25m泳げるようになりたい!とのことで当教室にも毎年たくさんの子どもたちが習いにきてくださいます。個別指導で1人1人とゆっくり向き合っていく中で、25mを泳げるようになるための第一関門が「恐怖心の克服」です。ここさえ突破できれば、加速度的に子どもたちは成長していけます。保護者で実践できる部分もあるので、この記事が何か参考になればと思います。
目次
保護者が焦っているうちは泳げない
時代のスピードがぐんぐん速くなり、何でも短期間で「できるように」「成果が出るように」求めていく風潮が自分が子どもの時よりも強くなっている印象がある。情報化、テクノロジーの発展に伴う時代の複雑化、様々な理由があるのは理解できる。
でも、そんなに本来焦らなくていいし、焦らずじっくりやっていくことが大切な物事もある。
水泳もそうだと思う。
「子どもに早く泳げるようになってほしい」
気持ちはわかる。
特にうちは個別指導だから、
「何回で泳げるようになりますか?!」
「体育の授業で水泳が始まったので、終わるまでに25mクロール泳げるようにしてほしい」
そういったお声も多い。
正直、運動能力の差や性格、本人がどれだけ泳げるようになりたいと思っているかの差(保護者に強制連行されてくる場合もよくある)があるし、1度見てみないと何も言えない。
そして、大人もそうだと思うが、急拵えで時間をかけずに「(それっぽく)できるようになったこと」は身についていないからすぐ忘れる。
話を今回のメインテーマである「恐怖心」に戻すと。。
保護者や我々大人の余裕のなさは、恐怖心を増幅させます。
水への恐怖心は、ゆっくり無くしていけばいい。
でも焦る大人からのプレッシャーはそれを増幅させる。
え?バレてないって?
いいえ、バレてるバレてる。
バレバレやから(笑)
恐怖心があるうちは泳ぎの練習なんて何やってもダメ
水への恐怖心があるうちは、何やってもダメです。
手足はこうやって動かすんだ!
こうやって息継ぎするんだ!
こうやって浮かぶんだ!
無理です。
だって怖いもん。何かを練習するとかどうとかではなくて、
その場で生きるだけで必死!状態
とくに水中はそう。
泳げない子どもたちにとっては、足の着くプールであっても相当浅くない限りは
「息ができないかもしれない」
「(目が開けれないので)真っ暗になるかもしれない」
「溺れるかもしれない」
そんな恐怖心が付きまといます。
実際に指導していてもそうで、ゴーグルしてるのにゴーグルしていることを忘れているかの如く、きつく目を閉じていることもあります。
足が着く深さなのに尋常ではない力でこちらにしがみついてくることもあります。
そんなもんなんです。
この状態で練習なんてねえ、、、。
なぜ水の中が怖いのか?
大人からすると、たかだか顔をつけるだけ、足の着くプールで少ししゃがんで潜るだけ。
なぜ水の中が怖いのでしょうか?
本能的なところが大きいかと思います。
水の中は普段生活している陸と違って
✅息が吸えない
✅動きがゆっくりになる
✅重力が無いみたいな感覚になって浮く
✅目を開けてもぼやける
✅体が横向きになったり上向になったりする
✅ゴボゴボとした音しか聞こえない
などなど、陸で生活する僕たち人間にとっては異空間。
本来その空間で生きていく生き物では無いので、本能的に恐怖を感じても当然です。
どこのスイミングスクールでも通い始めのクラスでは「水慣れ」に時間をかけます。
「水慣れ」というと大層なことに聞こえますが、
やっていることは「いろんな遊びを水中でしよう!」なんです。
もちろんただ遊んでいるだけではなくて、必要な要素を考えて盛り込まれています。
そうしていくうちに、恐怖心が取れていく仕組みです。
水中で恐怖心があると見事に浮かない
水中で恐怖心があると、見事に体が浮かないです。
大人でカナヅチの人たちも、体がガチガチに力んでいて沈みます。
子どもほど表情には出ないので気付きにくいですが、水への恐怖を取りきれないまま大人になったんだなというのがすぐわかります。
体を力ませてしまうのも、本能的なことなんだと思います。
力んでいると
体が浮くための重心も取りにくいし、大きく息が吸えないので浮かびません。
(人間は肺で吸った空気を浮力にしている部分も大きいので)
泳ぐにはまずは体が浮いていないといけません。
もちろん浮かぶ練習もありますが、そもそも恐怖心があるとそれどころではないですよね。
水中で恐怖心があると基本の練習が難しい
浮かぶのみならず、水泳には独特の呼吸方法や、水を手足で捉えて推進力に変えていく基本の練習が必要です。
ここはじっくりやってあげないといけません。
恐怖心をとってからも、、、。
ですので、思っている以上にちゃんと泳げるようになるには工程が必要。
恐怖心があるうちはスキルの向上なんて、、、。
それもあって、うちはどんどんできる子はどんどん進むけど、まだまだ怖いって子にはゆっくりと恐怖心が取れるまでゆっくり向き合うようにしています。
深めのプールで恐怖心を取り除くには一緒に遊ぶことが1番早い
では恐怖心を取り除くための特殊な訓練みたいなのはあるのでしょうか?!
いえ、遊ぶのが1番早いです(笑)
無理はさせなくていいですが、どんどんプールに行ってほしい。
まだ顔をつけられなくても構いません、そのうちできるようになります。
もちろん、我々プロに任せていただいた方が早いとこ顔をつけれるようになったりはすると思います。
それはきっと接し方や遊び方のレパートリーを多く知っているから。
遊んでいる時の純粋にポジティブな気持ちで何度も水中という異空間に足を運んで見ることが1番の練習だと思うんです。
大人も楽しそうに潜ったり、泳いだりしていれば真似したくなる子は多いです。
プールに行っていろんな親子を見ていても
「練習だ!!」って雰囲気が強い保護者と子どもほど苦戦しているイメージが強いです。。。
恐怖心が取れると、プールで練習できることが一気に増える!
恐怖心が取れさえすれば、水中で一気にいろんなことにトライができます。
恐怖心がある子たちが浮かんでバタ足で進むまでの全ての労力を100とした場合、
恐怖心をとることが99です。
そこさえ取れたら、浮かんで、バタ足を打って
なんて、1くらいの時間とエネルギーでできます。
それくらい、「恐怖心」さえ突破してしまえば加速度的に成長するので焦らないでください!笑
ちょっと極端な数字かもしれないけど(笑)
本当にそうなんです。
そして、プレッシャーをかければかけるほど、恐怖心がなくなるまでの時間は長くなっていく。
水泳初心者は子どもも保護者も「逆のこと」をすると上手くいく
ここまでの、水泳での恐怖心、そして大人の接し方には共通点があります。
それは、「逆のことをすると上手くいく」です。
これは、我々プロが一歩引いて見ているから言えることなのかもしれません。
泳げない子たちは体にガチガチに力を入れたり、水の中で無駄に足掻こうとしたりしてしまいます。
逆のことをすれば、勝手に人間は浮きます。
じっとしておけばいいんです(恐怖心あるから無理なのはわかってる)。
大人は、「早く泳げるようになってほしい!」と思うがあまりプレッシャーをかけたり、発言に焦りが見えたり、プールに行っていきなりバタ足とか水のかき方とかを教えてしまいます。
逆なんです。
焦っている時ほど、発言に余裕を持たせてドーンといること。
早く泳げるようになってほしいからこそ、焦らずにまずはプールで遊んでいればいい。
簡単なようで難しいですよね、何事も(笑)
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