泳ぎの協調指数を上げよう!そのためには?

皆さんは泳ぎの中で大切な概念である協調指数についてご存知でしょうか?今回は協調指数とは何ぞやという解説と、協調指数を上げるために必要なことを解説していけたらなと思います。簡単に言うと、協調指数とは左右の手のストローク時の位置関係です。

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*この記事は結果や上達を保証するものではありません。

皆さんが試行錯誤されるときの参考の1つとして読んでいただけると幸いです。

 

泳ぎの協調指数とは

泳ぎの協調指数は主にクロールの泳ぎで使われる概念です。

ですが、これを理解していると他の泳法の泳ぎ方を考える際にも役立ちます。

 

簡単に言うと、協調指数は左右の手のストローク時の位置関係です。

 

普段の自分のクロールを想像してみてください。

もしくはシャドースイムをしながら考えてみてください。

 

★右手が前でエントリーしてこれから水をかいていこうとする時、あなたの左手はどこにありますか?

①もうリカバリーを始めている

②最後のプッシュが終わったくらい

③まだ最後のプッシュをせず、水をかききっていない

 

効率よくスピードを出して泳いでいくという観点だけで考えれば①~③のうちどれが最も良いかご存知でしょうか。

ちなみに①は協調指数がマイナス、②がプラマイゼロ、③がプラスと評価されます。

さあ、どれでしょう。

加速減速をはっきりさせない

答えは③が最も前に進んでいくためには効率が良いとされています。

つまり協調指数はプラスの方が良い。

③は左手がまだか水をかき終わっていない段階で右手がエントリーして水をかこうとしています。

水をかくこと(キャッチ、プル、プッシュ)で推進力が生まれます。

逆にリカバリー時は推進力を生みません。

③は右手と左手の推進力を生む場面が重なる泳ぎになります。

右手は最初のキャッチ、左手は最後のプッシュ。

丁度こんな感じの泳ぎです。

モデルは僕です。

写真では左手がエントリーして水をキャッチ、右手はプッシュで最後の一押しをしている途中です。

 

右手と左手の推進力を生むシーンが重なり、協調指数がプラスになることで泳ぎの中での加速と減速の場面がはっきりしなくなります。

するとスムーズに進んでいくことができます。

加速と減速がはっきりしているということは、進んで止まってを繰り返しているのと似ています。

キャッチアップクロールの使いどころ

①の右手がエントリーした時に左手は既にリカバリーを始めているという泳ぎ。

この泳ぎは協調指数がマイナスです。

加速と減速、推進力を生む場面と生まない場面がはっきりした泳ぎになります。

これをもっと極端にした泳ぎがキャッチアップクロールです。

キャッチアップクロールは左右の手が前で揃う直前でストロークを始める泳ぎです。

リカバリーで戻ってきた左手と、前に伸ばしている右手がタッチする直前で右手をかきはじめるような泳ぎです。

水泳教室で最初に習う泳ぎも究極のキャッチアップクロールです。

前で左右の手をパチンとそろえる泳ぎですね。

 

キャッチアップクロールが悪いというものではありません。

自分の泳ぎの特徴や種目によって使い分けることが大切になります。

 

協調指数をプラスに持ってこようとすると、片方の手が水をかき終わるまでに反対の手をリカバリーしてきてエントリーさせる必要があります。

もちろん水をかく動き(キャッチ、プル、プッシュ)は速いほど推進力を生みますから、それにおいていかれないように反対の手をリカバリーしてこないといけません。

(水をかく動きをゆっくりにすれば協調指数は上がりますが、推進力は下がるので本末転倒)

ですから、協調指数プラスの泳ぎは体力の消耗が激しい泳ぎでもあります。

どちらかと言うとスプリンターの泳ぎに近くなります。

 

50mなどのスプリントであれば体力を使いきる前にゴールできる、もしくは何とか耐えることができます。

スプリントは持久力的な問題よりもスピードを出すことがまず最優先なので協調指数をプラスにする努力が実を結びやすいです。

 

一方、200mやそれ以上のロング種目で協調指数をプラスにする泳ぎは持久力的な問題と相談になります。

推進力を生む場面と生まない場面をはっきりさせて体力の消耗を抑えた方が良いかもしれません。

推進力を生まない場面の代表例がグライド(伸びているとき)ですが、この姿勢が綺麗であれば減速を最小限に抑えることができます。

また、推進力を生む場面(水をかく、キックをうつ)でしっかり推進力が生めていれば、泳ぎ全体はよく進みます。

キャッチアップクロール(ないし協調指数マイナス)は体力の消耗の面から考えると合理的な泳ぎかもしれません。

綺麗な姿勢で、ひとかきひとかきをしっかり行い、体力を消耗しすぎないようにして水に乗っていく。

 

どちらの泳ぎが良いかはあなた次第です。

他の泳ぎにも当てはめてみよう

クロールと同様に片手を非対称的に動かす背泳ぎには協調指数の概念を当てはめやすいですね。

最後に水を押し切る前に反対の手を戻してくるイメージ。

 

では平泳ぎとバタフライはどうでしょうか。

両手同時なので協調指数を当てはめることはできません。

でも、加速と減速をはっきりさせない、推進力を生むシーンと生まないシーンをはっきりさせないという根本的なことは役立ちます。

つまり、

①さっさとリカバリーしようよ

②手を前に入れたらすぐに水をかき始めようよ

ということです。

 

そしてバタフライや平泳ぎも距離に応じて協調指数をプラスにするかマイナスにするか考える必要があります。

協調指数をプラスにしたバタフライは自ずとピッチが上がります。

スピードは出ますが、体力消費が激しいです。

その速いピッチで200mバタフライを泳ぐというのはどうでしょうか?

僕は無理です(笑)

そもそも200バタフライを泳ぎたくありません(笑)

 

体力的に厳しいのであれば磨くべき技術は他のところにありますね。

 

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<参考文献>スイミングサイエンス G.ジョン・マレン  訳:黒輪篤嗣 河出書房新社 2018

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