競泳でとっても重要になる戦略の1つが「呼吸・息継ぎ」!実際にどのタイミングやどの頻度で息継ぎをするべきか、レッスン生からもよく相談をいただきます。今の自分に合った息継ぎのタイミングと頻度を見つけていくことで、思いの他、後半を耐えることができたり、タイムアップにつながります。逆に、息継ぎのタイミングや回数、頻度を失敗すると、、、、。今回は自分にとって最適な息継ぎの戦略を見つけるためのヒントを投稿します!!
目次
息継ぎ戦略を立ててベスト更新やJO突破も

「とにかく気合いで前半はできるだけ息継ぎを我慢!!後半も気合いだ!!」という心がけは個人的には嫌いじゃないし、むしろ一度はそういう失敗経験も積んで欲しい。でもそれだけでどうにかなってる競技なら、競泳のレベルは全体的にもっと低いはず(笑)
生理学レベルの話を一旦ブチ込むと、人間は運動時間や強度に応じて体内でのエネルギー生成の手段を使い分けています。使い分けているというか正確にはグラデーションな感じですが。
水泳のレースは短くても20〜30秒(50m)、長ければ15分を超えます(1500m)。
人間が無酸素状態で生み出せるエネルギーはせいぜい10秒くらいで尽きます。
それ以降は糖分、そして酸素がなければエネルギーを作って
つまり、
水泳で求められる運動時間には酸素が必要!
前半を泳ぎきれたとしても、呼吸を制限し過ぎた前半のツケは後半にガクッとやってくる可能性が!
そして、そうなると何が厄介か。
酸欠で後半ばてて、「磨いた技術を発揮できない」

せっかく、泳ぎの技術はベストを更新する水準に達しているのに、戦略ミスでその技術を発揮できなくなる。そんな事例をたくさん見てきました。技術と体力は別物ではなく、バテてくると当然思うような動作ができなくなります。特に自分の最も苦手なところから泳ぎが崩れてくるということは覚えておいた方がいいかなと。
水泳でベストを出すための息継ぎは当然距離によって変わる
当然、泳ぐ距離が長くなればなるほどにしっかりと酸素を補給しないといけないので息継ぎの頻度が増えていきます。

息継ぎをどこで入れるか、どんな頻度でやるか考えるの!笑
平泳ぎは毎回で固定、背泳ぎは常に顔が上がってるから、リズム良く呼吸してくだけやし。
バタフライなら50mから200mまで、クロール(自由形)なら50mから1500mまでの中で当然呼吸が変わってきます。とはいえ、100mからは運動時間も1分近くなりますし、特に短水路だと水中ドルフィンで息を止めている時間も長くなります。そう考えると、100m以上は個人的には前半から毎回呼吸(クロールなら1/2呼吸)で良いと思っています。
実は100mで前半に我慢をしすぎない方が良い
100mでも前半からそんなに息継ぎ入れていいのか!?
って驚かれる選手も多いかもしれません。しかし、オリンピックや世界水泳を見てみると結構息継ぎしてますよ。それこそ毎回呼吸の選手も多い。もちろんその代わりに水中ドルフィンでしっかり距離を稼いでいたり、ラスト10mはノーブレス(息継ぎなし)でスパートをかけることも多いです。それを加味したとしても、我慢しすぎるときっと酸欠で動けなくなっていくのだろうと思います。
ところが、実際に小中学生なのに100mや200mのレースでも最初の25m、息継ぎ1回とかで行こうとする子の多いこと多いこと。

ほんで、水中ドルフィンできひん方が損。
もちろん前半から積極的なレースをして欲しいですが、無謀とそれとは違うと思います。積極的にいったとて後半も頑張らないといけないスポーツ。特にバタフライなんてクロールよりも効率の悪い種目でバテやすい。我慢どころを間違えると後半の大きな崩れにつながります。
我慢しどころを間違えないようにしよう
スポーツをする上で気合や根性は大切だと思うし、それがなければできないことも多いです。でも、そこには少しの冷静さを伴っていて欲しい。
「なんとなく息継ぎを序盤に我慢した方が速い気がするから」
「序盤に我慢しないと怒られるから」
ではなく、本当にそうだろうかと。我慢のしどころ、根性を見せるところを間違えないようにして欲しいと思います。きちんと訓練されたドルフィンキックはスイムより絶対に速いです。きちんと訓練された息継ぎは、思っているほどに減速しません。
我慢しどころは本当に今が正解でしょうか。
50mだからできるだけ無呼吸!だと実はバテる可能性も!
とはいえこれも結構ありがちで、、
「50mやからなんとかなるでしょ!できるだけ無呼吸突撃!!」

案外、ばてます。たしかに50mとなると呼吸の動作を減らした方がスピードは出やすいのですが小中学生くらいだと前半を完全に無呼吸で行ってしまうと相当なレベルの子でない限りは後半の失速がある印象です。
前半は確かに良いのですが、短水路レースであればターンとドルフィンキックで案外削られます。もしくは、ターンとドルフィンキック自体が苦しさで雑になってしまうことも。。。そこからズルズルと後半崩れると、頑張った割に、苦しさの割にタイムが出ず、、、。
自分にとっての最適な息継ぎのタイミングや頻度は比べて見つける
では、どのタイミング、回数で呼吸をすればいいのか?

というのも、やはり選手によって全然違います。。特に小中学生などのジュニアスイマーは肺活量にも差がありますし泳力差もすごい。指導者からしても50mを25秒で泳ぐ子と35秒の子に同じことは求めてませんし、、、笑
でも、それでも何かヒントを、、、ってなると思うので考え方だけ、、。
✅前半:後半のことを考えて息継ぎ
25mの中で1〜4回を実力に合わせて推奨。
ターン動作とドルフィンキックをしっかりと打てることが重要。
苦しくて雑になるなら、呼吸回数を増やすか、ターン前5mの区間のどこかで入れる。
✅後半:浮き上がり1かき目は必ず我慢(減速が勿体無い)
自分が普段の練習でラスト何メートルなら無呼吸でいけるかを知っておく。
小学校高学年の頃にはラスト10mは無呼吸にしたい。
それまでに1回or2回の呼吸を入れるタイミングを考える。

「どこかで入れる」とか「タイミングを考える」みたいな表現があるのは、ここが個人差になるところであって、みんなに練習で試して欲しいところだからです。
呼吸のタイミングと回数を変えることで、タイムが上がるのか下がるのか、キツさはどうだったか、崩れ具合はどうだったか。そういった視点を練習のころから持って、自分の最適がどこかを比較していくことが重要です!
息継ぎをすると遅くなる!ではなくて、減速しない息継ぎを身につけよう!
最後にこの論争の僕なりの回答をしておきます。
「息継ぎをすると遅くなるから我慢しろ!!」言われたから我慢をしている。
そんなジュニアスイマーも多いのですが、、、。
もちろん50mのレースならわかります。でもやっぱりそれ以上はバテます。そして、1番伝えたいことは「減速しない息継ぎを身につけよう」ということ。これに尽きます。「下手だから息継ぎしない。」という考え方は問題の先送りではなかろうか?
いずれ逃げれなくなる日が来ます。目先のベストも大事ですが、もう少し先のことも考えて息継ぎの練習に向き合って欲しいなと思います!