この記事では平泳ぎのキックを改善するための知識と家でもできる練習方法を紹介します。平泳ぎはキックの貢献度が大きい種目です。そのため、良いキックでスイスイ泳ぎたいものですが、打ち方に問題があると逆に水の抵抗を大きくしてしまい、進みにくいということがあります。足の裏をしっかりと後ろに向けましょう。最初の頃はしゃがんで立つようなシンプルな体の使い方をイメージするとわかりやすいです。
この記事では以下のような平泳ぎのキックに関するお悩みを解決できるかもしれません。
などなどです。
目次
平泳ぎのキック動作の基礎知識
平泳ぎのキックのバタ足やドルフィンキックと大きく異なる点は大きく2つです。
①水を捉えてける方法が違う
バタ足・ドルフィンキック → 足の甲側で水を蹴っ飛ばす
平泳ぎのキック → 足の裏で水を押す
②動作の向きが違う
バタ足・ドルフィンキック → 前後に脚を振る動き
平泳ぎのキック → 体に対して垂直に脚を伸ばす動き (スクワットや垂直跳びのイメージ)
キック動作は後の章で紹介するエクササイズで習得できますので、ここでは書きません。
文章で書いても伝わりにくいので!
平泳ぎキックであおり足がダメな理由と改善のための2つの意識
平泳ぎのキックは足の裏で水を押すこと、垂直跳びやスクワットに似た体の使い方をすることを前章で述べました。
これが分かっていればあおり足がなぜダメなのかが分かります。
ダメな理由が分かれば解決策も分かります。
ではここで、あおり足がダメな理由が簡単にわかる実験をしてみます。
①少しだけ膝を開いた正座をしてみてください。
②反動は一切使わずその状態で立ち上がろうとしてみてください。
③立ち上がれますか?
④では次に和式トイレに座る姿勢から立ち上がってみてください。
⑤正座の時と比べてどうですか?
勘の良い方はお気づきだと思いますが、あおり足キックは正座の時と同じ状態なのです。
人間は立ち上がろうとする時、足の裏が地面についていないと上手く地面に力を伝えることができません。
平泳ぎのキックでは地面を押して立ち上がる動きと同様の動作が求められます。
押す対象が地面か水かであって、足の裏で押すことは共通しています。
あおり足でキックをするということは、正座から立とうとするのと同じです。
姿勢や重力の関係上、水中で泳いでいる時は地上で立っている時と違い、何もしないと足首は伸びた状態になりやすいです。
なので意識的に足首を曲げて押したい方向へ足の裏を向けてあげなければいけません。
あおり足になる場合の対処法としては2つの意識があると良いです。
1.「平泳ぎのキックを打つ」というより「しゃがんで立つ」動きをするつもりで行う
2.足首を曲げるではなく、けりたい方向に足裏を向ける意識を持つ
しゃがんで立つという日常で使う動作を意識することで、地面(水)を押す正しい動作コントロールのスイッチが入りやすいです。細かいスキル修正はあおり足が改善してからで良いと思います。
まずは足裏で押すということを覚えるのが先だと思います。
足首を曲げる意識を持ちすぎてしまうと、余計な力みが生まれたり、足を引いた時以外にも常に足首が曲がった状態になることがあるので、足の裏の向きに意識を向けます。
足をお尻の方に引いたら足裏を蹴りたい方向(後ろ~斜め下)に向ける意識を持ちます。
家でもできる練習方法は後の章で紹介します。
平泳ぎのキックが進まない原因の1つは足裏の感覚かも?!
足の裏って手のひらよりも大きいはずなのに、水を掴んでいる感覚がほとんど無い人もいると思います。
これって不思議だと思いませんか?
