先日、24時間限定でインスタグラムで質問を募集しました。そのときいただいたご質問を、ブログでは1つ1つ深堀していこうと思います。まず今回は「筋力が落ちて体重が4kgほど減ったのですが、一番調子の良かった時までどれくらいの期間で戻りますか?」というもの。数ヶ月は見てもらえるといいかなと思います。体重が減って調子が出ないなら、戻る必要があるので。
おそらく新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のせいで、数か月泳げなくなってしまい、最近練習再開されたのでしょうね。
ちなみにこの質問者様は全国レベルの実力を持つ水泳選手です。
なかなか調子が戻らない人のための考え方は下記リンクから
→【初心者~中級者向け】自粛明けから泳ぎの調子が戻らない方へ
筋力さえ戻れば?
筋力と体重が落ちたというのは、アスリートにとって深刻な悩みだと思います。
何せ前と同じだけの筋力やパワーなどを発揮できない可能性があるからです。
では、もし筋力と体重が戻れば調子は戻ってくるのでしょうか。
ある程度は戻ると思いますし、筋力と体重を戻すのは第一歩かもしれません。
もし2つが戻ることで復調すると仮定します。
その場合、練習やトレーニングができなかった期間と同じ程度の期間はかかるだろうと思っておいて欲しいです。
ところが話はそう単純ではありません。
これはよく知られている話なのですが、トレーニングや練習を数週間サボっても、単純な筋力は大幅に落ちることはありません。
例)握力や筋トレの使用重量
2~3週間であれば、多少の低下はあってもある程度維持されます。
しかしながら、スポーツパフォーマンスはこの間に着実に低下します。
(*これは有酸素性持久力にも言えます。
向上させるのに苦労する機能は、サボってもある程度保たれるわけです。
ちなみに筋持久力や乳酸の利用能力は2週間ほどで向上できますが、サボるとすぐ落ちます。)
つまり、ある特定のスポーツで発揮される筋力、そしてそのスポーツにおけるパフォーマンスは、筋力だけでは規定できないものであり、パフォーマンスを維持するにはスポーツの練習が不可欠であるということです。
筋力さえ維持しても、もしくは筋力さえ戻っても、水泳のパフォーマンスに単純には結び付かないようです。
一番調子が良かった時の状況はどんな感じだったでしょうか。
筋力を向上させるトレーニング、その他のトレーニングも充実して行えていたはずです。
(質と量を積み重ねていたはず)
そして何より、泳ぎこんで「水泳の練習」ができていたと思います。
もちろん、緊急事態宣言で2~3ヶ月泳げなかったことで、今まで数年、数か月積み上げてきたものが全て無駄になったというわけではありません。
マッスルメモリーという言葉が代表するように、体は覚えています。
一応、「どれくらいの期間がかかるか」と質問をいただいたので、
自粛期間と同じくらい、もしくはそれ以上かもそれ以下かもしれない。
そう答えておきます。
質問者様のトレーニング状況やライフスタイル、性格、体の強さ、今の調子、食事状況など考慮すべきところがたくさんありますので、断言ができず、曖昧な回答になってしまいます。
ご了承ください。
以前と同じような質と量のトレーニング・練習を積めるようになってきてやっとゼロ地点です。
一番調子が良かった時に戻るには、さらにそこから一歩二歩必要です。
フィットネス-疲労理論
調子の良し悪しを考える上で、フィットネス-疲労理論という言葉があります。
最近ではある程度主流になっている考え方です。
フィットネスレベルと疲労の度合いがパフォーマンスの良し悪しを決めるというものです。
フィットネスレベルは筋力や持久力などの体力要素のことです。
フィットネスレベルと疲労の程よいバランスが取れた時に、パフォーマンスが最も高くなると言われています。
練習やトレーニングをたくさん積んで追い込めば、フィットネスレベルは高くなります。
ただし、疲労も高くなってパフォーマンスは低い。
一方、疲労を取ることに集中しすぎて、練習やトレーニングの負荷を減らしすぎると、こんどはフィットネスレベルが下がる。
疲労をある程度抜きつつ、フィットネスレベルが維持できる最高のポイントで試合を迎えることができればベストタイムは出やすくなります。
自粛期間中は、ジムもプールも使えませんでした。
すると練習量が減り、疲労はかなり下がったと思いますが、フィットネスレベルも大幅に下がってしまった方が多いはず。
質問にあった、「一番調子が良い時の状態」に戻るには
①まずケガをしない程度に少しずつトレーニングと練習を普段通りに戻していき、フィットネスレベルを回復させること
②しばらくすると疲労も溜まるので調子が上がらないように感じるが、多少は仕方ない
③焦らず、定期的に疲労を抜く
④試合が近づいてきたら、練習とトレーニングの強度(使用重量や泳ぐスピード)を下げず、量を減らして疲労を抜く。されどフィットネスレベルは維持
やっぱり数か月かかりますかねぇ。
フィットネス-疲労理論はまた単独の記事で詳しく書くことができればと思っています。