漫画から学ぶことはたくさんあります。それは時に教科書以上の人生観を授けてくれたり、専門的なことを視覚的に分かりやすく楽しく教えてくれたりします。僕は最近「ハイキュー!!」というバレーボールの漫画にドはまりしています。ネタバレになるので詳しく書けませんが、この漫画はすごいですよ。そこで出てきた「タスクフォーカス」=自分の力でどうにかなる、目の前の1つ1つのことに集中すること。これってすごく良いことです。
さすがに現実ではありえないだろうってプレーはありますが、それは置いといて、、、。
そんなことよりも、メンタル面での学びが非常に大きい。
スポーツや仕事、一人の人間として必要なメンタルの対処法を学べます。
作者さんも本当によく勉強されているんだなと思います。
漫画のストーリーを通して分かりやすく具体的に学ぶことができるので、正直心理学の教科書より頭に残る。
というわけで、今回は「ハイキュー!!」の話の中で出てきた「タスクフォーカス」という心理学的なお話をしたいと思います。
試合や仕事の大切なシーンで緊張する人、失敗してしまう人にためになる話です。
自分の力が及ぶ範囲で
ストーリーのネタバレにならないようざっくりと書きます。
それでもネタバレが怖い人はここで引き返してくださいね!
ハイキュー!!の主人公である日向翔陽(高1)とは別チームに赤葦(あかあし:高2)という選手が出てきます。
赤葦はセッターというポジションの選手で、スパイカーにトスを上げるのが主な仕事です。
普段は頭もキレて冷静な選手です。
しかし、どうしても負けられない試合で本来の力を発揮できなくなります。
プレッシャー、相手チームの戦略、自分の不調など様々なことが重なってしまい、余計な考えに頭が支配されてしまいます。
でも、その根底には2つのメンタル面でのミスがありました。
①「どうしても負けられない試合」だと強く思い込むことで、自分で自分の首を絞めていたこと。
②セッターというポジションであるがゆえに、自分以外の選手や試合の流れなど、本来は「自分の力だけではどうにもならないこと」までコントロールしようとしてしまっていたこと。
途中交代させられた赤葦は仲間の助言もあって、自分がこういった状況になっていることに気が付きます。
練習試合でも本選の予選でも決勝でも、負けて良い試合なんて無かったということ。
やるべきことは目の前の1つ1つのプレー。
自分のコントロールが及ばないもの(他者の行動や試合の勝敗)をどうにかしようとしても仕方ないということ。
自分ができるのは、普段通りにトスを上げること。
たしかそんな感じです。
そして赤葦は本来の自分を取り戻してコートへ戻っていきます。
タスクフォーカス
自分の力でどうにかなる、目の前の1つ1つのことに集中すること。
これをタスクフォーカスと言います。
漫画の中でもこの言葉が出てきます。
セッターの赤葦であれば、毎回コートの状況を判断して、最適なトスをスパイカーに上げること、相手のレシーブを1本拾うこと。
それだけに集中することです。
自分がトスを上げるところまでは自分の力でコントロールできますが、スパイカーが上手に打てるか、得点が入るかは自分だけの力ではどうしようもありません。
彼がすることは「良いトスを上げる」という自分のタスクを完了させるのみです。
試合の勝敗も自分だけの力ではコントロールできません。
自分が最高のプレーをしても、味方が不調だったり、相手が絶好調だったりします。
でも、自分がすべきことがそれでブレるわけではないですよね。
目の前の1本のレシーブやトスに集中するのみです。
皆さんはどうでしょうか?
試合の本番で自分の力ではどうしようもないことに注意を向けていませんか?
次章から2つの具体的なシーンを想像して考えてみます。
1.個人スポーツでは?水泳を想定
個人スポーツである水泳はどうでしょうか。
招集場所にいるとき、スタート台に立ったとき、どんなことを考えていますか?
負けたらどうしよう、隣の選手は速そうだな、あの格下の選手に負けたら格好悪いなぁ、ベストタイム出なかったらどうしよう、みんな見ている。
そういった思考で頭がいっぱいになっていませんか?
こういった思考は全て自分の力だけではコントロールできないことです。
勝敗や最終的なタイムは自分でコントロールできません。
もちろん負けたくないという気持ちは大切です。
しかし、自分が最高の泳ぎをしても、相手がもっと速く泳ぐかもしれない。
こればかりは蓋を開けてみないと分かりません。
だからこそ、今できること、すべきことに目を向けます。
結局はそれをすることが自分の最高の泳ぎに繋がります。
それで負けたら仕方ない。
余計な思考に支配されると、今できること、すべきことがおろそかになって最高の泳ぎができる確率は下がります。
タイムというのも自分の力だけでコントロールできない側面があります。
もちろん技術と体力を磨いて、全力で泳ぐことでタイムが縮まる可能性が高まります。
しかしながら、それをしたからと言って絶対にベストタイムが出るわけではありません。
もしそれができたら毎回100分の1秒までタイムを当てられる。
すべきことは、目の前の1ストローク、1キックに集中することです。
その積み重ねがどうなるかは泳ぎ終わってからのお楽しみです。
スタート台に立ったとき、これからすべきは何ですか。
良い飛び込みをすることです。
飛び込んだら、いつも通りの回数の水中キックで浮き上がることです。
2.仕事や学校のプレゼン、面接試験で
仕事や学校のプレゼン、面接試験で人前に立つと、この時も自分を見失いがちですよね。
会場の人から一斉に向けられる視線ほど人を緊張させるものはないでしょうね(笑)
ですが、こんな時こそタスクフォーカス。
今自分がすべきことは何でしょうか。
他人にどう思われるかを気にすることでしょうか?
面接の結果を気にすることでしょうか?
いずれも他者が決めること。
自分だけの力ではどうにもなりません。
練習で考えた通りに話すことに集中するのみです。
それ以外にやることはありません。
会場を見れば、つまんなさそうに聞いている人、バカにしたような顔で見ている人、怖い顔で見ている人、いろいろいます。
でも、その人達がどう思おうと焦ることも気にすることもありません。
自分がやるべきことは練習通り話すことです。
それで受け入れてもらえない場合は仕方ない。
実力不足だったら次にまた頑張る。
今回がラストチャンスであっても、練習していないことはできないわけですから、持っている能力を最大限出すことに集中する。
話す内容、スピード、声の大きさ、抑揚、プレゼンのスライドのタイミング、自分の視線、間、笑顔など
自分でコントロールできることに集中です。
以上でございます。