皆さんはバタ足キックをどんな風に教わりましたか?こんなことを言われませんでしたか?「膝を曲げないように」。これって、正しいようで正しくない、少し言葉足らずな感じがします。確かに、過度に膝が曲がったバタ足は水の抵抗を大きくしてしまいますが、曲げないでキックを打つことはできません。
今回は序盤に初心者へのアプローチ、後半に上級者へのアプローチを自分なりに考えて行きたいと思います。
まず初心者にどう教えるか
バタ足に関わらず、キックは単純に見えて実は複雑な動作だと思います。
膝を曲げる、曲げないといった二極化された議論では語ることはできません。
教える側の人も、バタ足に関しての理想は
「股関節から動いて、膝、足先まで連動してしなるようにけること」
「そしてそれが左右の足でテンポよく、力みなく続いていくこと」
こんな感じだと思います。
「膝を曲げない」と指示してしまうと、股関節しか使えずカクカクした印象のバタ足になってしまいます。
加えて、「膝を曲げない」と強く意識することは力みも生んでしまい、下半身の連動を悪くしてしまうと思います。
自分ならどうするかなぁと考えた時、直接的に膝への指示は出さないかなと思いました。
伝える内容としては
・股関節から動かすこと
・細長い脚をイメージしてキックをする
・近くではなく遠くの水を細かくキック
・強くではなく、柔らかく水の中でフワフワ動かす
少し抽象的な表現が多い気がしますが、そもそも体の連動という複雑なものを言語化しようとすると頭がパニックになります。
特に初心者のお子様を相手にする時に、具体的に言い過ぎると連動の喪失や力みに繋がると思います。
「細長い脚」のイメージを持てば、力むことなく膝の曲がり過ぎを防ぎ、かつ股関節と連動したままキックを打とうとできます。
強くキックを打とうとすると、ついつい膝が曲がりがちですが、「柔らかくフワフワ」というイメージを持てば膝も軽くしか曲がりません。
あくまでも僕の考え方ですが、何か参考になれば幸いです。
上級者へのアプローチ
競泳をしている人や、水泳歴が長い上級者には、さらに高度なことを求めます。
もちろん目指すは推進力が高くて水の抵抗が少ないキックです。
これを目指すにあたって、まず最初に持つべきイメージがあります。
それは、「体の幅からキックの泡が逸脱しすぎない」ということです。
あくまでもイメージなのですが、バタ足で発生する泡が上下に大きく広がり過ぎていると抵抗の大きなキックになっている可能性と、推進力が真っ直ぐに伝わっていない可能性が考えられます。
初心者にも細かいキックは意識してもらいますが、上級者にはさらに厳格に意識してもらいたいです。
お尻とお腹に常に意識が有り、骨盤がフラットから後傾であること。
お尻は軽く締める、お腹は引き上げる。
そうすることで細かくキックが打てる土台が整います。
その状態で、ちょこまかと細かいキックをたくさん打ちます。
膝を曲げないというよりは、膝を動かす範囲を極力小さくするといった意識でキックを打ちます。
膝を動かす範囲を狭くできれば、ストリームラインに近い状態でのキックになりますし(抵抗が少ない)、水を蹴りこむ方向も一点に集中しやすくなります(推進力が大きい)。
このお尻とお腹の意識が抜けて来たり、バテてくると膝の位置が下がってきてしまいます。
膝の位置が下がってくると、細かいキックは打てるかもしれませんが体が沈んで水の抵抗を受けやすくなります。
これに関してはキックの打ち方と言うより、お尻、お腹の強さの問題になってくるので、ドライランドトレーニングや泳ぎこみで強くなってもらうしかありません(笑)
最後に
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で、多くのスイマーが2~3ヶ月泳げなかったと思います。
6月になって久しぶりに泳ぎ始めて、感覚がいまいちな人もいるかと思いますが、焦らずじっくり頑張って下さい。
キックもキレやタイミングが以前とは違うと感じることもあるかと思いますが、またこれから少しずつ戻ってくるはずです。
今回ばかりは、「泳げなかったから仕方ない」と言ってしまってもかまわないと思います。
もちろん、これからしっかり泳ぐというポジティブな条件付きで!
以上です。