四泳法、どの泳ぎでも手・腕を前に伸ばす瞬間があります。体のつながりから考えると、小指側を先行させる方が自然で、最近はそんな泳ぎの選手も出てきている印象です。
その時、皆さんは指先から腕にどんなイメージを持っていますか?
親指から伸びていく感じ?
小指から?
前腕は?上腕は?
全く気にしたことが無い?
感覚がない?
様々だと思います。
できれば、今回紹介するようなイメージを持って欲しいと思います。
体の繋がりを意識したイメージ。
体の地図とかボディマッピングと呼ばれる、自分の体に対する内観とでも言いましょうか。
体が動いている時の実際の位置や感覚と、脳でイメージしているそれとが一致し、そのイメージが本来の機能に沿っていることが大切です。
小指から尺骨を伝い、肩甲骨の外側へ
泳ぐときにも、こういった自分の体に対する性格なイメージは大切です。
人が本来持つ機能に沿って体を動かしていくことで、無理なく楽に泳げたり、ケガ等を少なくすることができます。
泳ぎの中で、腕を前に伸ばすときは、下の写真のような体の繋がりの線をイメージします。
写真は片手ですが、バタフライや平泳ぎで両手を伸ばすときも同じ意識です。
まず、一番先は小指です。
小指→前腕の尺骨(小指側にある前腕の太い骨)→上腕の外側(下側)→脇→肩甲骨の外側
この経路です。
なぜかと言いますと、その方が自然に腕が伸びるからです。
あまり深く考える前に一度、写真の繋がりを意識して腕を伸ばしてみてください。
小指を先導する形で。
伸ばしやすいと思います。
イマイチピンとこないという方。
次は、親指を先導して腕を伸ばしてみてください。
なんだか上手く伸びないと思います。
詰まる感じがあると思います。
もう一度、小指を先導し、線を意識して伸ばしてください。
明らかに腕が遠くに伸びやすく、詰まり感が無いと思います。
どうしてこの経路で腕を伸ばすの?
どうしてこの経路で腕を伸ばすのか。
理由は3つあります。
1.筋膜や皮膚の繋がり的に自然だから
2.尺骨を軸として動くように設計された骨格だから
3.肩関節は思っているより奥(脇)にあるから
1つずつ簡単に説明していきますね。
1.筋膜や皮膚の繋がり的に自然だから
私たちの体は、骨や筋肉だけでなく、筋肉の周りについている筋膜や皮膚といった組織も動きに関係しています。
これらの膜は動きによって引っ張られたり、逆に引っ張って動きを制限したりします。
そして、これらの膜は全身を覆う繋がりがあります。
この繋がりは、何種類かの経路に分かれています。
この経路に逆らって動こうとすると、膜が動きを邪魔します。
今回紹介した伸びる時の経路は、その膜に逆らわずに体を動かすことに繋がります。
2.尺骨を軸として動くように設計された骨格だから
人の骨格の設定では、手首や肘の動きは前腕にある尺骨を軸とするようになっています。
特に、肘から下を動かして手のひらを反す、回内や回外という動きで顕著です。
この動きは水泳でも自然に行いますので覚えておいて欲しいです。
小指側を軸にして、親指側を動かす。
手首ではなく、肘の下から回す。
そして、どんな状態にあっても、小指と尺骨が一直線に並ぶようにすること。
もし手首が小指側に曲がり、小指と尺骨の並びが崩れ、親指と橈骨が一直線になっていると、神経の圧迫等を起こします。
神経が圧迫されるということは不自然な動きと言えます。
水泳でも、手を入水した瞬間にこの状態になっていたり、
クロールやバタフライで親指から入水するというクセが付いている場合があります。
これ、不自然な動きなのでやめておいた方が良いですよ。
3.思っている肩と実際の肩は違う
皆さんは「肩はどこ?」と言われると、どのあたりを指さしますか?
おそらく、、、
このあたりじゃないですか?
もちろんここも一般的にいう「肩」なんですが、解剖学的に言う肩関節とは違います。
ここに関節は無く、肩の動きはここから起こるわけではありません。
実際は脇のあたりにあります。
ブログやインスタでもしつこく「脇」「脇」と言っていますが、それは肩関節が実際にはそこにあるからです。
腕を伸ばすとき、一般的によく言う「肩」の意識だと、体の繋がりが切れます。
もうそこで行き止まりですから。
脇を肩関節の動きの起点として捉え、伸ばし、締めることで腕の動きが自然になります。
親指から入水しないこと
先にも少し言及しましたが、クロールやバタフライの指導では、「親指から手を入れる」と言われます。
もうここまで読んでくださった方ならわかりますよね。
小指から入水を強制するわけではありませんが、せめて親指と小指が平行で良いと思います。
手のひらを水面に向けた状態ですね。
親指から入れることを完全否定もしません。
でも、親指から入れることで肩が詰まりやすくなり、水泳肩と呼ばれるケガに繋がるリスクが高くなります。
また、肘の使い方を誤る可能性もあり、負担がかかることも考えられます。
以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。