「もっと水面の高い位置で泳ぎなさい」「沈まず水面付近で泳ぎなさい」とよく言われます。そうした方が良いことはみんな十分にわかっているのですが、その方法がわからなくて困るんですよね。練習方法としては、慢心せずに姿勢を磨くこと、そしてビート板無しのキック練習をすることです。
「もっと水面の高い位置で泳ぎなさい」「沈まず水面付近で泳ぎなさい」、要するにボディポジションを高く、フラットな姿勢で泳ぎなさいということだろうと思いますが、指示が曖昧ですよね。
今回は具体的にどうすればできるようになるのかを解説していきたいと思います。
*今回の内容が必ずしも結果を保証するものではありません。
試行錯誤されるヒントになれば幸いです。
姿勢の作り方を見直す
水面付近、水面の高い位置で泳ぐには姿勢が真っ直ぐな必要があります。
ブログやインスタ、レッスンでは何度も「お尻の穴」「首」と繰り返しお伝えしていますが、泳ぐ姿勢を作るにはまずその2か所をしっかり安定させる必要があります。
お尻の穴を締めることで仙骨を立て、骨盤を締めます(中間からやや後傾)。
(お腹の引き込みが連動できるとなおベスト)
首の後ろを安定させることで頭の動きを抑えます。
上と下の2点から背骨全体を引っ張り、安定させてあげることで背中がまっすぐになります。
クロール、背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎ、それぞれの泳ぎの中で全身の動きがあります。
もちろんギュッと固めてしまうと動きを阻害してしまいます。
なので”固定”ではなく”安定”という言い方をしています。
力まないけれど、グラグラと動かない、常に意識がある、動きの中でも安定があるといった感覚です。
この2点がしっかり定まっていないとストロークや呼吸の度に上下動が生まれてしまったり、キックが弱くなってくると下半身が大きく沈む原因となり、「水面付近、高い位置で泳ぐこと」ができなくなります。
どうしても手を水にエントリーさせた時は下に頭も突っ込みやすくなりますが、そこは首の後ろを安定させて下へいかないようグッと抑えます。
息継ぎをする時は上に頭が動きそうになりますが、その時も頭の位置が変わらないよう首の後ろを安定させて抑えます。
ただし、頭の位置を高くしよう低くしようとするとアゴが上がったり引きすぎたりしてしまうので、あくまでも首の後ろを基準に安定させます。
上下動を抑えること、特に手を前に入れた時の沈みを抑えることは高い位置で泳ぐために重要になります。
お尻を締め、可能ならばお腹を引き上げることで骨盤が前傾しすぎないようコントロールします。
骨盤が大きき前傾すると、股関節は動かしやすいかもしれませんがキックがバテてきた途端に姿勢の維持が困難になります。
骨盤が安定していてもキックがバテてくると、どうしても姿勢は変化してきます。
しかし前者と後者ではその程度が違います。
姿勢についてはブログでもう少し詳しく何度か書いているので、また探してみてください。
気を付けキックとグライドキックの練習
姿勢の練習に効果的なのは気を付けキックとグライドキックです。
最低限体を浮かせて進む程度のバタ足で良いので、首、お尻、お腹をしっかり安定させて行います。
・どの程度の締め具合なら動きを邪魔しないかを感じながら泳ぐ
・背中は平らになっているか、水面にポコッと出ているか感じながら泳ぐ
・自分は高い位置で浮いているのか、それとも沈んでいるのかを感じながら泳ぐ
・普段より沈んでいるのであれば、どこの調子が悪いか感じながら泳ぐ
最初は気を付けキックで良いです。
気を付けキックで今回お伝えしている2点を意識し、感じながら泳ぎます。
気を付けキックで慣れてきたらストリームラインを作ってグライドキック(板無しキック)ををします。
グライドキックの注意点としては、腕を組む位置です。
肩関節が柔らかい人や、小顔の人は後頭部まで腕の中にしまい込めてしまいます。
それではアゴを真後ろに引いて首を安定させることが難しくなりがちなので要注意です。
動きを阻害しないのであれば構いません。
頭を挟む腕の位置は個人差があります。
耳の横を腕で挟むくらい、人によっては耳より下を挟んで腕がやや斜め下に向くくらいの方が安定させやすいかもしれません。
グライドキックで意識付けができるようになってきたら水面でのドルフィンキックや平泳ぎのキックをしていきます。
背泳ぎの場合は背面気を付けキックから始めても良いかもしれません。
ドルフィンキックや平泳ぎキックではバタ足よりも骨盤が動きます。
それは構わないのですが、お尻の穴には常に意識だけはおいてください。
首の後ろは安定です。
水をしっかりつかむ・抑える
ボディポジションを高くし、「水面の高い位置で泳ぐ」ためには姿勢の作り方が何より大切ですが、それだけではありません。
最後に付け足しとしてストロークにも少し言及しておきます。
一言です。
水をしっかりつかんで抑えること、かくことができていれば体が高い位置に保たれやすくなります。
要するにスカーリングです。
ストローク動作で進む力を生むのは揚力と抗力です。
特に揚力は上下の水の流れの違いで物体を浮かせる力を生むものです。
飛行機の羽はこれを利用しています。
抗力は単純に水を押すことで生まれる力と解釈してもらえると分かりやすいです。
水をしっかりつかむこと、前で抑えること、体の下で押すことができていれば水の力を借りて今より少し高い位置で泳げるようになります。
スカーリングも姿勢も、アドバイスはできますが微妙な力加減やタイミングなどはある程度個人の感覚に依存します。
自分で繰り返し(くどいくらい)練習する中「これだ!」という瞬間がいつか来ますので、やりこんでください。
スポーツもゲームと同じです。
攻略本やお手本はありますが、自分ができるようになるまではやり込み要素も大切です。
ストロークについてはまたの機会に!