入院をして筋力がとても低下した話

以前1ヶ月間の入院をした際に筋力がものすごく低下した話をしたいと思います。僕がどれほど弱ったか、そして入院などで寝たきりになることがいかに体に良くないか研究データも見ていきましょう。今日は運動をしないことがどれだけ体に悪いことかという観点から運動の大切さを見ていこうと思います。皆さんの健康意識が高まれば幸いです。入院時の記事もありますので良ければご覧ください。ウィルス感染で悶え苦しんでおりました。入院の記事は下のリンクから。

 

 

 

約1ヶ月の寝たきりで脚の筋横断面積が20~30%小さくなる

まずは入院時の状況をさらっと紹介します。EBウイルス感染で頭痛や高熱、扁桃炎などで苦しんでおりました。入院生活スタート時には食べ物が喉を通らなかったのでしばらく点滴生活。入院時に体を動かすのはトイレとお風呂に向かう時ぐらいで、それ以外は基本的に寝てました。

 

 

筋力低下を痛感した出来事があったのは退院間際のある日でした。少し元気が出てきた僕を見て看護師さんが「気分転換に屋上でも行って外の空気吸ってくるといいよ。」と言うもんだから屋上へ向かいました。もちろん屋上階まではエレベーターがあるのですが屋上の庭に出るには階段を5段ほど登る必要がありました。

 

Yusan
よっこいせっと…………..。

?????…….重っ!!!!?????はぁ?????????え???????

 

 

1人閑散とした屋上でパニック!!

 

脚が…….鉛のように重い…….鉄下駄でも履いているのかと思いました。普通に歩く分には何ともなかったのですが、久しぶりの階段がめっちゃきつい。もうきつくて階段が登れないと言うじいちゃんたちの気持ちが少しわかった気がしました。

 

 

入院おそるべし。

 

 

この時僕の体の中では一体何が起こっていたのでしょうか?

 

Brocca L らによる研究(2012)では健康な男性9人に対して35日間の寝たきりになってもらい、その時の影響が調べられました。平均年齢は24.3±0.8歳で僕の年齢ともほとんど同じです。8日目と35日目に筋肉のサンプリングが行われました。

 

 

寝たきり8日目では大腿直筋の筋線維横断面積(CSA:筋肉の断面積で筋サイズの評価に使われる)には変化がありませんでした。しかし、35日目では大腿直筋の筋線維CSAが20~30%減少しました(遅筋線維で31%、速筋線維でtype2aが21%、type2xが28%も減少)。

 

また、寝たきりになると下肢の徐脂肪量(ほぼ脚の筋肉量と評価できる)が若い人だと1週間で100~200g減少するようです(English KL and Paddon-Jones D, 2010)。僕の場合だと1ヶ月くらいなので300~600gも筋肉が失われた可能性が….。

 

ちなみに徐脂肪量は分かりませんが入院中の体重測定で入院前と比べて約5kg痩せてました。筋肉もごっそり持ってかれたと思います。

 

筋肉って付けるの大変なのにすぐ減っちゃうんだね…。

 

 

筋力はある程度筋肉量によって左右されると言われています。筋量が著しく減少すれば筋力も落ちてしまいます。入院で寝たきりになって筋力が落ちる大きな要因の1つと考えられています。そしてこの筋量の低下は年齢が高いほど激しいことが分かっています。そしてそもそも加齢とともに筋肉は増えにくく減りやすくなる。だから高齢になってから入院をするとそのまま歩けなくなる人も出てくるわけです。高齢の被験者では10日で下肢の徐脂肪量が950gも減ったというデータも示されています(English KL and Paddon-Jones D, 2010)。1週間に換算すると630gで若者の3倍くらい….。

 

 

普段から全然運動してない人が寝たきりって考えると恐ろしくないですか?筋量がもともとある人なら少々減っても歩けなくなったりはしませんが、筋量がそもそも少ない人は歩いたり立ち上がったりすることすら難しくなるかもしれない。これは年齢に関係なく起こりうることです。

 

 

というわけで皆さん、なんでもいいので運動は続けていきましょう。

 

