スカーリング練習ってなんの意味があるの?

先日、面白い質問をいただきました。「スカーリングの練習ってどんな意味があるんですか?イマイチわからなくて…」。簡潔に言うと、水を掴む感覚を磨くことでより多くの水をしっかりと掴み、動かすことで泳ぎが上達するからです。

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確かに、スカーリングの練習って不思議ですよね。

よくあるフロントでのスカーリング(腕を前に伸ばした状態で行うもの)を4泳法の中のどのシーンで使うかと問われると、ほんの一瞬のようですし。

 

というわけで、今回はスカーリングの練習をする意味と、おすすめの練習方法をご紹介したいと思います。

スカーリングで水を捉える感覚を養う

スカーリングを行う最大の理由は、手で水をしっかりと捉える感覚を養うことです。

スカーリングの動き自体は、実際の泳動作では一瞬しか使われません。

前で水をキャッチする一瞬です。

もっと簡単に言うと、水をかく動作の最初の一瞬のみです。

 

だからと言ってそこしか練習にならないわけではありません。

スカーリングの練習で養えるのは、水をかく動作(ストローク動作)全体における手のひらの感覚です。

水をかいている時に、最初から最後まで手のひらに水が当たっているなという感覚です。

水を捉えるとはそういうことだと思います。

 

前でキャッチした水を、最後まで感じながらかききる。

感覚が無ければ水をかけているかどうかわかりません。

 

もちろん「水を捉える」という言葉には量的な意味も含みます。

ストロークの最初から最後まで、より多くの水を捉え、動かすためにスカーリング練習は必要です。

スカーリングの種類

スカーリング練習には多くの種類があります。

・両手をバンザイした位置で行うフロントスカーリング(最も一般的なやつ)

・肩の真下あたりで行うミドルスカーリング

・クロールやバタフライの最後のフィニッシュ動作を意識したリアスカーリング

 

その他にも左右の手でフロントとリアを互い違いに行なったり、ハイエルボーの位置で抗力にフォーカスしたスカーリングなどもあります。

抗力については次章で述べます。

スカーリングで揚力、水深抗力を感じる

もう少し専門的な話をします。

既に難しいという方も、ブログなので気楽に読んでください。

 

水泳において前に進む力、推進力を生むには水を動かす必要があります。

もちろんスカーリングも水を動かします。

スカーリングでは大きく2つの力が作用して推進力が生まれます。

①揚力

②抗力

この2つの力は4泳法のストローク動作でも作用しており、スカーリングを練習することで磨くことができます。

 

スカーリングにおける揚力とは、手のひら側と甲側で水の流れの速さに差が出ることで生まれる力です。

飛行機の羽にも揚力が利用されており、物体を持ち上げる力になります。

飛行機の場合は空気の流れの差で揚力が生じます。

フロントスカーリングは手の角度を45°程度に傾けて行いますが、これも揚力を生むために必要なことです。

スカーリングをしている時に、手や腕にフワッとした感覚があれば、それは揚力の影響かもしれません。

上達してくると、体にもフワッとした感覚がくるようになります。

 

抗力は簡単に言うと、シンプルに水を押すことで生まれる力です。

抗力はストロークの幅広いシーンで実感しやすいと思います。

スカーリングで水を感じ、そしてより多くの水を押せるようになれば、スイムの時の抗力も大きくなるかもしれません。

 

かもしれませんと言うのは、あくまでもスカーリングだからで、それをスイムに繋げていくには相応の練習量が必要だからです。

フロントスカーリングで気を付けること

フロントスカーリングは水の感覚を養うだけでなく、キャッチの瞬間の練習としても効果が期待されます。

フロントスカーリングはスカーリングの中でも最も基本的な種目で、どこのチームでも頻繁に行われている印象です。

ですが具体的にどういった点に気を付ければ良いかわからないまま練習をしている方も多いと思います。

というわけで、フロントスカーリングをする際に気を付けるべきことを書いておきます。

 

①まずは、手の動かす軌道ですが∞のマークを両手のひらで描くような軌道です。

そうすると自然と手のひらの角度も45°程度になります。

 

②肘がブレブレになり過ぎないようにします。

 

③切り返しを速くします。

内側に向かってかく(インスイープ)ときと、外へ向けてかく(アウトスイープ)ときの切り返しを素早く行います。

 

④力みは不要、リラックスして動きを求める

力みは不要です。

動作の形と速さが揃っていればそこそこ進みます。

 

⑤リラックスはするけれど水に負けてはいけない

リラックスはしますが、完全に脱力してしまうと、ただ水を撫でて押し負けるだけになります。

力みはしないけれど、水に負けない程度には手に力を入れて行います。

特にスプリント種目を専門にされている方は水に負けないように気を付けましょう。

力んで水と喧嘩はしない、でも負けない。

スカーリングもタイムを取ろう!

スカーリングも泳ぎと同様にタイムを測定すると成長が見えやすいです。

25mでも50mでも良いので決められた距離を定期的にタイム測定してみてください。

その時にストローク数みたいにスカーリングの回数をカウントすると、効率が良くなったかどうかも知ることができます。

 

実際に泳ぐときの手の動きは結構速いです。

スカーリングはスイムが上手になるために行っているので、スイムで出す速度で上手に動けてなんぼだと思います。

タイムを測定するとなると、自ずとスカーリングの動きも速くなり、より実践的な内容になると思います。

速く動かすなかで見えてくる課題もあると思います。

 

「意外と水を捉えられないな」

「速いと変なところで力んでしまうなぁ」

「速く動かしているのに、イマイチ速く進まないなあ」

 

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こういった課題が見つかったなら、それはチャンスです。

 

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