バーベルを使って行う効果的な上半身の種目であるミリタリープレスの方法についてまとめておきます。ミリタリープレスは他にもバーベルプレスとかショルダープレスといった呼び方もされますが基本的には同じです。ミリタリープレスは一見すると上半身、特に肩や腕の筋肉だけに効果的なエクササイズに見えますが、全身を使った姿勢の保持・力の伝え方もポイントになってくるので肩・腕以外にも非常に効果的な種目です。
まずはどんな種目かご覧ください。解説もついているので合わせてどうぞ。
ここからポイントごとに解説していきます。
方法はMark Rippetoeの Starting Strength Basic Barbell Training 3rd editionに則っています。
今回紹介した動画などはこちらのNSCAジャパンの資料集からの引用です。
さまざまな基本エクササイズについて学べます。
https://www.nsca-japan.or.jp/12_database/exercise/resistance.html
ミリタリープレスのスタンスは腰幅くらい
ミリタリープレスをするときのスタンス幅(足の幅)は腰幅くらいです。くらいというのは、特に決まりはなく自分が最も下半身に力を入れ地面を押しやすい幅で良いからです。腰幅~腰よりやや広いくらいが多くの人が最も力が入るスタンスだと思います。スクワットの時と同じスタンスでも構いません。
ただし、狭すぎるスタンスはバランスを崩すので問題ありです。またスクワットよりも広い幅でも広すぎて地面を押す力を伝えることができないのでNGです。
グリップは肩より少し広く八の字気味で
バーベルを握る位置は肩よりこぶし1個分広いくらいです。そして握るときにうまく前腕に負荷が乗り、骨格でウェイトを受け止めれるように八の字で握ります。握り方にはコツがあります。
バーは親指と人差し指の間から母指球(親指の付け根)と運命線(生命線の隣の縦じわ)の付近を通るように乗せます。
バーが通る位置はこんな感じ。バーが母指球にあたる感覚があればそのポジションで握ります。必然的に両手は八の字になります。
ミリタリープレスのスタートポジション
次にスタートの姿勢です。ラックがある場合にはラックからバーベルをこの時点で外します。
バーは鎖骨、三角筋の上にセットしますが、この時にただバーを握っているだけではなく肘を軽く前方に突き出します。体をまっすぐに、目線は真正面にします。このときにバーは足の裏の中心(ミッドフット:土踏まず付近)と垂直になるように一直線で結んだポジションにします。動作が始まってもバーはこの直線上を通ります。
ミリタリープレスの動作手順
スタートポジションからバーベルを真上に持ち上げていきます。バーベルは常にミッドフット上を通り直線で動きます。ミリタリープレスは下半身の力を効果的に上半身に伝えて持ち上げる種目です。
1.胸を上げるようにして張ります(チェストアップ)。こうすることで胸郭が伸展し脊柱起立筋の上部が収縮します。同時に背中はまっすぐと言う意識を持ち、腹圧もいれます。
2.膝は伸ばし切り少しお尻を前にスライドさせるようにして体をそらせます。そこから直立に戻ろうとする力を伝えてバーを持ち上げていきます。力の伝え方は脚→腹筋の収縮とお尻が元の位置に戻ろうとする→胸郭をもとに戻す(屈曲)→肩・腕です。
3.バーがミッドフットから一直線上の軌道を通っていれば顔に当たりそうになります。バーが顔のところに来たら軽く顔を後ろに傾けてバーを避けます。バーを前に出すのではなく、自分がバーの通り道を開けてあげるイメージです。一瞬避けてまたバーの下に潜り込ませるイメージがあるといいです。
4.フィニッシュでは最後に肘を伸ばし切り、僧帽筋をグッと入れる感じでバーを安定させます。シュラッグさせると言われます。感覚としては左右の肩甲骨の間を後ろから押しあげられるイメージです。フィニッシュすればバーは身体と一直線でミッドフットの上、上腕は耳の横に来るはずです。
5.降ろす動作は上げる動作の逆再生です。ゆっくりと力を抜かずに降ろしてきます。ポイントは バーベルを自分の鼻をめがけて降ろしてくることです。上げる時と同様、顔にあたりそうになるのでやや後ろに傾けて避けます。最後は鎖骨のあたりまで下ろしてスタートに戻ります。
(参考:Mark Rippetoe, 2011)
以上の点を踏まえながらもう一度動作を見てみましょう!
一連の動作がスムーズにできるようにまずは軽い重量で練習してみてください!
この記事で参考にした文献
・Mark Rippetoe: Starting Strength Basic Barbell Training 3rd edition. The Aasgaard Company, 2011.