クロールの肩の使い方:外旋・内旋それぞれのメリット、デメリット

泳ぎのフォームは日々見直され、変化しています。「必ずしもこのフォームが良い」とか「このフォームは悪い」とかは無いと思います。正解となるフォームは自分に合っていること、ケガをしないこと、この2つの条件を満たしていることだと思います。この2つの条件を考えながら、今回はクロールの肩の使い方(外旋と内旋:方を外に回すか内に入れるか)にフォーカスして泳ぎを考えていきたいと思います。

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*今回の内容は必ずしも結果を保証するものではありません。

皆さんが試行錯誤をされる際の参考程度にしていただければ幸いです。

肩が内に入る内旋の動き

一昔前までは、水に手を入れる時は親指から(手のひらを外側に向けて)でした。

これは肩関節も内側に捻るような動き(以下:内旋)を伴います。

初心者への指導は基本的にこの内旋を伴う動きでした。

今でもそうやってご指導されているところも多いと思います。

バタフライも同様に、手のひらを外に向ける泳ぎから教わることが多いと思います。

 

競泳クラスになると、水に手を入れる時は親指からの人もいたり、小指からの人もいたり、全体的に入れたり、様々です。

そして、肩の内旋は軽く残したまま、前腕を捻って(回内して)手のひらを下に向けるような形で水をキャッチしていきます。

とにかく、肩を内側へ向けるような内旋の動きは一般的で、広く使われている印象です。

内旋のメリット

クロールの手のエントリー時に肩を内旋させるメリットは「上手く使えば体の連鎖を使いやすいこと」かなと個人的に思います。

クロールのローリングは腰の回転から始まって胴体を通り、指先に連鎖していきます。

肩を内旋させることは、ネジを巻くような作用があります。

体の連鎖は、巻いたものを巻き戻すこと、伸ばしたものを縮めることで生じます。

下半身と上半身のコンビネーションを重視して泳いでいる人の場合は、肩の内旋動作はしっくりくるかもしれません。

内旋のデメリット

肩が内旋するデメリットは「肩の故障のリスク」です。

水泳肩と呼ばれる方の故障があります。

肩の腱板が傷つくことで発症する故障です。

肩の内旋動作が大きすぎると肩が詰まります。

そうすると水泳肩のリスクももちろん高くなってしまいます。

 

また、内旋を上手く使いたいのであれば、肩関節の柔軟性も重要になってきます。

肩関節が硬く、無理に内旋をしようとするとぎこちなくなる人にはあまり向いていないのではないかと思います。

肩が外を向いたままの外旋の動き

内旋の反対が外旋です。

クロールの手のエントリー~キャッチ時に、肩が内へ入らず外側を向いたままのような動きです。

手のひらも水面と平行に向いていたり、小指側から入水したりといった形を取ります。

先ほどの内旋と見比べてもらうと分かりやすいかと思います。

 

内旋

外旋

 

ちなみに、内旋の時とはキャッチ以降の動きも若干変わってきます。

外旋の方が一見肘が落ちたような形になります。

でもこれは水泳でよく言うエルボーダウン(肘落ち)ではなく、正常な動きです。

脇が締まるのに合わせて前腕が回旋していって、水を最後まで押します。

手のひらの軌道自体は真っ直ぐです。

外旋のメリット

肩を外旋させたエントリー、キャッチの方が内旋の場合よりも人体にとって自然な動きです。

その場で片手を思いっきり上に伸ばすときも、内旋よりも外旋の方が自然に伸ばせます。

肩が詰まってしまうような心配もないので、体に優しい動きになります。

体に優しい動きは、動きの滑らかさにも通じます。

筋膜の観点から考えても、外旋+小指先行で伸ばしていった方が自然です。

そして肩を内側に入れないことで、動作の手間も省けます。

外旋のデメリット

クロールのエントリー~キャッチで肩関節を外旋させて泳ぐ場合、内旋と比べると力の伝え方が分かりにくい人もいることではないかと思います。

「ネジを巻いて戻す」というより、「伸ばして縮める」という感じが強いので、より単純化された動作の中で感じる力が必要になるのではないかと思います。

 

そしてもう1つ。

手のひらを外へ向ける動きが内旋の場合と比べて小さくなってしまうので、キャッチの難易度が上がる人もいると思います。

動きが単純化された分、高い技術が必要になるかもしれません。

そこは練習してください。

スカーリング練習をたくさんしてください。

結局どちらが良いのか

結局どちらが良いのか。

それは1人1人違うと思います。

何かに取り組んで0.01秒でも速く泳げたなら、きっとそれが今の自分にとって正解だったのかもしれません。

はっきりした答えはありません。

学校では答えのあることばかり習い、それを覚えることが正しいとされます。

でも、スポーツや現実社会ではルールという大枠以外の正解・結論はありません。

試行錯誤して「今の自分にあった正解を探し続けること」。

これしかありません。

 

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今日の正解は明日はもう自分に合っていないかもしれないですし。

 

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