大腿四頭筋の解剖学的解説とトレーニング方法【太もも前側の筋トレ】

大腿四頭筋は太ももの前側にある4つの筋肉の総称で、下半身の中でも大きな筋肉です。この記事では大腿四頭筋についての簡単な解剖学的解説とトレーニング方法の紹介を行いたいと思います。

 

 

1.太ももの前側の筋肉、大腿四頭筋を鍛えるメリット

大腿四頭筋は下半身の中でも大きな筋肉で、歩行や走行、姿勢の維持に関与しています。そのため、いつまでもアクティブで健康的な生活を維持するために大腿四頭筋を鍛えることは大きなメリットになります。また、ボディメイク目的として、太ももを大きくしたい人は身体の前面で目立つ大きな大腿四頭筋を鍛えることはとても効果的です。もしくは女性の場合だと太ももを引き締めるために脚前面の大部分を占める大腿四頭筋のトレーニングをするのはおすすめです。スポーツを行う場合にも大腿四頭筋はダッシュ時の方向転換、ジャンプ、着地、急激なストップなど様々な場面で使われるため、重要な筋肉です。

 

 

ほかにも、拮抗筋であるハムストリングスとのバランスが悪いと故障の原因になるので、どちらか一方だけのトレーニングにならないようバランス良くトレーニングを行っておくことが大切です。大腿四頭筋はどちらかというとストップをかける筋肉で、ハムストリングスは爆発的に力を出す筋肉です。この2つが上手く協調し合って様々な下半身の運動に関与しています。ハムストリングスについては下記リンクからどうぞ。

 

2.大腿四頭筋の簡単な解剖学的解説

大腿四頭筋は太ももの前側にある外側広筋、内側広筋、大腿直筋、中間広筋という4つの筋肉の総称です。中間広筋は大腿直筋の下に隠れていますので触ることができません。画像では見やすくするため、片方の脚の大腿直筋を消しています。

ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションを引用、一部編集を加えました

 

大腿四頭筋の主な役割は股関節の屈曲と、膝関節の伸展です。股関節屈曲は脚を前に上げる動き、膝関節伸展は膝を伸ばす動きです。

股関節の伸展

膝関節屈曲

ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションを引用、一部編集を加えました

 

4つの筋肉についてそれぞれ詳しく見てみると、実は股関節の屈曲に関わるのは大腿直筋だけです。それは大腿直筋だけ唯一骨盤に筋肉の起始部があるからです。骨盤は寛骨(腸骨、坐骨、恥骨)、仙骨、尾骨からなります。大腿直筋は寛骨から始まっているので股関節の動作に関与することができます。そして、大腿直筋は脛の骨である脛骨に停止部があります。つまり、膝関節もまたいでいるので膝関節の伸展にも関与することができます。こういった2つ以上の関節をまたぎ、動作に関与する筋肉を二関節筋と言います。

一方、大腿直筋以外の3つの筋肉(外側広筋、内側広筋、中間広筋)は太ももの骨である大腿骨から始まって脛骨についているので膝関節伸展にしか関与することができません。そして、大腿直筋の性質上、股関節が屈曲すると大腿直筋は収縮して筋長が短くなるので、膝関節を伸展させる機能が弱まります。なので、股関節を曲げた状態では主に外側広筋、内側広筋、中間広筋が中心となって膝を伸展させています。

 

椅子に座った状態から膝を伸ばすときがその例です。股関節が屈曲しているので、膝を伸ばす時は主に外側広筋、内側広筋、中間広筋が中心的にはたらきます。

 

 

つまり、レッグエクステンションなどの座って大腿四頭筋を鍛えるマシンエクササイズをする時に大腿直筋は貢献度が低いと言えます。大腿直筋もしっかり発達させておきたい場合には別のトレーニングも取り入れたり、座る角度を調整する(寝る体勢に近づける)と効果的だと思います。大腿直筋が一番使われるのは膝関節が伸展しながら股関節が屈曲する時です。

*そもそもレッグエクステンションは内側広筋を鍛えるのに最適に設計されたマシンだそうです。

 

 

3.大腿四頭筋のトレーニング方法

大まかな解剖学的知識を踏まえた上で、大腿四頭筋のトレーニング方法をいくつか紹介したいと思います。

 

自重で大腿四頭筋を鍛える方法

大腿四頭筋は自重でもしっかり鍛えることができます。今回はおすすめの2種目を紹介します。

 

スクワット

自重で大腿四頭筋を鍛える最もオーソドックスな方法はスクワットです。スクワットは大腿四頭筋のみではなく大腿全体に強い刺激が入る種目です。一般的な方法は下の動画の通りで、後ろにある椅子に座るようなイメージでお尻を落とし、地面とお尻が平行になるくらいまでしゃがんで、そこから立ち上がります。

スクワットはひと工夫加えることで、大腿四頭筋にもっとフォーカスして効かせることができます。腰よりやや狭い足幅で立ち、上半身があまり前傾しないように保ったままお尻がかかとにつくくらいまでしゃがんでみてください。つま先は少し外側に向け、膝もつま先と同じ方向に開くようにして曲げていくようにします。身体が固い人や膝に故障がある人はなかなか難しいので無理しないでください。

