泳げるんだけれどなんだか楽に泳げないという方は、もしかすると泳ぎの姿勢に問題があるのかもしれません。この記事では楽に泳ぐためのけのび姿勢を作る方法を紹介します。けのび姿勢=泳ぐ姿勢の基本は浮心と重心を近づけ、肺に乗ることです。今回はまず浮心と重心を近づけることについて説明します。
肺に乗ることについては次回の記事で詳しく解説しています。
「楽に泳ぐ」というイメージはおそらく次のようなものだと思います。
・体が浮く
・体がよく水に乗る
・ひとかきでスイーーーっと進む
・手が前で伸びている時によく進む感覚がある
・たくさんキックを打ったり、プルをしなくても進む
・長い距離を心地よく泳げる
こういったイメージだと思います。楽に泳ぐためのテクニックはいくつかありますし、楽に泳げない原因もいくつかあると思います。今回紹介する姿勢もその1つです。コツというより基本と言った方がいいかも?
けのびでお腹周りを意識する
泳ぎの基本姿勢であるけのび姿勢が正しくできているか見直してみましょう。このけのび姿勢=ストリームラインが下手だと体が沈みやすく、体重移動も上手くいかないので楽に泳ぐことが難しくなります。
まずは水に入る前に陸で体幹部の意識付けをしてみます。
立った状態でけのび姿勢を取ってみてください。この時に背中が丸まっていたり、腰が反りすぎていないかをまずはチェック。背中が丸まっているのであれば、軽く胸を張ってみてください。腰がひどく反っている人は骨盤が前傾している可能性があるので、お尻を軽ーーく締めるようにして骨盤をまっすぐにしましょう。
けのび姿勢はつま先から指先までを一直線にする姿勢ですが、ここまでだとまだ不十分です。次にドローインというのを行います。腹圧を入れると表現されることもありますが、筋トレなどで行う腹圧の入れ方とはまた別で、ややこしいのでドローインと呼びます。ドローインはおへそを上に持ち上げるようにしておこないます。「丹田に力を入れる」と言った方が伝わりやすい人もいるでしょう。ちょうど、ウエストを細く見せたくてお腹をへこませサバを読む時のような感覚です。
思いっきりやらなくていいので、、、ドローインしながらでも普通に会話ができる程度のイメージでおへそを軽く上に持ち上げて、お腹と腰周りを軽く締めます。泳いでいる時も体幹部にはこの意識を常に持ってみてください。ただし、決して固めるわけではありません。その形になるだけです!
このようにしてお腹を締めることで2つのメリットがあります。
1.まっすぐな姿勢になる
2.浮心(浮く力がかかる場所)と重心の位置が近づくので沈みにくくなる
浮心とは浮力の中心で、胸のあたりにあります(肺に空気が溜まっているので)。一方で重心はおへそのほんの少し下にあります。この2点の位置関係が通常だとずれているので脚から沈んでいきます。
ドローイン使っておへそを上に引き上げてあげることで浮心と重心が近づきます。そうすると体は浮かびやすくなります。また、力が抜けすぎるとおへそのあたりからお腹が落ちて一直線を維持できなくなるので、おへそを引き上げつつお腹の筋肉も軽く締めて姿勢を安定させます。
そうすることで結果的に体が浮いて楽に泳ぐことにつながります。
ただし水中でお腹周りの意識だけだと沈みます
まずは体幹部の意識を解説しました。なんとなく感覚がつかめたでしょうか?しかし、水中でけのびをした時、ドローインだけを意識してもすぐに体が沈んでいってしまいます。泳ぎの中で最も沈みやすいのは下半身です。お腹周りと上体だけを意識してもなかなか下半身を浮かすことができません。常に下半身が沈もうとしながら泳いでいては、前ではなく後ろ下方に引っ張られながら泳ぐことになるので当然楽に泳げないです。
では、どうすればいいかと言うと….まず、お尻を軽く締めます。そして太ももの裏側からお尻の下あたりに意識をもっていきます。骨盤を前傾させないまま(やや後傾くらいの意識)太ももの裏側を斜め前から引っ張られるようなイメージで持ち上げてあげます。男の人であれば水着を前から引っ張られているイメージです。こうすることで太ももが上がってきます。膝は後ろにしか曲がらないので、太ももが上がればそれにつられて膝から下も沈まずに浮いてきます。感覚がつかみにくい場合には、プルブイを太ももに挟んでけのびをしてみてください。この時に、ブイによって太ももが持ち上げられる感覚があると思います。何となく感覚がつかめるようになったら、ブイを外して再チャレンジしてみましょう。
ここまでがけのび姿勢のとり方です。けのびで意識できるようになったら、その意識を持ったままビート板無しのキック(水中でも水面でも)で動きをつけてみてください。泳いでいる時にもこの姿勢を自然にとれるようになれば体が沈みにくく、楽に泳ぐのにつながります。