水泳の初心者の方がクロールを泳げるようになりたい場合に徹底して取り組むべきことを今回は紹介します。特にこれだけはしっかり練習しておいて欲しいという項目を3つに絞って紹介します。初心者の方にとっては結構意外なことかもしれません。
一番は指導者に教えてもらうことですが、何とか自力でという方の参考になればと思います。
水泳の基本構造とクロール習得のために徹底して欲しい3つのこと
水泳の基本的な構造はこんな感じです(勝手に独自に分類しました)。
基本という土台があって、その上に4泳法、それができたらもっと速く泳ぐとかスイスイ泳ぐという競技の段階になります。
だいたいどこのスイミングスクールでも、最初は「基本」に書いてあるような項目を練習します。
クロールができないからと言って、いきなり腕を回したり息継ぎをやろうとしても、土台が脆弱なのでなかなか上手に行きません。
でも、ネットで検索しているあなたはさっさとクロールができるようになりたいのだと思うので「基本」の中でこれだけはという3つをピックアップします。
①呼吸法
②浮かぶこと
③力まないバタ足
まずはこの3つが簡単にできるように徹底して練習してください。
実はそれが近道です。
次章から1つずつ詳しく解説します。
水泳の特別な呼吸法
水泳では特殊な呼吸法をします。
それは「鼻から空気を吐ききって、口から一気に吸いこむ呼吸」です。
これができるようにならないと、泳いでいる時に空気が吸えず、苦しくて長続きしません。
練習方法は簡単です。
最初は水に顔を入れた状態から、鼻からブクブクと息を吐きます。
3秒くらいブクブクしたら水から顔を上げて口から息を吸います。
この時に2つポイントがあります。
①ブクブクは顔が水から完全に出るまで続け、この時に完全に吐ききる。
(水中で9割、顔が出てから1割吐き出すイメージ)
②初心の場合は「パっ」と口で言いながら吸う。
しっかり息が吐ききれていたら、勝手に口から空気が入ってきます。
その場でできるようになったら、水の中でジャンプをしながらできるように練習します。
頭まで全身潜って、プールの底を蹴ってブクブク吐きながら浮上していく→顔が出ると同時に「パっ」。
最後に、クロールの時を想定して
プールに立って、両手は前にのばして、その間に顔面を水に付けた状態でブクブク→パっで顔を横に回して練習をします。
呼吸法は無意識でもできるように練習して下さい。
浮かぶこと
次は浮かぶことです。
まずある程度浮かぶことができないと、手足を動かしたときに確実に沈んで練習になりません。
また、本来であれば脱力していればある程度浮かぶことができます(途中で足から緩やかに沈みますが)。
泳いでいる時に無駄な力が入っていると沈みます。
それを無くすためにも浮かぶ練習をします。
浮かぶ練習は様々です。
①ダルマ浮き:膝を抱えて体を丸くして浮かびます。力は入れず、ただ抱えるだけ。
少しすると背中がポコッと水面に出てこればOK。その状態で脱力してしばらくキープ。
②ダルマ浮きから手足を伸ばす:ダルマ浮きの状態から、少しづつ手足をだらりと離してみてください。
ゆるやかなだいのじになると思うので、そのまま脱力。
大きいバランスボールを抱っこしているくらいの状態です。
③伏し浮き:立った状態から、前のめりに倒れ、手を頭の上に伸ばして伏し浮きをします。
アゴが上がらないように(ただし引きすぎない)、視線は真下です。
体を真っ直ぐに伸ばしますが、ピーーーンとする意識が強いと力んで沈んだり、背中が反ってしまいます。
あくまでも優しく伸ばす意識です。
余裕ができたら両手を重ねて、腕の間に頭を挟んでけのびの姿勢でやってみてください。
④背浮き:後ろ向きに歩く勢い、後ろ向きに倒れこむ勢いを利用して背浮きを練習します。
背浮きでは恐怖心から、体が丸まりがちですので、お腹側を開くイメージで姿勢を真っ直ぐに持ってきてください。
こちらも最初は手足を広げてもらって構いません。
背浮きでは胸の後ろ側(肩甲骨の辺り)にもたれかかる意識を持って下さい。
浮こうと思って顔を上げよう上げようとすると体が丸まって沈みます。
最終的にはけのびの形を取れるようになると良いと思います。
伏し浮き、背浮きでどうしても沈む場合は手足を優しく動かしてみてください。
手はひらひらと動かします。足はちゃんとしたバタ足でなくていいので、優しくフワフワ動かします。
脱力してにできるようになったら、伏し浮きでも胸のあたりにもたれる意識でやってみてください。
力まないバタ足①
気を付けの背浮き、または気を付けの伏し浮きの状態で余計な力を入れず、まずは足を上下にフワフワと動かして水を蹴ってみてください。
イメージは「脚全体で細長く」「付け根から末端へ力を伝える」感じです。
自転車をこぐような回転動作にはならないように注意です。
背浮きの場合は膝を、伏し浮きの場合はつま先を水面の高い位置に持っていくような意識でキックをします。
キックの時も脱力と胸を沈める意識を持ちます。
とりあえず最初は伏し浮き姿勢と背浮き姿勢で、息が苦しくなったら立ってもらっていいので練習します。
ゆっくり進む程度で良いので、余計な力を使わずにある程度できるようになったらけのびの状態で練習をしてください。
力まないバタ足②
最後にやっておいて欲しい練習があります。
それは体を入れ替えながらキックをすることです。
気を付けの背浮きキックから、体を横に向けてキックをします。
顔は水面に出たまま、首から下だけを真横に向けます。
キックはうち続けます。
最初は体が沈むと思いますが、その場合は、もっと胸に体を乗せていきます。
横向きなので肩の辺りに体を預けていく意識です。
横向きキックまで出来たら、横向きから下向きの伏し浮きキックになります。
伏し浮きキックからブクブク→パっの要領で息継ぎをしながら背面キックに戻ります。
背浮き→横向き→伏し浮き→背浮き
このルーティンを右回り、左回りで繰り返し練習して下さい。
それもできたら、残りの2パターンも練習してください。
・背浮き→横向き→伏し浮き→横向き→背浮き
・伏し浮き→横向き→伏し浮き
ここまでの内容を余計な力が体に入らず、楽にできるようになれば、クロールはもうすぐです。
手のかき方や息継ぎなどの練習にスムーズに入っていくことができます。
まとめ:焦らない
クロールに限らず、どの泳ぎを練習するときも焦らないことが大切だと思います。水泳での焦らないには2つの意味があると思っています。①早くできるようになることだけに重きを置いて、基本をおろそかにしすぎない。②水の中では焦ると余計に沈む、進まない。焦らず落ち着こう。