新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が5月末に明け、各地のプールも6月から再開されてきています。プールが再開されて二週間と少し経ちますが、「なんだか泳ぎの調子が戻らない」「体がなまっている」といった感じを受けておられる方もいらっしゃると思います。前回は初心者~中級者の方向けに書きました。今回は競泳をされている水泳上級者向けにその対処法をご紹介したいと思います。
まずは基礎の確認をしてみる
これは初心者~中級者編でも書きましたが、基礎の確認をしてみることをおすすめします。
泳いでみてなんだか調子が悪いとき、明確にその原因を特定できる時と分からないときがあります。
定期的に泳いでいるときであれば、それも感じやすいですが、ここまで長期間泳げないとなると細かい感覚が鈍くなっています。
そこで、ストリームラインや様々な姿勢でのキック、スカーリングといった基礎動作から確認してみます。
動きをシンプルに分解することで、1つ1つに感覚を集中させやすく、自分の不調な部分に気が付きやすいです。
いったい何が不調なのか、自粛前と違うのかを明確にしていかないと「とりあえず泳ぎまくれば戻るだろう」で膨大な時間を使うことになります。
上級者の皆さんはマイナスをゼロにする時間より、ゼロをプラスにする時間を多くとりたいはずですよね。
基礎動作に問題が無い場合、「基礎は大丈夫だ」ということに気が付けるだけでも収穫です。
キックがダメなのか、プルがダメなのか、コンビネーションがダメなのか。
フォーム的に何か抜けているところがあるのか。
問題がどんどん絞れて行きます。
短い距離のダッシュをしていますか?
「短い距離のダッシュ」
これこそが上級者と初心・中級者の最も大きな違いです。
緊急事態宣言中、高い速度で泳ぐ練習をしていないですよね。
いくら家で筋トレやストレッチをしていても、泳ぐということに関しては体はなまっています。
これはなぜだか調子が上がらない大きな原因になり得ます。
競技として取り組む場合には、速さが求められます。
スプリンターはもちろん、中長距離の選手でも、自分が出せる最大の泳速度を高くしていかないとタイムの上限がある程度決まってしまいます。
競技をする限り、泳速度を高める努力からは逃げられません。
そして、泳速度を高くするために必要な要素の1つとして、「体を速く動かすこと」が挙げられます。
つまり「水中で体を速く動かす」ためには、「水中で体を速く動かす努力」をしないといけません。
緊急事態宣言で泳げない間、家で筋トレをしたりストレッチをしたりといった陸でのコンディショニングは可能でしたが、「水中で体を速く動かす」ということはほとんどの方ができませんでしたよね。
すると体は以前のような速度で、以前のような質で動けなくなっていきます。
これは仕方のないことです。
話題になった家庭用のプールを買った方もいらっしゃいますが、ほとんどの人は買えません。
嘆いても仕方ないので、これから調子を取り戻していきましょう。
そのために必要なことが「短い距離のダッシュ練習」です。
12.5m、25m、50mなどの短い距離のダッシュ練習に少しずつ取り組んでみてください。
少しずつと言っているのは、突然やると危ないからです。
2か月近く泳いでいないのにいきなりダッシュをたくさんすると、体への負担が大きいです。
ケガをしたり倒れたりするかもしれません。
少しずつ、短い距離のダッシュで最高速度を取り戻していって下さい。
進む感覚、体が速く動く機能、体のキレを取り戻していきましょう。
フォーム的に問題が無いのに、なぜだか調子が上がらない理由としてこういったことが考えられます。
代替大会、健闘を祈ります
いかがでしょうか?
少しでも復調のヒントになれば幸いです。
高体連は地域によって代替大会の開催が決定していますね。
他はどうなるんだろう。
調子が戻り切るかはわかりませんが、選手たちにはできるだけのことをやって悔いのない大会にしてもらいたいです。