水泳は健康に良いと言われていますが、時として不健康を招く原因になることがあります。その1つが、平泳ぎのキックによる股関節や膝のトラブルです。股関節や膝は「歩く」「立つ」といった健康な一生に非常に重要な関節です。大切にしながら水泳を続けたいですよね。健康のため、もしくは生涯スポーツのために水泳をしているのに、痛みやケガがあっては本末転倒です。
*競泳の方の速くなるためのキックとはまた別の視点となります。
今回は股関節の健康という観点から平泳ぎのキックについて考えて行きたいと思います。
従来のキックによるトラブルと、解決策を書いていこうと思います。
よくある平泳ぎのキック
今回特に注目したいのが、平泳ぎのキックで足をお尻の方へ引き付けた時の状態です。
最も一般的な平泳ぎのキックは、足をひきつけた時に、膝を閉じて、膝の外側に足部が来るような形になります。
少し内股のような。
座り姿勢だと、割座(女の子座り)のような感じです。
そこから、外側に向かって脚全体を伸ばし、水を後ろへ押しながら挟んでいく。
おそらく、これがよく習う一般的な平泳ぎのキック。
ウィップキックと言われたりします。
フォームとして特に間違いはありません。
競泳をするようになると、大きく開きすぎることも減っていき、だんだんとシャープで鋭いキックになっていきます。
ところが、このよくあるキックに問題があります。
ウィップキックで股関節と膝を痛める
それが、股関節や膝の痛みです。
平泳ぎのキックは股関節と膝を伸ばしていく動作です。
股関節と膝を伸ばす動作と言えば、椅子から立ち上がるときであったり、スクワットであったり。
例えば椅子から立ち上がる時に、皆さんの膝はどうなっていますか?
内側に入っているでしょうか?
入っていないですよね。
そうなんです。
人間の構造上、膝が内側に入って足部が外になった状態で強い力を出せるように本来はできていないのです。
もっと分かりやすく例えると、割座(女の子座り)から立ち上がるのって難しいですよね。
極端に言うとこれに似た動作がウィップキックなのです。
水中でうつ伏せになっているから、蹴れてしまいますが、関節にとっては不自然な動きなんです。
股関節が内旋(内へ捻る)され、膝から下は外側に捻られる。
丁度脚全体を捻じったような状態になります。
その状態で何度もキックを打つので、股関節や膝の痛みに繋がってきます。
競泳をしているひとであれば、痛みが無いかもしれません。
それは股関節の柔軟性であったり、強さであったり。
トレーニングを重ねる中で培われたものであって、健康スイマーが同じようにしていいかと言われると少し疑問です
せっかく健康のために水泳をしているのに、痛めていては本末転倒です。
それに、歪みがきつくなってくると普段の立ち姿勢にまで影響が出てきます。
じゃあ、膝を外に開けば良いの?
じゃあ膝を外側に開くようなキックなら大丈夫なのでしょうか。
こんな感じですね。
先ほどよりも膝を外に開くことで、股関節の内旋が無くなり、脚全体のねじれも小さくなっています。
確かにこのようなキックを心がければ、股関節への負担が減ります。
内股でキックをしていて股関節を痛めたのであれば、まず試してみるのがこのキック。
ですが、中には膝を痛めてしまう方もいらっしゃいます。
股関節を開いた分、膝下を大きく回してキックを打とうとしてしまうことが原因だそうです。
自分に合ったものを?
いずれのキックをしようとも、股関節か膝に負担がくることが考えられます。
結局は今の自分に合っているかどうか。
内股のようなキックをしていて、股関節が痛いのであれば膝を開いてみるなどの工夫が必要です。
また、自分はどれくらいの開き加減なら痛みや違和感がないか試しながら泳ぐことも大切です。
負担の少ないキックを考えてみた
最後に、僕なりに考えてみた負担の少ないキックをご紹介しておきます。
それが、しゃがんで立つだけキックです。
2つ目に紹介したこのキックに似ています。
このキックでは、膝から下を回すような意識が有るのですが、ここで紹介するキックでは回す意識を持ちません。
まず、足をひきつけた時にねじれを生まないようにします。
後ろから見た時に、太もも、膝下、足が重なり合うようにします。
図で表すとこんな感じ。
黒が太もも、緑がスネ、赤が足部です。
*左右ちょっとズレてるけど気にしないで。
ここから、真後ろに向かって水を押すだけです。
膝下を回そうとしません。
ディープスクワットとか、ヤンキー座り、うんこ座りから真っ直ぐ立ち上がるような感じ。
そして、最後に脚を閉じる。
そんな動きです。
股関節を内旋させず、膝は単純な曲げ伸ばしにすることで、ねじれを生まないようにしています。
今回は股関節の健康という観点から平泳ぎのキックを考えてみました。今は痛みが無い方でも、長く水泳を続けたい方は泳ぎ方を再度見直してみてください。