クロールを泳いでいて、頭に水をかぶってしまうことはありませんか?また、もっと水面の高い位置で泳ぎたいと思いませんか?アゴを引くこと、息を吐ききらないこと、胸郭をしっかり開くことでボディポジションを高くできる可能性が高まります。
頭に水をたくさん被った状態で泳ぐと、水の抵抗が大きくなってしまいます。
水面に対して胴体が沈んで、低い位置で泳ぐことも水の抵抗を増します。
全体的に水没した状態ではスピードが出にくくなります。
どうしたいか
まず、作りたい状態は頭だけを意図的に水面に出すことではありません。
結果的に頭部が高い位置に来ることが理想です。
なので、アゴを上げて頭部を出そうとするフォームは理想ではないと思います。
そもそも大きくアゴの上がった状態では、肩も動きにくくなりますし、前面からの抵抗も大きくなるのでオススメしません。
結局のところ、ボディポジションを高くしたいわけです。
胴体部の位置が全体的に高くなれば、そこについている頭部の位置も高くなります。
ではボディポジションを高くするには?
1つは肺です。
当然肺に入る空気が多ければ体が浮かびやすくなります。
肺は胸のあたりにありますので、浮心もこのあたりです。
だからと言って肺をいきなり大きくすることはできませんよね。
しかしながら、意識付けだけでも今よりも肺にしっかり空気を送りこむことは可能です。
肺の意識づけ
肺の意識付けの第一歩は、肺がどこにあるかを認識することです。
皆さんの肺は、肋骨の中に存在しています。
肺の一番上は鎖骨より少しだけうえに出ています。
こんな感じです。
肺は肋骨が開くことで空気を吸うことができ、肋骨が縮むことで空気を吐くことができます。
もしこの認識が、お腹よりの場合、肋骨全体を上手く使った呼吸ができません。
動きと言うのは、実際よりもイメージが優先されてしまいます。
肺の位置を確認してください。
泳ぐとき、スタート時に大きく息を吸うと思います。
この時に、肺の位置の認識が正しければ、肋骨全体が開き、肺をフルに使いきることができます。
肺をフルに使えることで、入ってくる空気の量は多くなります。
吐ききらない
肺に関して、もう1つ上手な使い方があります。
それが、「吐ききらないこと」です。
スタート時に肺の認識を正しくして大きく吸ったは良いけれど、泳いでいる時はどうすれば良いかが問題になってきます。
息継ぎをして泳いでいくわけですが、この時に息を吐ききってしまうと浮力を大きく損失します。
また吸えば良いじゃない?と思われるかもしれませんが、そうはいきません。
息継ぎの一瞬の間に吸うことができる呼吸の量は限度があります。
かといって時間をかけて呼吸をすることはタイムロスになります。
また、水の中では水圧がかかっているので、陸上にいるよりも肋骨が開きにくくなります。
逆に閉じることは簡単です。
ポイントとしては、スタート時に大きく息を吸います。
できるだけ肋骨(胸郭)を広げることで肺にたくさん空気を入れます。
そして、その肋骨が開いた状態を保って泳いでいきます。
水圧の関係で、一度肋骨が閉じてしまうと再び開くのは難しいです。
息を完全に吐ききるという行為は、肋骨を完全に閉じるということです。
これをしてしまうと再び浮力を得ることは難しい。
息継ぎは、子どもの頃に習った「ブクブクパー」でかまいませんが、完全に吐ききらずとも良いです。
そうすることで、肋骨が閉じることを防ぎ、無駄な空気のロス(浮力の喪失)を防ぐことができます。
息継ぎで息を吸うにも、水泳では肋骨が開いている方が水圧の関係で得です。
浮力をできるだけ大きく維持することができれば、ボディポジションは高くなりやすくなります。
50mなどの短距離をノーブレスで泳ぐことのメリットは、息継ぎという無駄な動作を省くだけでなく、浮力を損失しないということもあります。
頭の使い方
水泳では、良くおでこで水を切るということが言われます。
それを言葉だけ飲み込んでしまうと、アゴが上がってしまいます。
おでこで水を切ることが大切なのではなく、結果的におでこで水を切るような状態(ボディポジション、頭の位置が高い)になることが大切です。
肺を上手く使うことができたとしましょう。
でも、頭の使い方が下手だと、ある程度ボディポジションが高くても頭は水没します。
よくあるエラーは2つ。
1.アゴが上がってる
2.猫背のような状態(顔がプールの底に向かって突き出ている)
上手な使い方というのは、正しい立ち姿勢と同じです。
どうしても水中でうつ伏せになるわけですから、重力に応じて頭は落ちる方向に動きます。
そうならないように、頭を持ち上げるのですが、この時にアゴを上げて持ち上げると、エラーとなります。
あくまでも、真っ直ぐ正しい姿勢で立っているときの状態を維持したいわけですから、
アゴを真後ろに引きます。
軽く二重アゴを作る感じ。
後頭部を空に押し付ける感じ。
その状態を保って泳いでいきます。
これはストロークで腕を回しているときも同じです。
呼吸動作の前後に多少上下動をする程度ならかまいませんが、、。
手のエントリー時に頭がつられて完全に水没しないように気を付けます。
無駄な上下動を生んで水の抵抗が大きくなります。
ストロークの動きにつられないよう、頭の使い方をキープします。
最後に
今回はクロールのボディポジションと頭の位置を高くするための対策について考えて行きました。ここに書かれていることが必ずしも正しいわけではなく、世の中にはたくさんのアプローチがあると思いますが、何かの参考になれば幸いです。