知らなきゃ損?!腹圧の解説と入れ方【姿勢改善・スポーツ上達】

体に負担のかからない正しい姿勢を作ったり、スポーツやトレーニングをする時に姿勢を安定させて機能的に動いたりするには腹圧を入れることが大切と言われます。今回は腹圧について少し詳しく掘り下げ、腹圧の入れ方も解説したいと思います。

 

腹圧を入れるとは?腹腔内圧システムと腹圧の入れ方

腹圧をかけるとは、簡単に言うとお腹の内圧を高めて脊柱を保護し姿勢を安定させることで身体の機能を最適化する方法です。

 

お腹の内圧は腹腔内圧と言います。

腹腔内圧を意識的に高めることを腹圧を入れる、腹圧をかけると言ったりします。

本来腹腔内圧は赤ちゃんの頃から成長するにつれ徐々に高くなっていきます。

そのおかげでハイハイができて、つかまり立ちができて、最終的に歩いたりできます。

つまり、腹圧は本来入っているはずなのです。

はずなんですが、現代人の我々は入っていないことが多いから意識的に入れないといけないんです。

入っていないから姿勢が悪くなる、腰が痛くなるなど様々な問題が出てきます。

特に大人は適切に入っていない人が多いようです。

いつの間にか腹圧を上手に入れられなくなるそうです。

なぜ腹圧が入っていないのでしょうか。

それを知るためには腹圧を入れる=腹腔内圧システムを使うことについて知る必要があります。

 

腹腔内圧システムは腹圧を入れることに他ならないのですが、具体的にどこをどう使うのでしょうか。

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

具体的には横隔膜、骨盤底筋群、腹横筋をはじめとした腹筋膜、多裂筋(背骨に沿って付着)です。

横隔膜は腹式呼吸によって上下します。

横隔膜は吸気で収縮すると、下がって肋骨を広げます。呼気で弛緩し、元通りのドーム状に戻り、肋骨を閉じます。

横隔膜が下がってくると、上から圧がかかり(下図の緑の矢印)、お腹が膨らむ方向へ動きます。

この時、骨盤底筋群は下へ、横隔膜は左右に広げられます。

この広がったままの状態では圧はかかりにくいので、内側から広がってくるのに対して横隔膜や骨盤底筋群、多裂筋を締めて外側から力を内に向けて抑える感じが作れると腹圧がかかります。

つまり、腹圧を入れるとは腹式呼吸で内側から広がるお腹周りに対して、お腹周りの筋肉のスイッチを入れて外から締める感じです。

イメージは下の図です。

横隔膜からかかる圧(緑矢印)で上からフタをすると左右と下が広がろうとする(青色矢印)ので、腹横筋・骨盤底筋群・多裂筋を締めて外から対抗する(赤色矢印)。

結果的にお腹周りはフラットで硬い筒のようになります。

参考:ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションに一部編集を加えました

具体的な腹圧を入れる方法は

・横隔膜→腹式呼吸(図の緑の矢印)

・骨盤底筋群→お尻の穴を締めるイメージ、トイレを我慢する感じ、いきむ感じ

・腹横筋→下腹部を内側に引き込む感じ(ドローイン)

・全体的なイメージとしては息を吸ってお腹が膨らんだところで、グッといきむ、膨らんでくる力と締める力の拮抗でフラットを作る。

 

やはり気を付けてもらいたいのは、内外からの力と4つの筋による各方向からの力を拮抗させることです。

よくお腹が膨らんだ後に、腹圧をかけようとするとぺコンとへこむ人がいます。

これだとドローインだけしかかかっていなかったり、内側からの広げておく力(横隔膜)が抜けています。

ドローインは腹横筋だけを単独で締める動きです。

ドローイン単独でも圧はかかりますが、各方向からしっかりかける場合(ブレーシングと言ったりする)よりは圧が低いです。

しかし動作の自由度は高くなります。

あくまでも腹圧は前後左右上下の全方向からかけます。

 

一方、お腹が膨らんだだけでは腹圧はかかりません。

それは腹式呼吸の吸気です。

締める力を入れてつり合わせてください。

風船を膨らませ続けつつも、風船がそれ以上膨らまないように抑え続ける感じですね。

 

大人になるにつれデスクワークが増えて活動量が減ったり、楽で悪い姿勢、動作パターン、腹式呼吸ではなく胸式呼吸がメインになったりすることで腹腔内圧システムが稼働しにくくなります。

水泳など場合によっては胸式呼吸も重要ですが、基本的には腹式呼吸がしっかりできることが優先されます。

腹式呼吸ではなく胸式呼吸がメインになると横隔膜の機能が低下し、腹圧が入らずに姿勢のゆがみや身体の痛み、機能低下につながります。

 

