前回に引き続き、インスタで24時間限定で募集した質問への詳しい回答をしていこうと思います。自分のイメージどおりの動きをするためにどうしていますか?という質問。この質問をくださったのは水泳ではないスポーツ(水上での某レース種目)をされている方でした。しかし、レース種目ということで水泳とも共通点が大きいので、水泳目線で語ってみます。ポイントは「俯瞰」と「主観」の両方でイメージすることです。
他のあらゆるスポーツでも共通していると思うので、ご自身のスポーツを想像しながら読んでみてください。
まずは2種類のイメージを鮮明にする
イメージどおり動くには?
ということは、イメージがある程度鮮明な方が良いですよね。
動きをイメージする時は2つの目線があると思います。
1つは、自分が動いているところを俯瞰して見るイメージ。
ビデオで動きを録画している場合やテレビで中継を見ているのと同じです。
お手本を見るのもこの俯瞰視ですね。
自分を外から見てイメージすることです。
この映像をイメージすることで動きの全体像がつかみやすくなります。
具体的に体をどんなタイミングや角度で連動させれば良いかも分かりやすいですね。
しかし、実際に競技をしている時に自分自身をこのようにして俯瞰視することはできません。
水泳だと実際に泳ぐ時の目線はこんな感じでしょうか。
これはスタート台から飛び込む前。
水の中ではこんな感じかも。
こういったものを仮に主観的な目線とします。
この時のイメージをしてみてください。
俯瞰視した時と同じように体を動かすと、体はどんな感覚になるでしょうか。
目線は?力の入るタイミングや場所は?力の伝わり方は?
実際にシャドーで泳いでみるのも良いと思います。
実際に泳いでいる時、腕が脚が、体がどう動いているかは感覚で知るしかありません。
フォームを修正するときは、録画した動画や他者のアドバイスを元に「もう少し角度はこうかなあ」など、主観的な目線で感覚を擦り合わせているはずです。
ここまでがイメージの話です。
全体として自分がどう動きたいのか→俯瞰視のイメージ
実際に動いている時はどんな感覚になるのか→主観的なイメージ
この2つをできるだけ鮮明に描きます。
局所の意識は持たない
イメージ通りの動きをするにあたって、局所の意識は不要だと思います。
様々なスポーツに関する解剖学的な知見が広まってきたことや、筋トレがブームになっていることが相まって、
「この動きをしている時は○○筋が使われている」
「だから○○筋を鍛えことが効果的だ」
よくそういった言葉を聞くようになりました。
これは間違いではありませんが、この言葉故に、そして筋トレの時と競技の時の切り替えができないが故に、
競技をしている時にもある特定の筋肉を意識してしまう方がいらっしゃいます。
これが局所の意識です。
「肘の角度や肩の角度を意識することは局所じゃないの?」
「お腹やお尻を意識しろってよく言ってるやん?」
そんな質問が来ますが、これは局所ではありません。
肘とか肩とかお尻とか、体の大まかなパーツと部位を動かすには様々な筋肉が協働しています。
スポーツ動作はあらゆる筋肉と骨の協働です。
特定の「○○筋」という意識では協働が切れますが、肘とか肩とかの意識では切れにくいです。
また、特定の筋肉を意識することで力みやすくなります。
試しに大胸筋を意識して泳いでみてください。
力んでぎこちなくなります。
もちろん、スポーツでは筋肉が大切になりますが、トレーニングの時のように「効かせる」「○○筋を意識する」というのは少し違うかもしれません。
動作をすれば勝手に使われて、筋トレを積めば、その時に発揮されるパワーが上がる。
そんなイメージでしょうか。
一度にたくさん意識しない
理想の動きにはいろいろとポイントがあるかと思います。
頭の角度はこうで…
腕はこうで…
目線はこうで…
脚はこんな感じで…
しかし、人間には残念ながらキャパがあります。
1つのことを意識し改良しようとするだけでも、今までの動きを破壊し創造する過程を体験しています。
それを同時に3つ4つとやってしまうと体も頭もついてきません。
1つ2つ意識するだけでも、初めは動作がぎこちなくなります。
上手く行かないときもあります。
多くても同時に意識するのは1つ2つで、それらが体に染みつき、意識していなくてもできる段階(*自動化)になってから次のポイントを意識する。
もしくは1本ごとに意識するポイントを変える。
1本目は手を意識しよう。
2本目は足を意識してみよう。
そんな感じです。
教えていて、これは個人差が大きいなと感じます。
器用な人は3つ4つの意識を平然とやりますが、1つでも精一杯の人もいます。
どちらが良いとか悪いとかはありません。
自分ができる範囲でやってみてください。