 

シシースクワット

シシースクワットはつま先立ちで行うちょっと特殊なスクワットです。股関節を屈曲させずに膝関節だけを動かすスクワットで、大腿四頭筋に刺激を入れやすいです。何か柱や取っ手などつかまるものが近くにないと安全に行えないので注意してください。また、膝に故障がある人は強い刺激が入るので注意して行うか、実施しないでください。

つま先立ちになったところから、膝を前に出すようにしながらしゃがんでいきます。膝から上は一直線になるようにキープします。地面スレスレのところまで膝が来たら大腿四頭筋の力で元の姿勢に戻ります。

シシースクワットは自重トレーニングの中でも負荷の高い種目です。最初はしゃがみすぎないで良いと思うので挑戦してみてください。はじめは動画の半分くらいまでしかしゃがまなくても結構効きます。

 

フリーウェイトを使って大腿四頭筋を鍛える方法

フリーウェイトを使って大腿四頭筋を鍛える方法と言えば、よく真っ先にバーベルを後ろに担いだスクワットが挙げられます。こんなやつ↓

バックスクワットと言います。でも、まぁこれはいろんなサイトで共有されている種目なので、わざわざ僕が書かなくてもいいと思うので、今回は他のおすすめ種目を紹介します。ちなみにバックスクワットでも、バーベルを担ぐ位置をハイバー(僧帽筋の上部)にすることで上半身の前傾が小さくなりやすく、大腿四頭筋によく効きます。

 

フロントスクワット

1つめのおすすめ種目はフロントスクワットです。バックスクワットとは逆で、バーベルを身体の前に乗せます。動画では省略されていますが、必ずラックの上にバーベルを乗せた状態からスタートしてください。胸と鎖骨の間くらいの高さにラックを設定します。

上腕を地面と平行にして、指をひっかけて鎖骨と三角筋前部にバーベルを乗せるスタート体勢を作るのがそもそも難しい人は、手首と腕のストレッチをして柔軟性を獲得するのをおすすめします。このスタートポジションができれば、クリーンなどのパワー系エクササイズにも進みやすいのでぜひ習得してほしいです。フロントスクワットではバックスクワットよりも上半身の前傾が抑えられるため大腿四頭筋に刺激が入りやすいです。

 

 

自重でもOK、フォワードランジ

2つ目はフォワードランジです。ランジがおすすめな理由は、走る・歩く動作に似ていてスポーツや日常生活に則したトレーニングだからです。簡単に言うと活かしやすいからです。ウェイトトレーニングとして紹介していますが、もちろんバーベルを担がずに自重でやる場合にも良いトレーニングです。大腿四頭筋だけでなく下半身の筋肉全体に効果がありますし、走る・歩く動きに似た筋肉の連動の中で鍛えることができます。

一歩一歩スタートポジションに戻るのでも良いですし、スペースがある場合には前に歩いていくのもおすすめです。

 

4.大腿四頭筋をトレーニングする時の注意点

大腿四頭筋をトレーニングするときには注意点が3点ほどあります。

 

フリーウェイトを使う際には腹圧をしっかり入れること

これは特にフリーウェイトを使って大腿四頭筋を鍛える時に言えることですが、腹圧をしっかり入れるということです。ここでいう腹圧とはブレーシングのことで、腹腔の内圧を高めて負荷から背骨を守る方法です。方法は、お腹から息を吸い込んで、お腹を膨らませます。吸いきったら一度ストップ。膨らんだ状態でお腹~腰回りの筋肉に力を入れて、膨らんだ状態をキープします。イメージは自分のお腹を固い風船にすることです。腹圧は常に入れたままトレーニングをします。トレーニング中は腹圧を抜かずに胸式呼吸で頑張ります。

 

膝に痛みや故障がある場合は可動域を制限する

膝に故障がある人は可動域を制限する必要があります。基本的には、完全に伸ばさない(まっすぐよりさらに伸ばそうとしない)、完全に曲げない、浅くしゃがむ(通常の3/4~1/2)ようにしてください。ただ、ケガの種類や程度によってどこまで動かして良いかは変わってきますので、専門医との相談のうえ実施して下さい。

 

 

ハムストリングスや殿筋群など脚の裏側の筋肉も鍛える

先にも言いましたが、全身の様々な筋肉が連動して1つの動作が成立しています。特定の筋肉だけを鍛えることはそのバランスを崩してしまい、筋肉や関節の故障につながります。大腿四頭筋を鍛えることは良いことですが、特に拮抗筋となるハムストリングスや殿筋群など脚の裏側にある筋肉のトレーニングも怠らないようにします。大腿四頭筋とハムストリングスの理想的なバランスは3:2とも言われています。なかなか普通に生活していて筋肉のバランスを評価することはできませんが、大腿四頭筋の種目を3種目したらハムストリングスも2種目するといった心がけでも効果はあると思います。

 

また、股関節の動作は屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋の6つがあります。余裕がある人は屈曲や伸展の縦の動作だけでなく様々な方向に股関節を動かす種目を取り入れてみてください。そうすることで機能的にもケガ予防の面でもとても効果的です。

 

 

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Yusan
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