「競泳選手みたいに格好良いフォームで泳げるようになりたい」そう思われる方は多いと思います。あそこまで速くなろうと思わないけど、せめて見た目だけでもスイスイと泳ぎたいって方も!そういった競泳選手っぽい泳ぎと、そうでない泳ぎは何が違うのでしょうか?そこで必要な考え方が「無駄を削る」ということ。最短距離で腕を回したり。そういことです。
水泳を長く続けていれば、勝手に競泳選手っぽい洗練された泳ぎになるかと言えば、そうではありません。
ある程度理想像というか、要点を抑えてフォームの改善に取り組んで行かないとあんなふうになりません。
ちなみに、子どもは大人に比べて真似が上手です。
なので、競泳クラスのお兄さんお姉さんの泳ぎを見たり、テレビで競泳を見たりして、真似てなんとなくできちゃうってことはあります。
もちろんコーチによる指導を受けますが。
でも、今回はそういった例は置いといて、何が違うかもう少し踏み込んで考えていこうと思います。
競泳は無駄を削るスポーツ
皆さんは競泳で最もスピードが出る場面がどこかご存知ですか?
これ意外と知られていない。
水泳選手を見ていると、とんでもなく速く泳いでいるので、イメージとしては泳ぎの中盤くらいかと思われるかもしれません。
でも、実はその時は既に減速しているんです。
競泳で最もスピードが出るのは、「飛び込んだとき」です。
スタートの号砲に反応し、スタート台を蹴って空中へ。
この瞬間が一番速いんです。
あとはひたすら減速していきます。
陸上や競輪などは、トップスピードになるまでどんどん加速していきますが、水泳はスタートの瞬間がトップスピードです。
あとは水の抵抗を受けて減速していきます。(ターンで壁を蹴って少し盛り返しますが)
これが競泳というスポーツの特殊なところです。
「競泳は減速のスポーツ」だと言えます。
つまり、競泳選手がフォームを作っていくうえで、大切にする思考は2つです。
・減速を小さくするために推進力を大きくする
・減速を小さくするために無駄を削る
これ、覚えておいてくださいね。
これを踏まえて、、、、
泳ぎの無駄を削ろう
洗練された水泳選手っぽい泳ぎになるには、特に2つめ「無駄を削る」が大切なのかなと思います。
初心者っぽい泳ぎと競泳選手っぽいスイスイした泳ぎを分けるのはこれです。
推進力を大きくすることに関しては、もちろん技術も必要ですが、筋力やパワーなど他の要素も関わってきます。
しかも、「競泳選手っぽく」泳ぎたい人にとってはタイムってそこまで気にしていないはず。
なんとなく楽にスイスイいけたらという方も多い。
では「無駄を削る」とは何でしょうか。
どんな無駄を削るのでしょうか。
1つは直接的に水の抵抗を小さくすることですね。
けのび(ストリームライン)の練習を初心者から競泳選手まで、徹底してやらされます。
これは泳いでいる時に受ける無駄な水の抵抗を削るためです。
もう1つは動作の無駄を削り、水の抵抗を減らすことです。
今回のメインはこちらになります。
動作の無駄を削ろう
動作の無駄とは何でしょうか。
いくつか具体例を挙げながら説明していきますので、心当たりのある方は気を付けてみてくださいね。
①競泳選手の息継ぎはそんなに大きい?
競泳選手の息継ぎは、すごく小さく最小限の動きです。
クロールであれば、顔が半分ほど水面から出てていれば、呼吸ができます。
バタフライや平泳ぎでも、そんなに上に顔をあげなくても呼吸ができます。
息継ぎ動作が大きいと、その後顔を水中に戻した時に、反動で深く潜りすぎてしまいます。
これでは、上下動の大きな泳ぎになり、水の抵抗も受けてしまいます。
初心者感あふれる泳ぎのひとは、やっぱり息継ぎ動作が大きいです。
②腕を大きく回すのは良いけど
腕を大きく回そうとする意識は悪くないですが、無駄な回し方をしていませんか?
腕を大きく回すことで、遠くの水をキャッチすることができます。
ですが、やり方を間違えると、無駄を生みます。
特にリカバリー(腕を後ろから前に戻してくる)の時に、後ろ側へ大きく回してしまうと意味がありません。
むしろ沈みやすくなります。
腕を大きく回すなら、前を大きく。
遠くに手を入れる意識です。
後ろは小さく前は大きくです。
腕も無駄に大きく回すと、泳ぎの上下動を生みます。
③キックは細かく
バタ足、ドルフィンキック、平泳ぎのキックは幅の大きなキックになっていませんか?
キックは幅が大きいと、姿勢を乱したり、水の抵抗を大きくしたり、推進力を効率よく生まなかったりします。
大きく動かせばよいのではなく、小さく鋭く蹴るようなイメージを大切にしてください。
特にこの3つは大きな差となって表れているように思えます。
そして、これら3つの項目に共通していることは、「泳ぎで使う幅を最小限にすること」「上下動を減らすこと」です。
初心者っぽい泳ぎの人は必要以上に動かしすぎているのかもしれません。
もちろん「腕を遠くに伸ばす」など、最大限大きく動かないといけないシーンはありますが、そうではないシーンでの無駄が多いような気がします。
他にもいろいろありますが、まずこのあたりを踏まえて自分の泳ぎと競泳選手の泳ぎを見比べていただければなと思います。
バランスを取るのが難しくなる
水の抵抗があるからこそバランスを取るのも楽だと言えます。
特に体の前からかかる水の抵抗が、不安定な体を支えてくれます(スピード出ないけど)。
無駄な動きを削っていくと、無駄な水の抵抗を受けにくくなり、スイスイと進みます。
しかし、無駄の削れてきた泳ぎでは、自分の力でバランスを取る割合が増すので、体勢を保持するのが少し難しくなります。
競泳選手がいわゆる「体幹」をトレーニングするのも、こういった理由からです(他の理由ももちろんあり)。
自分で自分の姿勢をしっかり保てるように、トレーニングをするわけです。
競泳選手のようにトレーニングを積めと言っているわけではないので、誤解のないように。
競泳選手っぽく泳げるようになるために必要なこと、なんとなく分かりましたでしょうか?