でもこれは自然なことでもあります。
それは人間の感覚は手が最も鋭く、足の裏は大きさのわりに鈍い部位だからです。
でも、「感覚が無い」は改善していきたいです。
「無い」と「少しでもある」は大きな差です。
人間は本来、足の裏で地面をしっかりつかんで踏ん張れるようにできています。
ところが靴下と靴を履くようになり、裸足で行動する機会が減ると、地面を掴む能力が低くなってしまいます。
すると、普段から足の裏への意識が低いため、感覚も鈍くなっていきます。
陸上であれば感覚が多少鈍くとも地面が安定してくれているので、ある程度簡単に力を伝えることができます。
しかし、水中ではそうはいきません。
水は地面よりも柔らかく、常に不規則に動いて不安定です。
陸ではテキトーに立っていてもそれなりに地面を足の裏で押すことは可能ですが、水中では意識的に水をとらえてあげないと「力を伝える足場」を作ることができません。
先にも述べた通り、平泳ぎのキックは足の裏で水を押すので、地面での垂直跳びと似ています。
垂直跳びは、地面という足場があるから成立しますよね。
平泳ぎのキックが全然進まなくて、足の裏に水の感覚が無い場合は、水を意識的につかまえて押せていない可能性があります。
足裏の感覚を養う水中でのオススメ練習方法は2つです。
プールに行ったときにチャレンジしてみてください。
①足裏を意識した水中ウォーキング
水中でウォーキングをするのですが、上げた足を真っ直ぐ下に降ろしながら足裏で水の抵抗を感じてみてください。
足裏で水を踏み込んでいくように一歩ずつやってみてください。
②足裏スカーリング
プールで片脚立ちになり、もう片方の脚の足裏でスカーリングをします。
インスイープだけでOKです。
*これを水中でやって下さいね!!!
③片脚キックドリル
足裏の感覚をもっと研ぎ澄ますために、片脚ずつ平泳ぎのキックをしてみてください。
キックをしない方の脚は伸ばしたままです。
ビート板は有りでも無しでもOKです。
片方の脚はよく進むのに反対は進まないことや、思ったよりスカスカな感じがあるかもしれません。
その場合は水を捉えることができていないかもしれません。
コツとしては、真っ直ぐ足裏全体で水を押しながらも小指側から動かすイメージがあると水をとらえやすいです。
これらの練習に加えて後の章で紹介する家でも可能な練習方法にも取り組んでいただければ足裏の感覚はもっと良くなります。
足首や膝が硬くても、良い平泳ぎキックは打てるのか
平泳ぎと言えば足首や膝の柔軟性が高い方が良いとよく言われています。
テレビでも時々ぐにゃぐにゃに足首や膝が動く選手、天才ジュニアスイマーなどが出てきますよね。
ということはやっぱり柔軟性が高くないと良い平泳ぎのキックは打てないのでしょうか?
人間の関節には安定すべきものと、大きく可動すべきものがあり、おおよそ交互に並んでいます。
足の裏(足底)は安定
足首は可動
膝は安定
股関節は可動です。
これは平泳ぎにはメリットっぽく見えますが、本来安定しておくべき関節なので緩みすぎているのは危険でもあります。
なので彼らのような異常な柔軟性を目指すべきではないと言えます。
もし異常な柔軟性を獲得して平泳ぎのキックが速くなっても、陸で生活する時の故障リスクが高くなります。
一方、足首と股関節はもともと良く動く関節なので、そちらの柔軟性はキックの速さや強さに貢献します。
ただし、こちらも柔軟性が高ければ高いほど良いというわけではないので注意です。
では、足首や股関節が硬くても、良い平泳ぎのキックは打てるのか。
答えから言うと、ガッチガチに固くないのであれば打てないことはないです。
平泳ぎのキックには大きく2種類あります。
・ウィップキック…足を回して挟むようにキック 膝は内向き
・ウェッジキック…真っ直ぐ後ろにけるキック 膝は外向き
ウィップキックは上達してくるとほとんど膝から下だけが回って蹴っています。
いかにも柔軟性が必要そうなキックです。
しかも、どう見ても膝関節の動き的に負担も大きそうですし、効率よく力を出しにくい動きをしています。
やはり、ウィップキックをするなら高い柔軟性は必要そうです。
一方のウェッジキックはややガニ股でしゃがんで立ち上がる動きに似ています。
