世界水泳の女子50m平泳ぎで、14歳のピラト選手(イタリア)が銀メダルを獲得したのですが、その泳ぎが何とも個性的というか新しいというか。今回はそんなピラト選手の平泳ぎについて忘れないうちに書いておこうと思います。
世界水泳の時の映像をYoutubeで探したのですが、残念ながら無かったので同年のヨーロッパジュニア選手権の映像を貼っておきます。
引用:YouTube LEN acqatics https://www.youtube.com/watch?v=ZaecUE_Zit4
とりあえず泳ぎのピッチがとんでもなく早いです。
じゃあ、兎に角ピッチを早くすれば平泳ぎが速く泳げるかというと、もちろん無理だと思います。
ピッチが早いなら早いなりの理由があると思います。
ピッチを早くできるフォームで泳ぐからこそ、ピッチを早くしてタイムが出るって感じ?笑
とりあえずピラト選手の50m平泳ぎの特徴を僕なりに。
伸びてる暇なんてねぇ!速攻キャッチだ!
まず特徴的なのが、手のリカバリーが終わってエントリーとほぼ同時にキャッチ動作が始まります。
グライド姿勢で伸びている時間が極めて短く、もはや無いに等しい。
リカバリーで手のひらを早い段階で下に向け、エントリーした瞬間にはもう外側に手を払うように水をつかまえています。
この一瞬で水をしっかりキャッチできるって物凄い技術だなぁ、、、、。
ピッチも人一倍速いのに。
完全なストリームラインはもう組まない
グライドしている時間が無いに等しい泳ぎなので、頭もほとんど沈めていません。
顔面がちょっと水につかるくらいで、後頭部、頭頂部はずっと水面に出たままです。
本来グライド姿勢を取る時は、腕が耳の横に来るぐらいにはアゴを引いて頭を沈めますが、その瞬間がありません。
腕はずっと耳より下に位置してます。
プルとキックの推進力をどんどん生んで進んでいくには、完全なグライド姿勢に戻る暇なんて無い感じです。
そうなると、一見、仕方なくこの姿勢になっているように思えますが、この姿勢だからこそプルとキックをガンガン使えるとも考えられます。
さらに、姿勢をフラットにするというよりは背骨を手足の動きに合わせて動かしています。
特に胸椎レベルでの背骨の屈曲・伸展がしっかり入り、骨盤がそれについていくような感じです。
まさにドルフィンキックを打っている時のような絶え間ないうねりの中で泳いでいる印象です。
背骨がしっかり動くことでキック、プルのパワーを発揮しやすくなっているのかと思います。
背骨とリンクした頭の動き
背骨の動きとしては、エントリーした瞬間に胸椎が伸展します(肺、胸を沈める動き)。
息継ぎをしている時には、後ろにのけ反らないようにと、水をかきこむ動きと合わせて胸椎が屈曲しています。
そして、その動きを先導する、もしくはリンクする形で頭部が軽く動きます。
胸椎を伸展させるために、手のエントリーの瞬間はアゴが少し上がって顔がやや前を向きます。
逆に、息継ぎの時にアゴが少し引けて顔が下を向きます。
他の選手を見てみると、アゴを引いて顔が下を向いたままエントリー、息継ぎの直前に少し正面を向き、また下を向くという感じですが、これは一瞬でもグライドする時間があるからかと思います。
ピラト選手の50m平泳ぎの場合は、グライドをすることがほぼ無いので、1動作省いてしまっています。
胴体だけ見たらバタフライ感がすごい
泳いでいる姿を見ると、うねり続けているので胴体はバタフライのような動きです。
最近の平泳ぎはリカバリー以外のストローク動作がバタフライと酷似してきている傾向があり、キックも縦に蹴るのが増えてきています。
ピラト選手も縦に蹴るのを強調したキックです。
さらに、キックで水を押すタイミングがバタフライのファーストキックに似ている印象を受けます。
手が完全にリカバリー仕切るかしないかのタイミングでキックが入っています。
200mの選手などでは、手が前に戻る→キックという感じでタイミングがもう少しはっきりしています。
それよりもやや早いタイミングで縦蹴りのキックを入れることでバタフライみたいになっています。
まぁ、これもグライド動作を削っているので、エントリー→キックの順にはっきりさせてられないってのもあると思います。
本来、手を戻すのとキックを打つのが同時に起こるとキックの推進力を手が邪魔してしまいますが、ピラト選手の場合は手を水面より上から戻す意識が強かったり、キックが縦蹴りなので影響を受けにくいのかなと思います。
最後に
いや、すごいわ。。。。真似したくてもなかなか無理っす(笑)それにしても世界水泳見た時にビックリしました。完全に真似をすることは難しいけど、いろいろとヒントはあったので、参考にしていきたいです!