体のパーツを表す漢字の成り立ちを調べると、私たちが普段の生活やスポーツで上手に体を使うためのヒントが隠されています。昔の人たちは現代人よりも自然に近い生活をしており、体を動かす機会が多かったはずです。必然的に体に対する感性がとても豊かだったのでしょうか。それを上手く漢字に反映させているように思えます。
漢字の成り立ちはOK辞典から調べました。OK辞典様ありがとうございます。
「腰」はやっぱり要!
腰と言う感じは、「月(にくづき)」に要と書きます。
当初は「要」と書いて腰を意味していたそうですが、「要」という漢字が他の意味にも多く使われるようになったため、「月」をつけて「腰」にしたそうです。
「要」という漢字は人体の中央に両手を当てた様子の象形だそうです。
人体の「かなめ」→物事の要という意味になったそう。
やっぱり腰は要なのですね。
確かに、いろんなスポーツでも「腰が抜けている」「腰からスイングだ!」とか何かと腰を重視する言葉が言われてきました。
日常生活で最も嫌な体のトラブルの1つと言えば腰痛。
腰が痛いとホントに何やるのも苦労します。
体を使う時はまず「腰」を何とかせねばならないようですね。
腰を反り過ぎない、曲げすぎない。
良い位置で腰の入った姿勢を意識することが第一ですね。
腰のコントロールで最も重要な体のパーツの1つは「尻」だと考えています。
「尻」は「死んで手足を伸ばす人」と「屈曲して尽きる」の象形が合わさった漢字だそうです。
そこから人体のきわまりにある「尻」を表すようになったらしい。
お尻の力が抜けると、腰も折れます。
ということは、お尻の力が抜けるということは「死んで手足を伸ばす」「尽きる」状態になってしまうということ。
そして「体の要を失う」ということに繋がると解釈できます(僕の拡大解釈)。
脇と肋骨は力の源?
脇という漢字は「月」に「力」が三つ、「肋」は力が一つです。
「月」は切った肉を表します。
「月」はお月様ではなく、「体のパーツ」を意味しています。
「力」は力強い腕の象形です。
肋骨の「肋」の「力」は「すじ」という意味も持ちます。
そこから肋骨が胸のところに筋(すじ)になって見えることから「肋」になったそうです。
「脇」は3つの「力」があります。
「力」を3つで「あわせる」という意味になるそうです。
そこから胴体と腕で挟む→「脇」らしい。
確かに、「脇を締めろ!」「脇が開いているぞ」という指示はスポーツや武道の世界でも昔から言われています。
漢字の成り立ちから見ても、「体で生み出す力を合わせ、腕に伝える」中継点なのでしょう。
肋と脇という字を見て思ったことがあります。
肋骨と脇は近い場所にあります。
肋骨は胴体に、脇は胴体と腕の中継点にあります。
肋骨では「1つ」だった力が脇では「3つ」になります。
「体の中心から末端に力を伝えなさい」というのはあらゆるスポーツの基本です。
脇をしっかり締めたり適切に開いたりすることで、胴体で生まれた力が脇を介して腕の先で大きな力になるということでしょうか。
もしそうならロマンがあります。
これも僕の勝手な解釈が入っていますが、実際体を動かしているとそんな気がします。
中心から体を使って、脇をしっかり使えば大きな力が出せる。
腕は自由に動いてリラックス!
「腕」という漢字。
「月(にくづき)」はここまで出てきた漢字と同様に「体のパーツ」を意味します。
「腕」の右側「宛」と言う字は「屋内でくつろいで曲げ、休む」という意味があるそうです。
そこから、自由に曲げる体の部位ということで「腕」って漢字になったそうです。
成り立ちから考えると、腕は自由でリラックスした状態が本来であると言えますね。
確かに泳いでいるときやボールを投げようとするとき、腕だけで何とかしてやろうとすると力んで上手くいきません。
末端の腕に余計な力を入れず、脇を上手く使い、胴体(肋骨)から力を伝えていくようにすると上手くいきます。
腕は常にリラックスです。
準備体操で腕をぶらぶらと振ったりするのも、もしかするとそういった意味合いがあるのかもしれません。
また、腕という漢字の成り立ちは「曲げること」から由来しており、「伸ばすこと」に由来していません。
伸ばすことは大切です。
しかし、伸びきってしまうと上手く力を使えなかったり、動作がぎこちなくなります。
腕をしっかり伸ばして使う機会は日常でもスポーツでもたくさんあります。
しかし、伸ばしている中でも少しのゆとりを残し、「伸ばし切らない」ことが必要かもしれません。
脚は後退り
脚という漢字は3つのパーツからなります。
月は他と同じなので説明を省略。
「却」の「去」は「両手両脚を広げた人の象形」と「口の象形」が合わさったものです。却の右側は「ひざまづく人の象形」だそうです。
そこから「後退りする」という意味となり、後退りするときの体のパーツだから「脚」という字になったそうです。
注目したいのが「両手両脚を広げた」と「ひざまづく」です。
この2つの状態って最もベーシックなトレーニング種目に似ています。
スクワット
ランジ
これは勝手な解釈ですが、この2種目は脚をトレーニングするうえでは絶対に欠かすなという古代人からのメッセージでしょうか(笑)
そうでないとしても、「脚を広げる」「ひざまづく」が脚の使われ方として印象的だったから漢字に当てはめたはず。
やらないわけにはいきませんね。
胴は2つの筒という意味
胴は「月(にくづき)」に「同」と書きます。
「同」は同じ太さの2つの筒を表すそうです。
筒ということで胴体そのものだけでなく、「腸」も意味しているそうです。
胴体の使い方でシリンダーローテーションという言葉があります。
シリンダーも筒を意味します。
胴体を筒のように、崩さず回すというイメージでしょうか。
しっかり腹圧が入った状態で体をローテーションさせる使い方です。
動作を行う時の胴体は1本の筒のように折れずにつかうことがやっぱり基本なのですね。
体は元々「體」と書いた
最後に余談ですが、体という漢字は当初「體」と書いたそうです。
骨が豊で体。
肉ではなく、骨がまずあっての体なのですね。
動かすときも筋肉を動かそうとするとどうしても力んでしまいます。
骨があって、そこに筋肉がついていること。
骨を動かすことで必要な分だけ筋肉が動くということ。
そういったことを再認識させられますね。