どのスポーツの世界でも、「謎理論」がたくさんあります。水泳も例外ではなく、いくつか「謎理論」を聞いたことがあります。今回は中でも衝撃的だった「謎理論」について書いていきたいなと思います。その謎理論とは「クロールが速くなれば他の種目も速くなるから、クロールの練習ばかりさせる」。これ、はっきり言ってどうかしているので、やめた方が良いです。
クロールが速くなれば他の種目も速くなる?
「クロールが速くなれば他の種目も速くなる」
これ自体は「=ではないけど、≠ではない」というラインです。
というのも、スポーツのパフォーマンスを決める要因は大きく分けて3つ。
1.体力面(持久力や筋力、コンディションも)
2.技術面(泳ぎのテクニックなど)
3.精神面(心理的な状態、緊張、不安、やる気、余裕、イメージなど)
4.運
クロールの練習をしていれば、持久力や筋持久力、筋力、パワー、スプリント力といった体力面での向上が起こります。
これは他の種目にも通じるので、クロールが速くなるほどに練習を積めば、他の種目も速くなるかもしれません。
しかし、技術面はどうでしょうか。
例えば平泳ぎの動きと、クロールの動き。
共通する局面は確かにあるかもしれませんが、やはり別の動きです。
動きというのは、その動きを繰り返し練習せねば上達しません。
特に水泳は技術が貢献する割合の非常に高いスポーツです。
技術的な練習はおろそかにできません。
精神面はどうでしょうか。
これに関しては、どの泳ぎで練習していても良いような印象を受けるかと思います。
しかし、クロールの練習では他の種目のイメージが育たないという欠点があります。
例えば、平泳ぎが速くなりたいのであれば、自分の平泳ぎのイメージが大切。
どう動いているのか、ペース感覚はどうか、レースのイメージトレーニングを緻密に行なえるか。
そういったことは平泳ぎを泳がないと、できるようになりません。
運は今回特に言及しませんが、、、
バタフライの神様に努力をささげないでバタフライ速くなろうって都合が良すぎない?笑
ここまでをまとめると、
「クロールが速くなれば他の種目も速くなる」
→体力面が伸びたことによる成長はある程度あるかも
では、
謎理論
「クロールが速くなれば他の種目も速くなるから、クロールの練習ばかりさせる」はどうでしょうか。
クロールが速くなれば他の種目も速くなるから、クロールの練習ばかりさせる
これに関しては完全にNOですね。
前章で述べたことは「クロールが速くなれば他の種目も速くなる」という段階なので、
クロール以外が専門種目の場合、その種目の練習もきちんと行えているという前提。
ところが、この謎理論では、
クロールが速くなれば他の種目も速くなるから、他の種目の練習時間を減らして、全てをクロールに充てるという。
これ、よくあるんです。
地方の小さいチーム、弱いチームとか、まだ小学校の低学年の選手や、育成クラスに上がったばかりの選手に対してやりがち。
確かに他の種目を練習で泳ぐ体力も技術もまだ未熟かもしれません。
ですが、未熟だから練習するのであって、練習をきれいにこなすためにやっているわけでもありません。
クロールしか試合に出ない選手になりたいなら良いですが、試合で他の種目に出場するのであれば、やらねばなりません。
先に述べたように、クロールの練習をして向上する体力は他の種目にも良い影響を与えると思います。
しかし、バタフライならバタフライ、平泳ぎなら平泳ぎ、背泳ぎなら背泳ぎの練習をしないことには技術面の向上はありません。
水を掴む感覚など、どの種目にも共通したところはある程度伸びるかもしれませんが。
それって各種目の技術の何パーセントでしょうか。
しかも、バタフライならバタフライという泳ぎの流れの中で、その技術を発揮できなければ意味が無い。
体力面では伸びるかもしれない。
でも、時間を割いていないうちに技術面がどんどん衰える。
もしくは未熟なまま止まる。
体力面の伸びだけで、一時的にはタイムが出るかもしれない。
でも、頭打ちが必ず来る。
いくら酸素を取り込んでエネルギーに変える能力が高くなっても、技術が未熟でエネルギー効率が悪ければ、頭打ちですね。
例えば、1分間のVO2Max。
トップレベルの持久系アスリートでは80~90ml/kg程度です。
もしここまで上げたとします。
でも、このあたりが今のところ人類の限界です。
となると、そこから勝敗を分けるのは何か。
体力以外の要素ですよね。
編集後記
なんだか今回は愚痴のような内容になってしまいました。嫌われそう(笑)でも、最近は嫌われない努力、当たり障りのない他者とのかかわりや発信が重視されている。それって生きづらさの理由の1つな気がする。今まで、ズバズバ言って好きにしてきました。今更当たり障りなくしようとしても仕方ないですね!笑