貯筋しておけば憂いなしということわざもあるくらいです(ない)。

 

 

寝たきりになると筋力はどれだけ低下するのか

では入院などで寝たきりになるとどれほど筋力は低下するのでしょうか?ここまではあくまでも筋量。大事なのはどちらかというと大きさよりも機能ですよね。実際のところどうなんでしょうか。

 

 

ちなみに退院後しばらくして体が回復した僕は筋トレを再開しました。早速バーベルでスクワットをしてみたところ、以前10回できた重量が3回しか上がりませんでした。入院前の5RMの重量を担いでみましたがほとんどしゃがめず。ぴくっと動いただけでやばいと感じて終了。むせび泣きました。

 

 

Krainski F ら(2014)は20~54歳の健康な人に対して5週間の寝たきり状態での筋肉の機能的な変化と寝たきり中の運動による効果を調べました。それによると寝たきり5週間で膝関節伸展のピークトルクが14%減、足関節底屈トルクが22%減、背屈も15%減が観察されました。股関節、肘関節、それから膝関節の屈曲には影響がなかったようです。つまり膝を伸ばす、つま先を曲げる伸ばすといった筋力が著しく低下したことを意味します。

 

 

他にもLeBlanc ADらによる研究(1992)では19~52歳(平均年齢32±12歳)の被験者において膝関節伸展ピークトルクは特に顕著な低下を見せており、わずか1週間で14.7%減少し5週間後には25.2%減少していました。さらに17週間の寝たきり期間が終わってから7週間後もまだ元の水準に戻りませんでした。

 

 

*トルクとは簡単に言うとモーメントアーム×力(扱う重量)です。

関節から重りまでの距離がモーメントアームです。トルクとは回転力のことですので、より長い物でより大きな力を発揮することで大きくなります。モーメントアームが同じでも力が強ければトルクが大きくなります。反対に力は同じでも長いモーメントアームであればトルクは大きくなります。寝たきりになっても筋トレをしても腕や脚の長さは変わりませんが筋力は変わります。そして結果的にトルクの減少や増加が起こります。

 

 

このように寝たきりになると筋量だけでなくその機能までもしっかり減少してしまいます。そしてどちらかというと歩行や姿勢維持に関係する筋肉量と機能は低下がしやすいと言われています。これはおそらく人間は2足歩行なので本来常に使うはずのものを使わないことがいかに体に良くないかということでしょう。

 

 

どうりでスクワットで扱える重量がめっちゃ下がっていたわけですね。しかも膝伸展筋力が一番影響受けてるし…。そりゃダメだわ(笑)

 

結局言いたいことは運動をしましょうということ

今回は寝たきりで全く動かないという極端な例を出しましたが、「運動をほとんどしない」もしくは「運動量が減る」って状況は入院していない人でも起こりえます。いわゆる運動不足ですね。そんなライフスタイルを長期間続けていれば年齢とともに筋肉は衰えるばかり。最終的には歩けない、立てないで、好きなこともできない。

 

 

寝たきりになっていないから筋肉が減っていないというのは大間違いで、健康な人でも十分な運動をしなければ筋肉は徐々に減っていきます。成長期の子供を除いて、年を取るだけで筋肉は減ります。ほっといたら減るんですから運動するしかありません。できればぼーーーっと寝てたいところですけど運動しなきゃですねぇ。

 

 

運動してくださいね。できるだけ歩くとかでもいいので。

 

 

参考文献

・Brocca L, Cannavino J, Coletto L, Biolo G, Sandri M, Bottinelli R, and Pellegrino A: The time course of the adaptations of human muscle proteome to bed rest and the underlying mechanisms. J Physiol 590 (20): 5211-5230, 2012.

・LeBlanc AD, Schneider VS, Evans HJ, Pientok C, Rowe R, and Spector E: Regional changes in muscle mass following 17 weeks of bed rest. J Appl Physiol 73 (5): 2172-2178, 1992.

・English KL and Paddon-Jones D: Protecting muscle mass and function in older adults during bed rest. Curr Opin Clin Nutr Metab Care 13 (1): 34-39, 2010.

 

 

 

 

 

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