くで」である。とにかく競泳の指導では、特に小学生は技術指導+スプリント練習を推している。その理由は大きく3つ。そしてこの3つを理解してもらえると、停滞を打破するヒントにもなります!
目次
①スポーツとしてスプリントの方が技術的難易度が高いから

長距離種目が簡単ってことを言っているのではなくて、技術的な難度が違うだけです。
↑これ絶対に誤解しないでくださいね。
誤解されてわざわざメールどか送って来ないでくださいね。
さて、普通に考えてください。
「速く、強く、正確に動く」ほうが難しいですよね。
スプリント種目ではそれが求められます。
日常生活で置き換えて考えると、速く正確に文字を書くほうが技術的に難しい。今まさに記事を書くためにPCでタイピングしていますが、これも速く正確に打つほうが難しい。
針に糸を通すのも、速く正確にするのは難しい。
体を動かして何かをするとはそういうことで、スプリントで泳ぐ場合はさらに全力に近い出力を出しながらそれを行う必要があります。
だからスポーツ的に「動き1回1回の技術的な難易度が高い」と思います。一方のロング(長距離)種目は、1回1回の動作自体はゆっくりになるので再現はしやすいです。ただし、同じリズム、ペース、力加減を正確に刻み続けること、それをするための持久力が必要だったりします。
体をいかに速く、強く、正確にコントロールできるか。正直スプリントでできれば、少しゆっくりになる長い距離の種目であれば1回あたりの技術の再現は難易度が低く感じ取れます。
スプリント練習をしっかりとやることのほうが、体のコントロールの難しさを伴います。その訓練をたくさんすることがいわゆる「運動神経の良さ」を高めるためにも効果が高いです。
②神経系の発達が著しい小学生の時期ほどスプリント
前章の理由と繋がっているのですが、小学生は特に低学年ほど神経系の発達が著しいです。
この時期に、動きの正確さ、速さ、そしてバリエーションを磨いてあげることで運動能力が高まりやすいです。これはどんなスポーツをする場合でも下地になる部分。同じ動きでずーっと7、8割のスピードで泳ぎ込んでいる場合ではありません。
この時期にスプリント練習の機会を逃すなんて。
ええ、もう4泳法それぞれ長くて50m、欲を言うなら15mや10mなど超絶短い距離でいいからスプリントで泳がせまくってあげたい!!
この時期を逃すとダメなのか?
ダメというわけではないのですが、取り返すのが難しい。適切な時期に先にやっておくことで効率よく発達させることができるんですよね中学、高校となっても努力次第でなんとでもなりますが、かなりの覚悟やマインドチェンジをした上でのそれは労力がかかる。。。

③そもそも速度が上がらないと切れないタイムがあるから
そして3つめの理由はこの地球上に生きている限り避けては通れない理由です。
そもそも、切りたいタイムに対して自分の最高速度はどうなのか問題。
⚫︎例えば200mを2分切りしたいとします。
50mのベストタイムが30秒で止まっている。
もうこれ、人智を超えた持久力をつけて手足がちぎれるまで後半粘っても2分ん切れないですよね。
だって50mにつき30秒の速度しか出せないわけですから!
つまりこの場合、現実的に考えて50mを最低でも26〜27秒では泳げる実力がないといけません。
もちろん後半バテないように練習していく必要もありますが、バテなかったとて速度が必要なレベルに到達していない場合は速度を高めないといけません。
また、仮に上の例で26秒台で50m泳げたとします。
200mのレースのラップを28秒・30秒・30秒・30秒で2分切りを想定したとします。
その場合でもさ、50mを25秒で泳げる人が28秒で入るのと、26秒の人が28秒で入るのとでは余裕が違うんですわ。だから常に速度を上げていく努力、スプリント練習をしていかないといけないんですわ。
次のベストを出すためにもね!
ジュニアの頃から小さくまとまった「後半のための泳ぎ」なんてするな
正直、小中学生くらいならJO(ジュニアオリンピック)でどうこうとかのレベルになるまでは後半なんて考えなくて良いと思っています。JO出たことある子たちでも、ギリギリ出たレベルならまた年齢を重ねると標準記録は上がってスピードが必要になるから、後半なんて後から考える。
まずは必要な速度が出せるのかどうか。
小学生の頃から後半バテないようにとか、イーブンペースでとか、小さくまとまるようなフォームや練習は競泳の場合あとからでいいと思います。できるだけその子なりのスケールを大きくする必要があるし、思春期以降になれば今度は持久力が発達しやすい時期に突入します。成長して体も大きくなってくれば後半耐えれるよういなってくる子もいます。そっからでいい。
それよりも、神経系が発達する今やるべきことをする。

もちろんトライアスロンの子や好きでロング種目をやっている子もいるので、そこは考慮しながら!
_