膝がつま先と同じ方向に向くので膝関節に負担が少なく、人間の動きとしても素直です。
その分力も出しやすく、柔軟性が低い人でも比較的けりやすくてオススメです。
つまり、柔軟性が低い場合は無理にウィップキックをせずにウェッジキックに切り替えて、いかに効率よく水をつかまえて蹴るかといった所にフォーカスすれば良いキックが打てるはずです。
*柔軟性が不要というわけではありません。ケガ予防のこともありますので、ストレッチ等で柔軟性を高める努力はしてください。
家でもできる平泳ぎのキック練習:あおり足・足裏感覚の改善・動作習得
それでは最後に、家でもできる平泳ぎのキック練習方法をご紹介します。
あおり足と足裏感覚の改善や正しい動作習得に役立ちます。
①足裏の感覚を磨こう
足を意識的に自由に動かし足裏の感覚を養う練習です。「指先まで神経を通すイメージ」で行います。
この練習で地面をつかむ感覚を身に付けてもらえれば、水に入った時の感覚も良くなると思います。
まずは指を動かして今までサボってた足の神経系を起こしてあげましょう。
1つ目はグー・パーです。何度か繰り返してみてください。
最初は難しいかもしれません。特にパー。
次はチョキ?グッド?とその反対です。
グー・パーより平泳ぎには大事ですので、ぜひできるようにチャレンジしてください!
できるようになってきたら交互に繰り返したり、片足ずつやったりしてみてください。
右脳と左脳は真ん中にある脳梁でつながっているので左右対称の動きは得意です。
なので左右バラバラや片方だけだと難易度が上がります。
特にニガテな側の足は難しいです。
ニガテな側をできるようにするには、特異な側の足と一緒に動かしたり、手でサポートすると良いです。
徐々にサポートを無くしていきます。
次は地面をつかむエクササイズです。
座ってでも立ってでもいいので、足を地面について地面を握るようにしてつかんでください。
親指というよりは、小指側、足の外側からつかんでいくイメージです。
つかんで離してを感覚が分かるまで何回か繰り返します。
最後はややガニ股で立って行います。
土踏まずを浮かせた状態で先ほどと同様に地面をつかみます。
これも、つかんだり離したりを繰り返します。
②あおり足矯正・足裏で押す感覚・ウェッジキックの形を体で覚えよう
次はあおり足を改善し、足裏で押す感覚を身に付ける練習です。
①で紹介した足のエクササイズに取り組んでもらってからの方が効果的です。
この練習ではウェッジキックを想定しています。
意識を足裏に集中します。
①まず、ややガニ股で立ち、足裏で地面をしっかりつかみます。
つかめない人は先ほど紹介した足のエクササイズに戻って下さい。
②つかんだ地面を自分の方へ引き寄せるイメージで膝が少し曲がるところまでしゃがみます。
ただしゃがむだけでは単なるスクワットなので意味がありません。
地面を引き寄せた結果、膝が曲がるイメージです。
③つかんだ地面を足裏で押して立ち上がり、お尻を締めます。
足の外側からつかんで押していくイメージがあると良いです。
この練習で集中すべきは体に動きを覚えさせることであって、下半身の筋肉を追い込むことではありません。
水中でいきなり動きを意識できないのであれば、難易度の低い陸上で正しい動きのイメージを作ってあげる必要があります。
今回は家でもできるというタイトルで紹介していますが、平泳ぎのキックを練習する時に一旦プールサイドでイメージを作ってから実際に泳いでみるというのも効果的です。
上手くいかなかったら、またプールから上がって体に正しい動きのイメージを体に教えてあげると良いと思います。
実際の平泳ぎキックでは、足を引き付けてから足首を曲げて、けり切った後は足首を伸ばします。
足裏で水を押す動きを覚えてもらえたら、仰向けに寝転がってシャドーでキック動作をしてもらえれば家でも動きを習得できます。
そのときは足首の曲げ伸ばしもつけてください。
十分にイメージをつかんでプールに行って頂けると良いかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?皆さんの平キック改善に少しでもお役に立てば幸いです。 キックが上手くいかない理由は他にもたくさんあると思いますが、一人一人の泳ぎを見ていないので今日はこんなもんで勘弁してください(笑)