中臀筋という筋肉、皆さんは聞いたことがありますか?お尻の横側にチョイってついている筋肉で、姿勢の制御に関わっています。チョイってついていますが、とても重要な筋肉で、もちろん水泳にも関係しています。特にキック時の姿勢の安定に関係しています。片足でバランスをとりながら行うトレーニングが効果的です。
今回はその中臀筋(中殿筋)と水泳、そして泳ぎに役立つトレーニングの方法についてご紹介していきます。
中臀筋の簡単な解剖学
中臀筋はこのような感じでついています。
お尻というより、太ももの付け根の横側についています。
起始:前殿筋線および後殿筋線の間にある殿筋面、腸骨稜
停止:大転子外側面
中臀筋の作用は股関節の外転とわずかに内旋です。
外転はこのような動きです。
しかし、
中臀筋はこのイラストのような「THE 外転」として普段機能しているわけではありません。
それを次の章でお伝えします。
中臀筋の機能
中臀筋の機能は、ふらつく体をもとのまっすぐに戻すことです。
最もわかりやすいのは片足立ち。
片足立ちでふらつき、元の真っ直ぐの姿勢に戻そうとする時に中臀筋が使われます。
(もちろん他の筋肉も使われますが)
片足立ちは分かりやすい例ですが、もちろん歩いている時、走っている時も中臀筋はバッチリ機能しています。
歩く時も、片足だけに体重が乗っている時間があります。
この時に左右にブレてしまわないように中臀筋が機能しています。
中臀筋が弱い人の特徴として、歩いている時に左右にお尻をフリフリしたような感じになったりします。
水泳の中での中臀筋
中臀筋は泳ぎの中でも非常に役立っています。
4泳法どのキックにおいても、骨盤を安定させる働きがあります。
骨盤が不安定な状態でキックを打つとどうなるか。
1.力強いキックが打てない
2.キックで体がブレてしまい、姿勢が崩れやすくなる
などの問題があります。
中臀筋に限らずですが、股関節の動きに関わる多くの筋肉が骨盤の安定化に寄与しています。
特にバタ足や平泳ぎのキックをしている時に、姿勢のブレを感じてしまう人や、コーチやチームメイトから指摘される選手は中臀筋をはじめとした股関節の筋群を鍛えるのは効果的なことかもしれません。
もちろん股関節以外に原因がある場合も考えられるので、一概には言えませんが。
中臀筋をトレーニングするにはどうすれば良いか。
もちろん泳ぐこと自体もトレーニングにはなるかもしれませんが、人によっては常に機能が低い状態で泳いでいることになります。
そこで、陸でのトレーニングで中臀筋にしっかりと刺激を入れることが効果的だと考えます。
中臀筋のトレーニング
中臀筋をトレーニングするには、その特徴を生かします。
先にも述べたとおり、中臀筋は体のふらつきに対応する働きを持ちます。
常にバランスを取らなければいけない状況、ふらつきに耐えなければいけない状況で動きます。
つまりは、「片足」でのトレーニングを行うということ。
安定した状態で股関節の外転動作をすることも、一見中臀筋には効果的に思えますが、
本来そのような状態で使われる筋肉ではないため、機能的に疑問が残ります。
片足でのトレーニングはシンプルなもので構いません。
ふらつきが大きい人や体力レベルが低い人にとっては、片足立ちでもトレーニングになります。
片足たちをキープしようとすることで中臀筋に刺激が入ります。
片足立ちがある程度できる場合は、片足の状態で動きます。
下記のような片足スクワットなども効果的。
下半身の他の筋肉と中臀筋が連動して動くという、実践的な刺激を体に与えることができます。
勘違いして欲しくないのは、体を安定させるには中臀筋さえ働いていれば良いというものではありません。
様々な筋肉が協調して適切なタイミングと力で働くことが大事。
そういった意味でも、中臀筋にだけフォーカスした種目よりもこういった種目を積極的に取り入れたい。
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骨盤の安定は泳ぎそのものにはもちろん、飛び込みやターンなど水泳のあらゆるシーンで必要になります。
安定すべきところが安定して初めて、動くべきところがしっかりと動いて強い力を出せます。
まずは片足立ちから。
安定した姿勢を手に入れてみてね。
以上です。