大きな力を出すスポーツやウエイトトレーニングの時ほどに強い腹圧を日常生活でかける必要はありません。

ですが、骨盤や背骨を適切に保つには意識してコントロールできる必要があります。

状況に合わせた腹圧をかける

スポーツや日々の生活にはいろいろ種類が合って、いずれの場合にも腹圧が必要になりますが、状況によって圧力の程度が変わってきます。

上の章で紹介したのは基本的な動作であって、ここから自分のスポーツや日常の場面で必要な腹圧に調整していく必要があります。

状況によってはガチガチに腹圧をかけるのもあれば、軽くお腹に力を入れるだけ、意識を入れておく程度のものもあります。

スポーツの試合中ずっと高い腹圧を入れているのではなく、プレーの合間は軽く意識する程度の弱い腹圧で姿勢を保ち、何らかのプレーが始まったらそれに応じて腹圧を調整します。

 

例えば、思いっきりお腹を膨らませる場合は横隔膜が大きく下がって内側からの力が強くなります。

それに対して釣り合うように横隔膜や骨盤底筋を外から締めるので、お腹がパンパンでカチカチになり、がっちり圧がかかりやすいです。

ところがこの状態を維持して走り回ったりと言うのは難しい。

そこまでガチガチにしなくても軽く力を入れるだけで体のブレを抑えたり力を伝えるには事足ります。

一方、高重量のスクワットをする場合はお腹を大きく膨らませたところから締める、パンパンでカチカチな腹圧くらいの方がしっかり安定します。

スクワット動作自体も垂直方向だけですし、状況に応じて柔軟に動く要素も低いです。

それに、自体重を超えた高負荷がかかるので、お腹をいっぱい膨らませるくらいでないと過度のストレスが背骨にきてケガのリスクがあります。

 

他にも、水泳ではクロールの時のローリングによるツイストや、4泳法共通して水の抵抗を減らすためにお腹をへこめるようにして体を引き伸ばします。

この場合、腹式呼吸が難しいため圧のかけ方がドローイン中心になります。

そうでないとツイストがとてもしにくいし、体を引き伸ばすことも難しいのです。

でもこれは水泳という特殊なスポーツだからだと思います。

もちろん水泳でも多裂筋や骨盤底筋群を締めます。

ただ、競技特性的に腹式呼吸は難しく、胸式呼吸がメインと考えられます。

まして水泳は横向きで行うので垂直方向からの背骨へのストレスが少なく、浮力によるサポートもあるのでやや特殊かなと思います。

 

つまり、動作に必要な最適圧が必要な場面でかかれば良いわけです。

そのためには状況に応じて調整できる能力が大切です。

日常生活や楽に動けば良いスポーツ場面では優しく腹圧をかけれて、必要な時は強くかけれる能力が大切です。

Yusan
「くっ」と入れるのか「グッ」と入れるのか「フン!!!!」と入れるのかは環境や動作に依存するということです。 

実際にはそんなに単純なことではないですが、概略図を書きました。

 

状況に応じて調整するには、

・それぞれの筋が凝り固まっていないこと(凝りで日常的に腹圧が高いのは良くない)

・へこますことも、膨らませることも両方できること

・骨盤や背骨の動きを感じとれること

・腹式呼吸と胸式呼吸を使い分けることができる

 

まずは腹式呼吸がしっかりできるかを確認してみてはいかがでしょうか。

動きの自由度がないと、動きをコントロールすることは難しいので。

適度な腹圧が入っていると何が良いのか

腹圧が入っていることの何がメリットなのか。

先にも述べた通り姿勢が安定することが最大のメリットです。

猫背や反り腰など様々な姿勢の問題とそこから来る腰や首など関節の痛みの改善、予防に対して効果的です。

現代人のこういった生活では腹圧を入れることが少なくなります。

腹圧が入らず、首や背中も丸くなり悪循環の始まりです。

日常生活でそんな姿勢ではスポーツやトレーニング、運動をする時だけ急に姿勢が良くなることもありません。

重たいウェイトを持ち上げたり、負荷の大きい動きをする時ほど高い腹圧を日常でかける必要はありませんが常にONにしておくことが大切です。

 

動作に応じて適度に腹圧が入ることでいわゆる体幹(胴体の部分)が安定し、腕や脚を体幹から独立して動かすことができます。

そうすることで日常動作やスポーツ時の動作によって身体が前後左右に振られることなくバランスを取って安定させることができます。

また、腹圧が入って安定した状態の体幹は下半身と上半身の力を効率良く伝えます。

ジャンプなどの上下の動作やバッティング又は投球のような回旋を伴う動作において、地面を押した力を上半身に効率良く伝達します。

 

Yusan
記事に関して何かご質問がある場合はこちらまで。 

参考資料

ヒューマンアナトミーアトラス2019エディションhttps://www.visiblebody.com/ja/anatomy-and-physiology-apps/human-anatomy-atlas

・勝者の呼吸法:森本貴義 大貫崇, ワニブックス, 2016

 

 

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